それでも夜は明けるのレビュー・感想・評価
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人の心から差別と偏見の意識は無くならないのだろうか?
大好きだった「大統領の執事」が公開されて大ヒットにならなかったのが残念だったけれど、こちらの「それでも夜は明ける」はやはりオスカー受賞と言う受賞効果も有ってか、映画館では、久し振りの賑わいの中で、本作が観られた事は自分には嬉しかった。
私は自分でも本当にバカだと思うのだけれども、自分が観て気に入った作品がヒットすると自分の事のように嬉しい、そしてガラガラの空席の多いシネコンで観る映画は何故か気に入らない作品であっても、お客の入りが少ないと淋しく思うのだ。
自分に全く、損得関係無しの事なのだが、やはりどの映画でも有る程度観客で埋め尽くされた映画を観るのは、観客の一人として嬉しいのだが、これは可笑しい事だろうか?
さて本題に話を戻すとこの作品も実話を基に描かれた作品と言う事では、近作「大統領の執事」に続いて大一級の社会派作品だ。
米国に於ける人種差別の歴史を差別されていた側の人種であるアフリカ系の監督が描いた作品と言う事では今迄にない社会的な大きな意義を持ち、物凄く力強いこの作品が出来たと事はハリウッド界にとっても素晴らしい新たな1ページと言える。
そしてこの映画の伝える内容も大切な情報だと思うし、立派な作品だ。だが立派な作品だけれども、私は好きになれない作品だ。
多分、この作品の監督ステーヴ・マックィーンは英国人だから、より冷静にシビアの米国内に於いての差別の歴史を描けている為なのだろうかとも考えた。
彼の前作「シェーム」では余りにも特殊な人間像に驚かされて、映像的にはとてもインパクトが有り、衝撃を受けるような映像タッチで、記憶には残ると言うか、センセーショナルな感じはするけれど、何だか特別な世界観の匂いの方が強くなって好きになれない作品だった。作品の評価はぐっと低い採点を確か自分はしたと思う。
自分でも巧く分析出来ないのだけれども、何故か彼の作品には馴染めない、その原因が知りたいのだけれども、理由が巧く説明出来ないでいる。
こう言う人種差別や、或いは人種に限らず、性差別や階級差別等々、障害者差別なども含めると様々な偏見や差別の中で生きている私達の日常とは、自分でも無意識の内に必ず、何処かで自分も差別と偏見の加害者と被害者の両方を往き来して両方の経験の中で暮らしているように思うのだが、みなさんはどうだろうか?
この作品のプロデューサーをブラピがしていているが、いかにも彼のプロデュース作品と言う気がする。幾多の苦労を経てその苦労が実りハリウッドの大スターとなった彼の生き方それが、そのままこの作品を産み出す要因になっている気がする。彼の私生活が彼の生き方を示している。そして彼が若くしてRRフォードに見出された事も大きな影響になり彼が制作者としての道を歩み始めた要因だと思う。
余りにも観るには辛い作品であった。しかしそれでも現実は更によりリアルなのだろう!
自由とは、人が持つ生まれながらの権利
本年度アカデミー賞作品賞受賞作。
隣町の映画館での上映がようやく決まり、早速観に行ってきた。
奴隷問題を扱った映画は多く、去年も「リンカーン」や「ジャンゴ」があった。
僕は、奴隷問題や人種差別を扱った映画が好きと言ったら言葉が悪いが、非常に胸に響く。
が、ここまでがっつり真っ正面から捉え、ズシリと感じたのは初めてかもしれない。
自由黒人だった主人公ソロモンは、白人の裏切りで奴隷として売り飛ばされる。騙された事も、自分が置かれた状況の説明も無く、突然に。
ここから見る側は、ソロモンの身になって、彼の辿った苦しみの歳月を体感する事になる。
ソロモンの身に降りかかるのは、恐怖、絶望、不安、過酷な重労働、不条理な暴力…。
味方も信用出来る者も居ない。目をかけてくれる者は居ても、助けてはくれない。
とても人が人にするとは思えない酷たらしい仕打ち。
黒人と白人の何が違う?
