劇場公開日:1983年6月4日
解説
松田優作扮する三流大学の7年生という風変わりな家庭教師が、高校受験生を鍛え上げる様をコミカルに描く。音楽なしの誇張された効果音、テーブルに横一列に並び食事をするという演劇的な画面設計など、新しい表現が評判となった森田演出が冴えるホーム・コメディの傑作。
1983年製作/106分/G/日本
劇場公開日:1983年6月4日
劇場公開日:1983年6月4日
松田優作扮する三流大学の7年生という風変わりな家庭教師が、高校受験生を鍛え上げる様をコミカルに描く。音楽なしの誇張された効果音、テーブルに横一列に並び食事をするという演劇的な画面設計など、新しい表現が評判となった森田演出が冴えるホーム・コメディの傑作。
1983年製作/106分/G/日本
劇場公開日:1983年6月4日
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2022年6月1日当時の社会背景や問題点を絡めて的外れな評論を自慢げに語る評論家が喜びそうな作品ですが、難しいことは考えなくてもいいです。別に難解でもありません。全くかみ合わない会話、意味のない挿入シーン、デタラメなストーリー、まとまりのないバラバラな演技、シーン毎のインスピレーションを脈略無くつなげただけの全てがチグハグでシュールな作品を抜群のセンスと感じるか、意味不明ととるか、単に好みの問題です。個人的にはかつての金鳥のCMに通じる超絶センスの卸問屋的作品として絶大な支持を与えますが、何これクソ映画って切り捨てるのも正常な反応です。
新文芸坐さんにて「森田芳光70祭2024 in 新文芸坐」(12月14日~15日)開催。
久々に監督代表作『家族ゲーム』(1983)を鑑賞。
上映後には宮川一朗太氏、ライムスター宇多丸氏、三沢和子氏のトークショーも実施。
『家族ゲーム』(1983)
型破りな家庭教師・吉本勝(演:松田優作氏)と高校受験を控えた問題児・沼田茂之(演:宮川一朗太氏)の関係を中心に沼田家を取り巻く騒動を描いた作品。
レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』のように家族が横一列に並ぶ食事シーンが従来のホームドラマの円卓と違い、家族間の不協和音、各々バラバラな関係性を見事に描いた斬新な演出でしたね。
決して教育熱心ではない吉本と沼田とのヒリヒリした距離が徐々に縮まっていく緊迫感は、松田優作氏の圧倒的存在感のなせる業、家庭教師・吉本の素性や内面も最後まで最小限しか明かさず、沼田家にとっては「謎の闖入者」になっている点も良いですね。
また劇伴も最小限で、食事の咀嚼や食器の当たる音が緊迫感を助長させていましたね。
公開当時はいじめや受験戦争、バット殺人などが社会問題になって、新藤兼人監督『絞殺』(1979)などの作品がありましたが、80年代初頭の時代の空気感を実にシュールにシニカル描いており、まさに80年代の代表的な1本ですね。
時代的に、「核家族化」、「少子化」、「偏差値教育」、「校内暴力」、「いじめ」等の社会問題が一般化してきた時期を象徴する、ある意味、非常に分かりやすい社会風刺映画。
食卓に一列に並んで食事をするシーンや、まるで噛み合っていない会話等、家族同士ですらお互いの心が向き合っていない事を端的に表している。そんな個人主義や相対主義が誇張されたような家族の中に、ひとりの家庭教師が入り込み、その家庭をめちゃくちゃにして去って行く。しかし、その一見、理不尽で暴力的な行為は、オヤジの「鉄拳制裁」よろしく、むしろ異常なまでの個人主義に対する「常識の鉄槌」としての効果を狙ったものなのかも知れない。
早くから価値相対主義や個人主義社会の持つ危うさと問題点に気付きながら、変に説教臭いドラマではなく、あえてドラスティックにブラックコメディとして仕上げた監督の先進性を評価。