イーダのレビュー・感想・評価
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どのシーンを切り取っても絵になる美しい映画。 イーダのセリフはほぼ...
どのシーンを切り取っても絵になる美しい映画。
イーダのセリフはほぼないので、イーダの心にじっくりと思い巡らせる時間があって、でも手がかりはとても少なく、誰かと共感するのは難しい映画だと思った。
静かな流れとは逆に、感情をかき乱され続けた。
イーダ。
帰る場所があってよかった。
ふーむ
修道女になる前に唯一の親族である叔母ヴァンダに会いに行く。
最初冷たかった叔母が、何故かイーダの父母の埋葬された地を探す為に奔走を始める。その理由が分かった時、深い悲しみにやるせなくなる。
呆気なく死を選んだヴァンダはもしもの望みに賭けていたのだろうか。
イーダはそのまま俗世で叔母のように生きていくのかと思ったが、修道院に戻って行ったのね。どちらが正解という事は出来ないが
知らなかった過去を受けとめて。
COLD WARがすごく良くて、イーダも見てきました。上映してくれてありがとう、京都シネマ。
強い作家性があり、その系統がとても好みです。
台詞は少なく、画も技巧的ではないのにとても雄弁で、いろんなことがわかる、解釈できるので、映画観たなーって充実感があっていいです。
さて、映画イーダは、アンナという孤児が主人公で、アンナは請願前の修道女見習いです。請願前に身内にあって来いとシスター?に勧められ、特に気乗りはしないものの勧めに従い叔母に会いに行く。すると叔母からアンナはほんとはイーダと言う名のユダヤ人だと知らされるのです。
2人はイーダの両親(叔母にとっては姉夫婦)の住んでいた家を訪ねる旅に出ます。
だいぶ端折ると、イーダの両親は叔母の息子を預かって育てていたが両親と叔母の息子は近所のポーランド人に殺されていて森に埋められていた。幼かったイーダだけが修道院に預けられ生き残ったんです。
イーダと叔母は3人の骨を集めて家族の墓地に埋葬します。
その後叔母が突然自殺します。そしてイーダは葬儀に訪れ、叔母のドレスやヒールを身につけ、酒とタバコを味わい、セックスします。
そしてその上で修道院へ戻っていく、という結末です。
ポーランドでユダヤ人がどんな扱いを受けたか、第二次世界大戦後のポーランドはどんな風かなど、知っていなくても観られますが、多少知ってると理解が深まるでしょう。
何も知らずに生きるより、辛いことも禁じられてる甘い果実も知れる範囲で知って生きていくほうが、なんぼかまし。イーダのそんな諦観が感じられて、胸に沁みました。
曇り空
常に曇天という感じの映画。主人公も、その叔母も、それに纏わる人達も心に霧がかかったようにすっきりしないまま話は進み、最後に主人公が一人の人間としてすっきりときりっとしたところで話は終わる。光と影の使い方が絶妙です。
覚悟。
内容が重いので体調の悪い時は観ない方がいいと思う作品だが、
まずスクリーンサイズとモノクロ画面の懐かしさに圧倒される。
常に人物が下半分に位置して頭上に大きな空白が施されている。
修道女となる前に唯一の親族である叔母に会いに行ったアンナは
叔母から自分がユダヤ人で本名がイーダであることを聞かされる。
やがてイーダの両親の死の経緯を辿るべく二人で旅に出るのだが、
観る前に過去にポーランドではどんな事件が起きていたかという
歴史を知っておくと理解し易いかもしれない。虐殺という事実が
ユダヤ人とポーランド人に与えた犠牲と被害・加害者意識は重い。
イーダと叔母がそれぞれにどう向き合い受け容れるのかを描くが、
静かな画面に流れるジャズが心地良くて(バッハやコルトレーン)
一瞬俗な気分も味わえる。絶望から人間を救うのは果たして神か、
それとも自分自身か。束の間の恋愛を体験したイーダの視線から
揺るがない覚悟のようなものを感じ取ることができた自分だった。
(かなり静謐な80分。髪(神)をほどいたイーダの美しさに息を呑む)
難しいの
初めて映画館でモノクロ見た!新鮮だったけど、ちょっとストーリー理解できなかったな。
ユダヤの大量虐殺を逃れた主人公が両親の行方を探すのは分かったけど、その後の生き方が良く分からなかった。
でもセリフとか余計な描写がなかった分ストレートに表現できていたんじゃないかな(何が)
神は救ってくれるのか
男は状況に流され罪なき人を殺し、良心から神に託した子供が再び己れを慚愧の念に追い込む。
神を信じず、現実から逃げていた叔母は、イーダに救われる可能性を感じ、真実を見据える決心をするが、すべきことを終えた(終えたと思い込んだ)結果、息子の下へ旅立つ。
救いの無い現実に触れたイーダは、同じような神への不信の中で、しかし叔母とは違う道を選ぶ。
愛した男へのラストの台詞
「あなたと海岸を歩いて、それから?」
「結婚して、子供を作って、それから?」
不安な顔をしつつ、イーダは故郷に戻る。
神に祈るために。
そのイーダを追うように、最後の最後にカメラは動き始める。
それはイーダへの問い掛けの様に、あるいは現代の我々への問い掛けの様に、「動く」。
戦後のポーランドを舞台にして、人間の弱さ、神と信仰を描いた作品。傑作。
少女の葛藤を類い稀な映像が鋭く演出
孤児として、修道院に育ち、修道女になるための誓いの儀式を済ませる前に、唯一の肉親である叔母にあい、自らにまつわる様々な衝撃的な事実を受け入れ成長していく物語。
しかし、時代の波とはいえ、真実は少女にはあまりに重たくのしかかる。自らの名前がイーダであること、ユダヤ人であったこと、ユダヤ人だった両親は街の知人に殺されたこと、叔母には息子がいて、それも一緒に殺されたこと…。修道女として全てを神に捧げるべく育てられたイーダは強くアイデンティティを保とうとするが…。同じように事実を受け入れられなかった叔母の死で、その自我が崩壊しかけて…。同僚が修道女になるのを尻目に、キリストの像のまえで泣きながら「まだなれないわ」というシーンがとても印象的で、決意が揺らぐ心の内を吐露しているようで、とても悲しい気持ちになりました。時代の波に翻弄されながら、これだけの事実を受け入れて少女は大人になり修道女に…。
映像がとにかく素晴らしい。全ての映像が余韻を残す。病院で息子が殺されたことを知り、泣き崩れる叔母を抱きかかえるシーン、叔母が飛び降り、残された部屋の余韻、両親が埋められているという場所に行く3人のシーン、頭巾?を外し女性髪をほどき街にでるシーン、叔母のドレスを着てなれないヒールで歩くシーン、幸せなベットで彼に背をむけ目を見開き何かを思うシーン…。全てが彼女の計り知れない心情を物語っているようで、とても美しく悲しく切ない気持ちになりました。
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