「感情について考えたことない人にはオススメ」インサイド・ヘッド よしゅさんの映画レビュー(感想・評価)
感情について考えたことない人にはオススメ
あらすじに不安を覚えつつも、PIXARだからと期待したが、やはりこじんまりとした作品だった。
こじんまりとしてしまうのは内面の話だからというのもあるだろうが、構図にも問題がある(ただ、PIXARアニメにスケール感が求められないのであれば問題ないが、歴代の作品を観ても、どれも大きな世界での冒険・戦いが描かれているので)。
どういうことかと言うと、指令塔から迷子になったヨロコビたちが、事あるごとに指令塔(つまりゴール)の位置を確認する点がマズいと思った。例えば『トイ・ストーリー』も主人公たちはおもちゃなので、同じく舞台のスケールは小さい。しかしゴール(=アンディの家)の方角、ゴールまでの距離が分からないので、本当に帰ることができないのではないかと途方にくれる(ガソリンスタンドでのシーン)。しかし今作は、すぐあそこに帰ることが出来れば上がり・と早々に示され、主人公たちの行動範囲が把握出来てしまうので、スケール感が小さくなっている。しかも「すぐあそこ」なのに90分近く焦らされる。
物語としても決して駄作ではないのだけど、感情についてのヴィジュアルアイデアを小出しにしていく、言わばお笑い映画(重ねて言うが悪い意味ではない)。
悲しみが何故必要かなんてことはとっくに知っていて、でもPIXAR(またはアメリカ人?)ならではの解答を期待した。でも想像の範囲内だったので残念。感情について思考を巡らせたことのない人には、考えるきっかけになると思う。
また『モンスターズ・インク』での大量のドアや『カールじいさん~』での大量の風船などに通じる、「色とりどりの大量の何か」というのは監督こだわりのモチーフなのか、という発見をした。
吹き替え版を観たが、竹内結子のバカポジティブさと、大竹しのぶのメンヘラぶりが遺憾なく発揮されていて適役だった。