劇場公開日 2014年6月21日

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「温泉に入ったような温かさ いろいろな鬱憤を吹き飛ばせ! 「みんな、負けるな、パワハラに」」超高速!参勤交代 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 温泉に入ったような温かさ いろいろな鬱憤を吹き飛ばせ! 「みんな、負けるな、パワハラに」

2021年1月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

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幸せ

脚本大賞で、満場一致の支持を集めた脚本だとか。
 物を知らぬ私からすると、「え?そんなのあり?」という、参勤交代はこうあるべきという私の固定概念を軽く揺さぶってくれる。
 見事なリフレーミング、ソリューション。
 頑張れ、知恵袋。頑張れ、地道な生き方。
 ちっちゃな工夫が、ピンチを救う。

それでも、江戸であんな活劇繰り広げたら即刻お取りつぶしだよな、と思いつつ、皆が乗りに乗って制作している勢いで、「がはは、ありえな~い」と言いながら、最後まで気持ちよく見せてくれる。

原作未読。
 変な遊女を絡ませたり、ラストのドンパチ入れなくとも、この役者たちだったら、弱小藩の面々を丁寧に描き出すだけでも、上質なコメディになったと思う。
 突っ込みどころすら、計算しての脚本か?と言いたくなるような超!エンターテイメント。

無理難題にどうやって応えるのか、そんな知恵に魅かれて鑑賞。そうか、そういう手もありかと納得。
 「藩一番の知恵者だろう」と上司の無茶ブリに苦難顔の西村さんがとっても愛おしい。「ばんがれえ」と応援したくなる。
 反対に、あんな上司の下で命をかけざるを得ない忍びの悲哀。江戸のサラリーマンはつらいよね。転職できないもの。

単純化された善悪とか、TVの延長上だけれど、そこがまた「水戸黄門」等に通じる安定感もあり、気持ちいい。

成功とか、権力とか、贅沢とか、そういうことを求めることを、ビックな生き方として求める生き方もあるけれど、
人を大切にして、「晴れてる」それだけで喜び、よい土で丁寧に作った沢庵のおいしさがわかる生き方。
 どっちが贅沢なんだろう。

誰のために、何のために、頑張るのか。命をかけるのか。
 学歴?お金?権力?
 自分の大切なもの・人を守るため?

政府も推奨している投資。
 株・金・外貨・不動産。お金がお金をよぶことが前提。いずれはじけるバブルの繰り返し?
 でも、その一方で、地道にものを創り続けている人々がいる。文字通り、額に汗かきながら。そんな仕事を見直して誇りをもって従事している人も増えてきたけれど、反面3K、5Kとか言って下げずむ人もいる。そして極め付けが改善されない労働環境。

そんな、普段忘れている思いを思い出させてくれる映画。

定番の温かさ、福島応援も含めて、気晴らしにはもってこい。

(2025.9.30描き直し)

とみいじょん
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