新しき世界のレビュー・感想・評価
全71件中、21~40件目を表示
「正しさ」の境界線が酷く曖昧に溶けだしていく
韓国最大の暴力団に、8年の長きにわたり潜入捜査を強いられる警察官イ・ジュソン。バレたら惨殺されるという極限のストレスがかかるなか、ある日、会長が急死、後継者争いに巻き込まれることとなる。
「アシュラ」「チェイサー」「殺人の追憶」など韓国ノワールは辛すぎる。暴力シーンは正視できないレベルで残虐だし、結末はいつだって暗黒レベルで一切の救いがない。だいたい韓国ノワールのアクションシーンは何でいつもハンマーや鉈や刀を使うのか。拳銃でやれよ。痛いじゃないか。
「新しき世界」も確かに韓国ノワールではある。作品序盤の拷問シーンではいきなり目を覆いたくなる。でも本作は何かが、画面から醸し出される空気が、ちょっと違う。
有名韓国ノワールの多くが常軌を逸した狂気や、歪みまくった欲望で駆動する、ある意味で理解不能な「暴力」を底流させるのに対して「新しき世界」は、警察、暴力団、あるいは登場人物それぞれが暴力に一定の思想を持っている。
いや、もちろん、犯罪組織の「暴力の思想」なんぞに「正しさ」などない。ないのだが、作品が進むにつれ、「正しさ」の境界線が酷く曖昧に溶けだしていく。なんということばが当てはまるのか、警察が絶対に正しくて、暴力団が絶対に間違っているはずなのに。
警察の持つ暴力思想の象徴であるカン課長、犯罪集団のそれであるチョン・チョン、両者の危うい均衡の狭間で揺れ動く潜入捜査官イ・ジャソン。3人の男たちの攻防が、そんな不思議な感覚を底支えしている。
その中でも特に犯罪集団の有力後継者候補チョン・チョンを演じたファン・ジョンミンの演技力がものすごい。なんだ彼は。なんなんだ。ものすごい演技力じゃないか。泣いてしまったじゃないか。
映画史に残る名作です
韓国ノワールの王道かつ傑作だと思います。 音楽とカメラワークが秀逸...
正義vs仁義
静かなるアウトレージ
新世界の先に…
韓国の犯罪組織に潜入し8年が経ったジャソン。いつ終わるかわからない潜入捜査に苦悩する姿、インファナルアフェアに似ている。
差別化という点では警察での上司、ジャソンを逆らえない犬として飼い慣らすカン課長のクソ野郎っぷりも良いけど、
やはり組織のナンバー2であるチョン・チョンを演じる、ファン・ジョンミンの存在が大きい。
本来なら敵の立場だが、兄弟のように信頼してくれるチョンに罪悪感を感じ葛藤、ジレンマに陥る主人公に観ているこっちも辛くなる。
普段は明るくてちょっとウザい、だけど、なんだか憎めない感じなんだけど、時折見せるダークな狂気のギャップがさすが。警察関係者を殺すシーンはヒヤヒヤした。
チョンの死によって決意を固めるジャソン。
不都合な人物の大粛清、ゴッドファーザーを彷彿とさせた。
父への忠誠か、兄との絆か。
美しい人々
潜入捜査って必要なのかな、って素人は思ってしまう話ではあります。あまりの怖さに途中で棄権しようかと思いつつ、まさに歯を食いしばってみたら、意外な友情と信頼が待っていて、涙すら流してしまうほど、タッチーな映画でした。とにもかくにも様になる美しい人々です。
韓流インファナルアフェア
所謂、ヤクザ潜入捜査もの映画です。
昔「インファナルアフェア」を見た時の衝撃が甦りました。
しかし今回はジャソンとカンは主従関係で、
ジャソンに選択の余地はなく操られるだけ。
ジャソンは辞めたくて仕方がない。
嫁、子供と普通に暮らしたい、と望んでも、
実はその嫁もジャソンの監視役という、
(ジャソンはそれを知らない)
八方塞がりなジャソンに序盤は同情します。
見所は、ジャソンのボス:チョンチョンが、
自分の仲間の中から警察の回し者を見つけて、
それをジャソンに報告する時。
ジャソンは顔面蒼白で聞いていると、
「え、お前も警察関係者?」
と、ジャソンじゃない側近がぶち殺されます。
ここは久々に手に汗握りました。
完全な警察の「犬」になっていたジャソンが、
カン課長から「新世界計画」の全貌を聞き、
