「できすぎかもしれないけど......。」LIFE! mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
できすぎかもしれないけど......。
ベン・スティラーといえば、コメディアンであり、「ズーランダー」「トロピック・サンダー 史上最低の作戦」というナンセンス・コメディの監督というイメージであるが、監督デビューは「リアリティ・バイツ」だし「アメリカの災難」(デビッド・O・ラッセル監督)などにも出演している。
少し背が低いだけでルックスもそう悪くはない。
「虹を摑む男」(ノーマン・Z・マクロード監督)の再映画化らしい本作は、心に響く名品であった。
1枚のネガを求めて、世界中を飛び回っているカメラマンを追いかけて、自身も世界中を飛び回る編集者。
平凡な生活をしている男が、何かに背中を押されるようにして前へ進む。
平凡な生活は悪くないが、やはり心浮き立つものは少ない。そういう心浮き立つものを求めて、主人公は行動を起こすわけではないが、結果としてかなり前向きな男になる。
好きな彼女との関係にしてもそう、ピアノを売ってしまったこともそう。
また、人物の配し方が絶妙であった。
火山の噴火を撮影するために複葉機の上に立って飛んで行くカメラマン。
空港で身柄を拘束された主人公の身元を引き受けるために現れたサイトの電話番。
主人公は平凡な生活だったかもしれないが、ひたむきに仕事をしていたその姿を認めてくれる人はちゃんといたわけで、そういう人が近くにいた主人公のことがたまらなくうらやましい。
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