「いい大根といい脚本。」超高速!参勤交代 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
いい大根といい脚本。
チラシを手にした時から、ナンだこのふざけたタイトルは~?
と思っていたが、超高速!の真の理由が分かると、生半可な
気持ちではとても観れない作品。藩命を懸けた参勤交代のお話。
第37回城戸賞に輝いた土橋章宏の脚本、というので期待したが
寸分の狂いなし、知恵とユーモアに富んだ娯楽アクション時代劇。
城戸賞というと、あの「のぼうの城」を思い出すが、殿様びいきで
観られるのがよく似ている。農民を大切にしてきたいい殿様だ。
そんな殿様の弱小藩が幕府老中に立ち向かうという胸の梳く話。
あり得そうであり得ない行動の顛末を活き活きと描いているのが
ちょっと「半沢直樹」風。
119分間、全くダレることなくあの参勤交代のノウハウが学べる。
脚本も素晴らしいが、キャストもいい。
湯長谷藩の藩主の内藤政醇に佐々木蔵之介。いわき弁を朗々と
喋る気さくな殿様の本分は、武芸に長けた強ーい殿様であった!
そんな彼を取り巻く藩士達も面白い。西村、寺脇、六角、柄本、
上地、知念、そして伊原。知恵と度胸とお笑い(これは違うか?)で
乗り切れそうなメンバーだが、腕っぷしの方も実はめっぽう強い。
但し見せ場は超後半、何せ彼らは竹光を持たされてるからね~。
現在の金額で、およそ5億をかけて行われていたという参勤交代。
通常で8日間かかる道のりをやっと終えて帰ってきた湯長谷藩に
すぐにまた参勤の命が下される。金も人手も足りない中で藩命を
守るには5日で江戸に到着しなければならない。さぁどうする!?
そりゃもう、走るしかない!!ってことで彼らは見えないところで
大いに走りまくる。山を越え谷を下り、道案内の伊原の助けを借り
何とか道中を急ぐ彼らに向け、老中から放たれる刺客。大ピンチ!!
これがホントに面白い。狙い通りの笑いとはいえ(シニアが大喜び)、
ただのコメディとも化していない。西村が演じる相馬に向けられる
知恵出しの数々。彼らは知恵と運と根性で修羅場を渡っていくのだ。
リーダーシップの取り方、参謀の在り方、部下の纏め方に習い、
郷土愛に長けた殿様の人間力には将軍様とて一目置くのは当然。
(大根に始まり大根に終わる。これからもいわきの土を応援するぞー)