憤慨しながらも何かを決意してから、形勢が変わります。
「過去最高にサイテーなチェミンシク」カン課長も、
その上司の局長も、
警察の計画に乗った組織のNo.2も、
チョンチョンのライバル、ジュングも、
全て見事な大粛清。
そしてジャソンはトップに登り詰める、という、
序盤の同情を返せ、と言いたくなるジャソンの大逆転。
ここで、奥さんもやっちまうのか、とか、
「トガニ」のクソ校長もやっちまえ!、とか、
雑念で萌えてました。
何れにしてもジャソンの成り上がりには、
警察からのヒドイ扱われ方からよくぞここまで、
と溜飲が下がる一方、
ジャソンは完全にやくざになり「新世界」に踏み込んだ、
と寂しさも虚しさも感じるラスト間際。
チョンチョンはジュングの手下に殺されますが、
その事切れる間際にジャソンに、
実はジャソンが警察だと知ってた事を(遠回し)に告白。
何故ジャソンを処分しなかったかは、
ラストのジャソンの回想シーンから分かります。
なるほど、BL要素高いです。
チェミンシクは史上サイテーでしたが、
(タバコ辞めたシーンは良かった)
イジョンジェは史上サイコーでした。
素晴らしき世界
面白い!
これぞノワール!これぞ男の世界!これぞ男の友情!
痺れた。
前半は組織の状況と、チョンチョンの人柄で
伏線を張っといて、
チョンチョンいい奴じゃん、
コイツが次のトップで良いじゃん!と思わせてからの、
警察の手に踊らされて、
豹変すると言うかヤクザの素の部分の恐ろしさを見せ、潜入がバレたのか?と言う緊迫の場面は
ジャソンばりに脂汗が出た。
そこからの組織内の抗争も凄まじかった。
ストーリーはそんなに難しい物でなく、
警察の絵図の通りヤクザが踊らされて行くので、
何が正しくて何が悪なのかは分からなくなるけど、
とても見やすかった。
ノワールの世界の中でチョンチョンとジャソンの
友情だけが信じられる唯一の物として描かれていて、
特にチョンチョンからジャソンに対しての友情には
泣けた。
ジャソンも手を握るなりリアクションをしてあげて欲しかった。
ジャソンが覚悟を決めてからの展開も良かったし、
オチのつけ方も、こうでなくちゃ!と言う物で
とても良かった。
8年間、潜入捜査官ジャソンに指示を与えるのはカン課長(チェ・ミン...
8年間、潜入捜査官ジャソンに指示を与えるのはカン課長(チェ・ミンシク)。何度か直接話もするが、このままヤクザのトップになっていいんだぞ、などとほのめかしたりする。現職のソク会長が謎の事故死を遂げたために、後継者争いが表面化していて、チャン・チョンとイ・ジュングとの対立が裏取引や裏情報などで暴行・殺人が行われる残虐な世界。
一見クールで抗争を見守っているジャソン。このため観客の目はいつか警官の心を取り戻して暴力団組織を壊滅させるのだろうと期待させるのだが、意外な展開を見せてくれる。チョン・チョンには中国人ハッカーを使ってジャソンの情報も入っていたのだが、彼はジャソンの素性がわかってもジャソンを始末することなく、それがジャソンの気持ちを固めたのであろう。敵対するジュングや引退しかけたスギなども次々と殺害し、会長にのし上がったのだ。あっけない幕切れだったが、もっと心理変化をわかりやすく描いてくれれば映画としても極上のものになったかもしれない。
また、イ理事とイ・ジュングという顔も似た俳優を使ったため混乱を招いたし、囲碁の先生や妊娠している彼女とか、ややこしい配役は否めない。そして、その彼女ってカン課長の指示で近づいたんだから、やはりもう一つ展開があってもおかしくないのに・・・
恐ろしいヤクザの世界
ヤクザの世界を見せていただきました。好きな俳優が揃っていたこともあり、最初からグイグイ引き込まれました。ヤクザの世界と言っても、むしろ韓国ノワールにしては暴力少な目かもというレベルで、エロは出てきませんので女性でも楽しめるヤクザ映画ではないかと思いました。
これぞ、男の世界!
神映画
全71件中、21~40件目を表示