目を背けたくなる場面もある。
しかし、目を背けてはいけない。
こんな事がほんの一世紀半前まで実際にあったのだ。
オスカーを受賞したルピタ・ニョンゴの熱演が話題だが、受賞を逃した二人にこそ引き込まれた。
キウェテル・イジョフォーは、ソロモンの悲しみ、苦しみ、決して人としての誇りを捨てない姿を体現。
マイケル・ファスベンダーはソロモンの2番目の主人で、奴隷たちに対して情けも慈悲も無い。その一方で、ルピタ・ニョンゴ演じるパッツィーに歪んだ愛情を持つ。冷酷でもあるが、惨めで哀れな男にも見えた。ファスベンダーにとっても、苦難の役だったろう。
実話である為、オチは分かっている。苦しみの12年の末、遂に自由を取り戻す。心揺さぶり、深い感動を呼ぶスティーヴ・マックィーンの演出は素晴らしい。
自国の暗部であり汚点である題材な為、映画会社は及び腰だったそうだが、本作の製作に尽力したブラッド・ピットのプロデュース能力も称えたい。
スピルバーグの「アミスタッド」で、名キャッチコピーがあった。
“自由とは、人が持つ生まれながらの権利”
彼らは奴隷でも、ましてや誰かの所有物でもない。
一人の人間なのだ。
その自由は誰にも奪えやしない。
別に賞を穫って賞賛されたからじゃない。
現時点での今年のNo.1だ。
この時代の再来を望んでる人がいる!?
この奴隷制度の在り方に問題視する人が多いとは思うが、実は現代においても同じような構図を作っている我々がいることを否めずにはいられない。
第3国で作られた安いコストで作られた品物を低価格で買うことを貪り、生活を潤す。知らず知らずにやってませんか!?
自分が見えないところで苦役している人の顔を…。正当な値段で購入して喜ぶ売り手。
そんな時代を反映しているとも思えた。
生きて孫を抱く
ジャンゴのいない世界はこんなに酷く腐っていたのか…正義もクソもない。これが真実で生き延びたと分かってなかったら見てられなかった。「ゼログラビティ」然りどんな苦境に立たされても諦めてはダメだ。という作品が指示されるのは、時代が求めてるからだろうな。正面からのカットが多くて漫画的だなと思った。
普通で、常で、大多数であることは怖いことなのかも
…クスリともスッキリとも、これっぽちもしない。明るくも楽しくもこれっぽちもない。
故に「絶対見た方がいい!」とか「素晴らしい作品だ!」とか言わない。
目つぶって見ちゃうような、どんどん鬱になっていくような事…まぁ…ばかりだし(苦笑)結果的に唯一ブラピは近いかもしれないけど、でもヒーローはおろか偽善者でさえも存在しない。
主人公だって全然例外じゃないんだから。
これが物語ではなく、実際にあった世界だということを改めて考えると…ねぇもう信じられないはずなんだけどね。
人身売買や奴隷制度のない…まぁ少なくとも縁遠い生活をしてる自分の環境、現代日本に暮らせていて心から安堵すると共に、そんな発言に罪悪感。
自分や近しい人間だけが良ければそれでいいのか。
「自由黒人」だって、「不自由黒人」がいるからこその言葉なはずで、それを主人公もわかっているはずなのに、それはそれこれはこれ。
でも結局のところそういう人間が普通で、そういう世界だったからこその映画、作品、出来事なんだろうと思いました。
いつだって、普通で大多数であることは怖いことでもあるよなー
人間の真実の残酷さ
人種差別にとどまらない残虐性。
同じ人間に対して、人はあそこまで残酷になれるものなのか。
主人公にしても、一緒に船で運ばれていた仲間の一人が主人に助け出されると、自分も連れて行けとばかりにその名を叫んだり、自分を信頼している奴隷仲間の娘を鞭打ったり、生きるために強かな残酷な一面を見せる。最後は自分一人助かって行くのだ。
残虐性は弱さの裏返しであることも、本作ではよく描かれている。
真に他人のために献身的な人は、本作には出てこない。ブラピの台詞「自分がかわいい」が、全てか。
映像センスは抜群だ。リアリズムと心理描写、動と静。映像は完璧と言っても良い。
期待し過ぎだったかな。
期待し過ぎた感あり。全く予備知識も無く観たんだが、誘拐からの奴隷にされてしまった話とは予想しておらず、あの時代で、自由黒人と、奴隷の違いってなんだろうと、そっちも気になりつつ。話がすすむ。
結局、助けてくれる人が見つかって運良く助かったけど、奴隷として働かせられている人々は其のままで、胸糞悪い話です。アメリカのブラックな一面を胸に刻みました。日本だって似たような話はたくさん有るんだろうけどね。命の価値の安い事。
ふぅう。。。
