「見えない真実への苛立ち、耐えがたい不安。」プリズナーズ アルさんの映画レビュー(感想・評価)
見えない真実への苛立ち、耐えがたい不安。
ゆったりと静かに始まる事件。全く想像出来ない展開に、心臓を鷲掴まれた。何処にでも居る普通の父親が自分の娘の為に、“感情という狂気”が“人間の理性”を無くす。少しずつ少しずつ心を押し潰されていく怖さ。そして思わず目を背けたくなる感情の矛先、その怒りと不安を、つい理解し同情してしまう。
ケラー役ヒュー・ジャックマンが、子を持つ親の心情をリアル過ぎる程に表現。敏腕刑事ロキ役ジェイク・ギレンホールが、熱く、そして冷静に容疑者を探し出す。
ミスや運なども上手く絡ませる展開も、あり得る切っ掛けとして良いスパイスに。そして全ての“点”が繋がって“線”になる、その瞬間の衝撃が凄い。
もはや何がハッピーエンドで、何がバッドエンドなのか。そんな判断も出来ないくらいに、心を引っ掻きまわされた。
約150分という時間は感じさせない脚本、展開に大きな波は無くとも引き込まれる。同じ境遇になった時の自分に置き換えつつ、且つ客観的に見ている様な不思議な感覚。
登場人物全て“人間”特有の怖さがあり、悪い意味での防衛本能が全面に出てくる。心に引っかかり、考えさせられる傑作。
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