「奥深くて観飽きない宮崎アニメの原点」風の谷のナウシカ みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
奥深くて観飽きない宮崎アニメの原点
また観てしまった。派手さはないが、奥深くて、何度鑑賞しても飽きることのない作品である。
ストーリーは起伏に富んではいるが、全編の底流に澱みなく流れるものを感じる。終末観、自然と人間、大自然の脅威の前での人間の無力さ、自然の凄まじさ、終末期に及んでもなお戦いを止めない人間の愚かさ、そんなものが織り交ざった滔々とした大河の流れを観ている感じがした。
年を重ねながら何度観ても古臭さを感じないのは、普遍的なものを描いているからだろう。腐海は自然破壊の末路であり、王蟲は大自然の脅威の象徴である。自然と人間の共生が作品メッセージではあるが、今回の鑑賞では、共生というよりは、もっと進んで、自然破壊への静かではあるが確かな怒りを感じた。凶暴な王蟲は大自然の脅威の象徴であるとともに、宮崎監督自身の自然破壊に対する怒りを象徴していると感じた。
観終わって、作品を見切ったという感覚はなかった。これからも機会あるたびに鑑賞することになるだろう。
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