劇場公開日 2014年3月7日

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「究極系の理不尽。」それでも夜は明ける ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0究極系の理不尽。

2014年3月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

怖い

ひたすらに重い。重いし辛い。辛いし痛い。
あのね、俺、序盤から感情移入するのを早々に止めました。無理です、感情移入は。
いや、本当、ちょっとね。自分の心を一切殺して鑑賞しないと少し精神やられちゃいますよ。
だって、奴隷じゃないのに奴隷にされるという理不尽で不条理な12年間をこっちだって追体験させられる訳ですからね。平和な世界からいきなり訳のわからないアンダーグラウンドに叩き落とされるんだから、鑑賞してる我々も「え?なんで?」となるでしょ。なるんですよ。
牢に鎖で繋がれ監禁されて口答えしようもんなら棒叩き。鞭打ち。ビンタ。船で運ばれ奴隷主に売られ謂れの無い労働を強いられる。文句言えば鞭打ち。下手すりゃ殺される。人権無視。しかもその境遇をただただ甘受し無為に過ぎて行った年月が、なんと12年。12年間ですよ?12年間、劣悪な環境での臭い飯と過酷なタダ働き。ゾっとします。
これを感情を入れて観るには、俺は心は弱過ぎました。

それとこの映画、モノローグを一切使ってないでしょ。で、クローズアップを頻繁に使う。ヴァイオリンの調律にフォーカスを当てたり、ソロモンの表情をアップで撮ったり。
そこから心情を汲み取るしかない訳です。
ソロモンや黒人奴隷仲間が何を思っているかの一切は想像するしかないんです。辛いとか苦しいとか、そんなのは当たり前なんですよ。でも、心情、心の語りを挿入しないから、やはり想像するしかない。
こちらにその全てを委ねられている。

久々にヘビーな映画に当たってしまいました。アメリカの暗部、恥部というかね。これはアカデミー賞獲って当然でしょうね。

はー。キツかった。

ロロ・トマシ