痛い映画。覚悟はしてましたが、これが実話にもとづくとは。
希望を持つ、ということができること自体がすごいことなんだと。
時代の価値観、人間の残忍さ、差別というものについて改めて打ちのめされました。
悲しいです。
実話に基づいていて、記録として残っていると言うことから最後はどうなるか予想できたのでなんとか見ることが出来ました。とても悲しい内容です。セリフは少なく進んで行くのですが、それが一層悲しいみを際立たせています。最後の場面で主人公が最初に言った台詞、主人公がどんな人物だったのかを現していてとてと印象的でした。娯楽性はほぼ無いですが、非常に良く出来た作品でした。
ドラマじゃないから
あくまでも実際に過去にあったアメリカの暗い歴史の悲劇を体験談として描いていて、泣かせることもないし同情することもない。ただ忘れてはいけない歴史なんだってメッセージが届くだけの作品。
作品賞と言う事で期待して見ただけに、不完全燃焼した感じ。昔、幼い頃家で見た「ルーツ」のクンタキンテの方が当時の奴隷制度の悲惨さを表現していたと思う。もっと、むごいことが沢山あったと思うし、もっと悲惨な目に遭わされた黒人も沢山いたと思う。KKK団とか白人至上主義のリアルさをもっと描写して欲しかった。
絵空事ではない
南北戦争の前、ニューヨークでは黒人が白人のように自由で家庭を持って普通に生活していたという描写にまず驚いた。南部ではへまをした白人が奴隷扱いされている場面もあり、そんなこともあったのかとびっくりした。
白人の拷問がひどくて、特に主人公が首つりされてる場面と奴隷の女の子を鞭打つ場面はどっちも執拗な長いワンカットで、恐ろしかった。首つりの方は、拷問が日常の一部であることが描かれていた。
差別や奴隷制度は遠い昔の異国の事だと思いがちだが、お隣の北朝鮮では現在進行形の問題だし、和民やすき屋のバイトや社員が奴隷同様に働かされているのにも通じる問題だ。より巧妙な手口でワーキングプアを奴隷扱いしようとしているので余計に悪いような感じすらする。
『シェイム』では個人の病理を描いた監督はこの作品では、社会の病理を描いたのだろう。しかし、主人公があまりに高潔で素晴らしい人格だったため、オレの心には入って来ない部分があった。しかし、この映画でカスみたいな人物が主人公だった場合、物語としておかしくなってしまうので、問題があるのは受け取り側のオレなのだ。
思ったよりも娯楽性が強い
自由黒人とはいえ、それを証明するのは自由証明書という紙切れ一枚。この映画のように悪いヤツに引っ掛かったら人生が180度変わってしまう恐ろしい時代だ。
この作品、実話を元に、この許されざる人権侵害と、何がなんでも家族のもとに帰るという主人公ソロモンの生への執念を描いている。
ただし、全体から受ける印象は人間の性(さが)を込めた娯楽性の高い作品。
たしかに不条理な運命に喘ぐ黒人バイオリスト、ソロモンをキウェテル・イジョフォーが熱演し、人種差別や奴隷制度を批判する内容ではある。
だが、一見優しいが肝心なところで強く出られない主人フォードのベネディクト・カンバーバッチ、鞭打ちに生きがいを感じるサディスティックなエップスのマイケル・ファスベンダーといった面々が、単に話を人道上の問題だけに留めず、人間が持つ狡猾さと残虐性をチクチクと刺激する。
同じように人種差別を根底に置きながらも娯楽作品だと思っていた「大統領の執事の涙」が娯楽性に乏しく、完全に人間ドラマだと思った本作の方が話が沈まないのは、映画作品として2時間を使い切る監督の度量の差と見た。
ソロモンがワシントンからニューオーリンズに送られる外輪船の航跡。スクリューのものとは違って水車がつくる段のある航跡。その段が増えただけ、自由から遠のくように見える。
名作^o^
黒人奴隷の悲惨さがよくわかる作品。
間違った運命により家族と離れ離れになり奴隷として残酷な仕打ちを受ける主人公。
そして、白人の奴隷として逆らうことを許されず働き尽くすニガーたち。
なぜ人種が違うだけでこんなにも理不尽で悲惨な事が起こってしまうのだろうと深く考えさせられる作品です。
少しネタバレ
実話なだけにラストがしっくりこなかったりしてストーリー的には納得しづらいが、
主演と助演女優の演技がしみる。
ところどころにはさまる自然の風景が、過酷な奴隷生活との対比となってとても綺麗で自由に感じられる。
お葬式のシーンで歌い出すシーンはよかった。
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