「絵空事ではない」それでも夜は明ける 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
絵空事ではない
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南北戦争の前、ニューヨークでは黒人が白人のように自由で家庭を持って普通に生活していたという描写にまず驚いた。南部ではへまをした白人が奴隷扱いされている場面もあり、そんなこともあったのかとびっくりした。
白人の拷問がひどくて、特に主人公が首つりされてる場面と奴隷の女の子を鞭打つ場面はどっちも執拗な長いワンカットで、恐ろしかった。首つりの方は、拷問が日常の一部であることが描かれていた。
差別や奴隷制度は遠い昔の異国の事だと思いがちだが、お隣の北朝鮮では現在進行形の問題だし、和民やすき屋のバイトや社員が奴隷同様に働かされているのにも通じる問題だ。より巧妙な手口でワーキングプアを奴隷扱いしようとしているので余計に悪いような感じすらする。
『シェイム』では個人の病理を描いた監督はこの作品では、社会の病理を描いたのだろう。しかし、主人公があまりに高潔で素晴らしい人格だったため、オレの心には入って来ない部分があった。しかし、この映画でカスみたいな人物が主人公だった場合、物語としておかしくなってしまうので、問題があるのは受け取り側のオレなのだ。
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