それでも夜は明けるのレビュー・感想・評価
全148件中、141~148件目を表示
アメリカ人には、作れなかった作品
監督のスティーブ マックイーンを始め、俳優のほとんどがイギリス人というこの作品。
奴隷の黒人も、それを雇っている白人にも、
アメリカ人では、辛すぎて演じることが、大変なんだったと思いました。
マイケル フェスベンダーの演技が光ました。
陰鬱な作品。
まず、この邦題に大きな誤りがあります。「それでも夜は明ける」とありますが、いつ、夜は明けたんでしょうか。それとも、これから、夜が明けるのでしょうか。嘘はいけません。主人公は奴隷の身分から、再び、自由黒人の身分に戻っただけなのですから。アメリカ黒人の苦闘は、ご存じのように20世紀になっても続くのです。黒人が大統領になった時代でも差別は残っているのです。邦題は字幕にもあったように「12年間、奴隷として」のほうが数段、良かったように思えます。
さて、肝心の映画ですが、この作品に監督の手腕がどれだけ発揮されているのか、甚だ、疑問に思いました。スティーブ・マックイーンさんの手腕はどこら辺に発揮されていたのでしょう。私にはこの監督の表情が見て取ることができませんでした。残虐な場面が続く映画を撮るのであれば、スピルバーグやタランティーノや園子温、または、韓国人の監督でも良かった筈です。残虐な描写について、一言、云わせてもらえば、映画などより現実の方が、総じて、遥かに残酷なのです。まず、映画には腐乱死体は登場しません。ウジが湧き、ハエがたかる死体の映像はまず、登場しません。溺死体も登場しません。水を吸って、ぶくぶくに膨れ上がった死体の映像も登場しません。切腹をした後、腹の裂け目から臓物が噴き出る描写も、まずありません。私が何が云いたいのかというと、あるがままのことを全て見せては映画の品格が下がるのだ、という事なのです。このことは映画評論家の淀川長治さんがスピルバーグの「プライベート・ライアン」を評して指摘しています。歌舞伎や能ほどでないにしても、やはり、映画にもある程度の様式美は必要だと私は考えます。特に黒人の女の子が木に縛られて背中を鞭で打たれ、皮膚が裂け、血が流れる場面を観て、そのことを感じました。
この作品がアカデミーの作品賞ですか・・・。昨年は「アルゴ」。なんだか、昔よりも作品の質が落ちているような気がしてなりません。脚本の弱さと遠慮会釈のない糞リアリズムに徹した凡庸な演出が作品の質を下げているのでしょう。
間合いが素晴しい
静けさ、強さ、悲しさ、優しさ…そんなものを間合いでのみでここまで強く感じたことはない。その間合いも、観る人によっていろんな感じ方があるので、一言で言い表したくない、そう感じる映画。
134分集中して観ていたことに観終わってから気付いた。目が乾燥しすぎて1時間経った今でも治まらない。
究極系の理不尽。
ひたすらに重い。重いし辛い。辛いし痛い。
あのね、俺、序盤から感情移入するのを早々に止めました。無理です、感情移入は。
いや、本当、ちょっとね。自分の心を一切殺して鑑賞しないと少し精神やられちゃいますよ。
だって、奴隷じゃないのに奴隷にされるという理不尽で不条理な12年間をこっちだって追体験させられる訳ですからね。平和な世界からいきなり訳のわからないアンダーグラウンドに叩き落とされるんだから、鑑賞してる我々も「え?なんで?」となるでしょ。なるんですよ。
牢に鎖で繋がれ監禁されて口答えしようもんなら棒叩き。鞭打ち。ビンタ。船で運ばれ奴隷主に売られ謂れの無い労働を強いられる。文句言えば鞭打ち。下手すりゃ殺される。人権無視。しかもその境遇をただただ甘受し無為に過ぎて行った年月が、なんと12年。12年間ですよ?12年間、劣悪な環境での臭い飯と過酷なタダ働き。ゾっとします。
これを感情を入れて観るには、俺は心は弱過ぎました。
それとこの映画、モノローグを一切使ってないでしょ。で、クローズアップを頻繁に使う。ヴァイオリンの調律にフォーカスを当てたり、ソロモンの表情をアップで撮ったり。
そこから心情を汲み取るしかない訳です。
ソロモンや黒人奴隷仲間が何を思っているかの一切は想像するしかないんです。辛いとか苦しいとか、そんなのは当たり前なんですよ。でも、心情、心の語りを挿入しないから、やはり想像するしかない。
こちらにその全てを委ねられている。
久々にヘビーな映画に当たってしまいました。アメリカの暗部、恥部というかね。これはアカデミー賞獲って当然でしょうね。
はー。キツかった。
アカデミー最有力作品
ブラット・ピットが出ているから(でも出演時間5分くらいです)という理由で見た映画。こんなに感動するとは・・・さすがのアカデミー最有力作品ですね!家族の強い絆に涙なしでは見られません。黒人奴隷の歴史の中でこんな悲惨な現実があったこと知らなくてショックでした。アメリカ南部に黒人奴隷がいた時代に、北部には白人と同等の生活をしていた「自由黒人」がいたことも知らなくて、勉強になった上、今自由に生きられているあたりまえのことに感謝の気持ちでいっぱいになりました。
全148件中、141~148件目を表示