「喜びも悲しみもあって」インサイド・ヘッド 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
喜びも悲しみもあって
ピクサー20年!
「トイ・ストーリー3」以降まずまずな作品が続き、一時期ピクサー頼りと言われていたディズニーに抑えられた感があったが、本作は評判通りの久々の傑作!
イマジネーション溢れるオリジナル作品でこそのピクサー!
今年5月に公開された邦画「脳内ポイズンベリー」とまさかのネタ被りなのは既にご存知の通り。
あちらはあちらでそれなりに面白かったが、言ってみれば単なる脳内ドタバタラブコメディにしか過ぎなかったのに対し、こちらは、ある少女の誕生~成長の喜怒哀楽を浮かび上がらせ、一枚も二枚も三枚も上手!
「喜」=ヨロコビ、「悲」=カナシミ、「怒」=イカリ、「嫌」=ムカムカ、「怖」=ビビリの5つの感情。
他にも色んな感情あるんじゃないの?…と一瞬思うが、絶妙なケミストリー。
監督が娘の成長からアイデアを思い付いただけあって、なるほどと思わせる。確かに子供って、素直にこれらの感情を表す。
つまり、どれも欠かす事の出来ない感情。
「怒」や「嫌」や「怖」は時として命の危険から身を守る。
「悲」は…?
映画の中で、ヨロコビとカナシミが消えてしまう。(感情たちの居る指令部から外へ放り出されてしまう)
残された感情だけになった少女ライリーがどんな性格になったかはすぐ想像つく。それらの感情が悪い方向へ悪い方向へ堕ちてしまったのが、世の中犯罪を起こす輩なのだろう。
ここで、「喜」と共に「悲」も非常に大事な感情であると分かる。
悲しみがあるから、人は人の温もりを感じる事が出来る。
悲しみがあって、人はそれをバネに成長する事が出来る。
喜んで喜んで喜んだ分、人は悲しみを感じる事が出来る。
悲しんで悲しんで悲しんだ分、人は喜ぶ事が出来る。
喜びも悲しみも人の幸せ。
擬人化された感情が頭の中で繰り広げる大冒険にハラハラドキドキ。
感情たちの掛け合いも楽しい。
塞ぎ込んでしまうライリーは見ていて痛ましい。(まるで親目線)
幼少の頃の空想上の友達、ビンボンに涙…。
果たしてヨロコビとカナシミは元の場所に戻る事が出来るのか…? ライリーは「喜」と「悲」の感情を取り戻す事が出来るのか…?
笑えて、ジ~ンと目頭が熱くなって、人の幸せについて考えもさせられる。
メチャクチャ気に入ってしまった。傑作多いピクサー作品の中でも特にお気に入りになりそう。必見!
最後にどうでもいい余談だが…
僕のリア友で、「人間の頭の中、こうなってる訳ないじゃん。カスだカス、ゴミ映画」と見もしないで本作を批判してる輩が要るのだが、多分コイツの頭の中は、「固」と「偏屈」の感情しか無いんだろうなぁ。