家族ゲーム

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説・あらすじ

松田優作扮する三流大学の7年生という風変わりな家庭教師が、高校受験生を鍛え上げる様をコミカルに描く。音楽なしの誇張された効果音、テーブルに横一列に並び食事をするという演劇的な画面設計など、新しい表現が評判となった森田演出が冴えるホーム・コメディの傑作。

1983年製作/106分/G/日本
劇場公開日:1983年6月4日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第7回 日本アカデミー賞(1984年)

ノミネート

作品賞  
監督賞 森田芳光
脚本賞 森田芳光
主演男優賞 松田優作
助演男優賞 伊丹十三
助演女優賞 由紀さおり
新人俳優賞 宮川一朗太
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(C)1983 日活/東宝

映画レビュー

4.0ありふれた題材のありえない映画

2025年6月14日
Androidアプリから投稿

不気味さとシュールな笑いが共存し続ける異様な作品
みんなの距離感がバグりまくってる。近い! 近過ぎる!!

次男・茂之の高校入試を控えた沼田家
難関校に到底届かない成績を何とかするために父・孝助は家庭教室を雇うことに

この家族だけでも異様な雰囲気なのに呼ばれた家庭教師・吉本が更にその空気を加速させる
教え子に暴力あり頬へのキッスありと、無茶苦茶なのになぜだか信頼されていく

この映画 正直、物語を追っていく見方だとあまり面白くないんじゃないかと思う
とは言っても筋が分からないとか前衛映画のような意味不明さがあるわけではない。逆にあらすじ自体はシンプルなホームドラマだ

ただ、その見せ方が終始異様というかツッコミ不在でボケ続けているのだ
いわゆるお笑いの「ボケ」ではない。が、どう考えても真面目でもない

おそらく作品の作られた時代(80年代)にも目を向ける必要があるのだろう
その頃の「普通」に対するボケの形を取った風刺にも思えてくる

「ありふれた題材」で作られた「ありえない映画」

そんな言葉が私には浮かんできた

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作務衣もん

3.0唯一無二

2025年5月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

真横に並んだ食卓の演出も、
舞台装置みたいな勉強机も
噛み合わない台詞や行動も全て意味が分からないのだけど
他に真似出来ない、絶妙なバランスで出来た映画ではあるのかなと思いました。

映画の説明に当時の社会問題が…とか描いてたけど、
どこに社会問題が絡んでるのかも分からなかった。
むしろ独特な関係の家族のように思えた。
勉強しろとは言うものの、
あんまり家族に興味なさそうな父。
家族の心配はしてそうだけど、
息子の怪我にはそこまで問題視しない母親。
自分のことを話さない弟。
優秀ぶってるけど、生きがいをなくしちゃってる兄。
不思議なバランスの家族でした。
ラストの食卓シーンは
お前らの家族は壊れちゃってるよ?
と言う意味だったのかな?

ただ、100分の間飽きることなく観れたのは
単に松田優作の魅力なのか、
台詞やカット割にマジックがあるのか、
不思議な映画でした。

横に並んだ食卓といえば家族ゲームだし、
真似したら一気にリアリティーがなくなるし
そう言う意味では名作なのかもしれない。

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奥嶋ひろまさ

5.0夕暮れを完全に把握しました

2025年2月5日
PCから投稿

当時の社会背景や問題点を絡めて的外れな評論を自慢げに語る評論家が喜びそうな作品ですが、難しいことは考えなくてもいいです。別に難解でもありません。全くかみ合わない会話、意味のない挿入シーン、デタラメなストーリー、まとまりのないバラバラな演技、シーン毎のインスピレーションを脈略無くつなげただけの全てがチグハグでシュールな作品を抜群のセンスと感じるか、意味不明ととるか、単に好みの問題です。個人的にはかつての金鳥のCMに通じる超絶センスの卸問屋的作品として絶大な支持を与えますが、何これクソ映画って切り捨てるのも正常な反応です。

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越後屋

5.080年代初頭の時代の空気感を実にシュールにシニカル描いており、まさに80年代の代表的な1本ですね。

2024年12月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

新文芸坐さんにて「森田芳光70祭2024 in 新文芸坐」(12月14日~15日)開催。
久々に監督代表作『家族ゲーム』(1983)を鑑賞。
上映後には宮川一朗太氏、ライムスター宇多丸氏、三沢和子氏のトークショーも実施。

『家族ゲーム』(1983)
型破りな家庭教師・吉本勝(演:松田優作氏)と高校受験を控えた問題児・沼田茂之(演:宮川一朗太氏)の関係を中心に沼田家を取り巻く騒動を描いた作品。
レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』のように家族が横一列に並ぶ食事シーンが従来のホームドラマの円卓と違い、家族間の不協和音、各々バラバラな関係性を見事に描いた斬新な演出でしたね。
決して教育熱心ではない吉本と沼田とのヒリヒリした距離が徐々に縮まっていく緊迫感は、松田優作氏の圧倒的存在感のなせる業、家庭教師・吉本の素性や内面も最後まで最小限しか明かさず、沼田家にとっては「謎の闖入者」になっている点も良いですね。
また劇伴も最小限で、食事の咀嚼や食器の当たる音が緊迫感を助長させていましたね。
公開当時はいじめや受験戦争、バット殺人などが社会問題になって、新藤兼人監督『絞殺』(1979)などの作品がありましたが、80年代初頭の時代の空気感を実にシュールにシニカル描いており、まさに80年代の代表的な1本ですね。

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矢萩久登