「最後まで微妙に乗れなかった」ぶどうのなみだ スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
最後まで微妙に乗れなかった
三島有紀子監督×大泉洋コンビの前作「しあわせのパン」は結構好きな内容の映画でしたが、同じ北海道が舞台のファンタジー調なヒューマンドラマでも、今回はちょっと微妙だったかなぁ。
北海道が舞台とは言え現実的ではない、ちょっと不思議な世界観でも前作は不思議と受け入れられたのですが、今回はいまいち乗れませんでした。
あれは原田知世×大泉洋夫妻が営むパンカフェの温かい雰囲気があったから楽しめたのかな、今回の大泉洋×染谷将太兄弟のマッチ具合は正直もう一つに感じました。
今旬の俳優2人を使ってこれは勿体無い・・・。
突如どこからともなく現れた不思議な女性の存在も、思ったほどは魅力的には感じれず。
安藤裕子が演じた穴掘り女エリカは、結局アンモナイト専門の考古学者だったのでしょうか?
唐突に他人のブドウ園に断りもなく穴掘って、それは大泉洋のアオじゃなくても怒りますって(劇中ではアオが悪者扱いになっていたのが個人的には不思議でしょうがない)
まあ終わってみれば結果エリカが多少は魅力的に見えなくもなかったですけど、見せ方としては決して褒められたものではなかったような。
結局主題がいまいち掴めない映画だったんですよね、傷つき疲れた人達の再生物語と言えばそうだし、アオとエリカのラブストーリーと言えばそうだし、家族の絆物語と言えばそうだし、ワイン作りの物語と言ってもそうなんですが、心温まると言うタイプの話でもなく、心に突き刺さるタイプの話でもなく、まあ見終わっての後味は悪くない映画でしたけど、ぼやけた印象しか残らず、記憶からはすぐ消えてしまいそう・・・。
逆に印象に残ったのは、ロクが作ったパン料理の数々と、モフモフした白毛の可愛い犬と、北海道・空知地方の大自然と、亡き父役の大杉漣の渋さでしょうか。
まあ癒し要素は結構あったんで、それらをもっと生かして欲しかったですね、話が重く癒し映画って感じにもならずでしたので、返す返すも中途半端だったなと思わずにはいられませんでした。
もしかしたら私がワインにほとんど興味がないからいまいちに感じただけなのかもしれませんけど(ワインよりもパンの方が断然おいしそうに見えて・・・)
それと大泉洋が元世界的天才指揮者には全く見えなくて、違和感しか感じませんでした(笑)