大統領の執事の涙のレビュー・感想・評価
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アメリカの歴史を、一人の国民としての目線から捉えた良作
温かく重みのある良い映画だった。
作中でも描かれていたように、当時ベトナム戦争はアメリカの参戦の意義が問われていた。個人的な意見としては、ベトナム戦争によって南ベトナムが敗北すれば、ソ連や中国といった共産主義勢力の拡張を許すことにつながり、結局アメリカをさらなる危険に陥れることにつながる。アメリカの安全を守るためにも、むしろ積極的にベトナム戦争に関与して先手を打つ決断を政府が下したのは正しかったように思う。しかし、所詮それは他人事だから言えるのであって、セシルも息子が戦争に送られるのは許せない気持ちでいっぱいだっただろう。
また、公民権運動に関しても、この運動が黒人の社会的地位向上や公民権法、投票権法といった法律の成立に大きな役割を果たしているので、大変な意義のある運動だった。しかし、我慢を重ねて自分の身を守ってきた父親からしてみれば、息子が学業を放置して、逮捕されたり命の危険にもつながったりする運動に身を投じているのは、やはり許せなかっただろう。
このように、立場が変われば言うことも変わる。今作は、20世紀アメリカの激動期を、一人の国民として、そして一人の父親としての目線から捉えた良作。また、農園での底辺労働者という立場から、ホワイトハウスの執事にまで立身出世したサクセスストーリーでもあった。
大統領を通じた米国史と‼️❓執事を通じた黒人問題❓‼️
もちろん、執事と大統領とのリンクするところは創作なのだが、いろんな勉強にはなる。
差別問題といえども、ユダヤ人虐殺と対峙するほどの被害はあり、現在進行形なのだ。
日本も対岸の火事ではない、人種問題以外でも、イジメは殺人多数であり、パワハラ、セクハラも同様。
映画に戻れば、ベトナムでは、ベトナム人は五百万人、米兵は二百万人の犠牲者が出た、こんなに続けたのは軍産企業の影響も多い。
オバマはハワイ出のエリートなので、黒人問題は好転出来なかった。
現在、ウクライナやイスラエルの継続が危惧されるのは、ベトナムと根源を同じ、とも言える。
かなりオブラートに包んだ内容の映画だが、その分リアリティは高い。
アメリカを知るために、是非。
執事の父親と息子の物語
人権問題とか差別とか、KKKが出てくる作品を知らず知らずのうちに立て続けで観ていたので、そういうのがないハートフルな雰囲気の作品ないかと思い手に取ったのが本作。
調べなかった自分も悪いが、思いっきり人種差別についての作品で、執事かどうかは余り関係なかった。
この後に観た「夜に生きる」にもKKKとか出てきて、また偶然にも差別を扱った作品だった。なんかとりつかれてるのか、そういう作品が多くなっただけなのか、自分の選別眼がおかしいだけなのか、まあどれでもいいけれど、期待と内容があまりにも違うと少し評価に影響しちゃうよね。そうならないように気をつけてはいるけれど。
それで内容についてだが、すでに書いたようにもうほとんど人種差別についての物語だった。
主人公と大統領の絡みは思った以上になくて、ニクソンと一回、ケネディと一回、レーガンと一回くらいしかない。あとは、各大統領が差別絡みの政治判断をする場を見ているだけだ。
各大統領はなかなか豪華なキャスティングだったのに出番が少なかったのは残念だ。
あとは、作品中で「夜の大捜査線」について、白人が考える黒人の姿だというセリフがあるが、なんだか、本作こそがそれに該当してしまっているような気がした。
自分は白人でもないし黒人でもないからその辺はちょっとわからないし、確か黒人監督だったと思うから自分のほうがおかしい可能性は高いけど、どこか何か違うような違和感は観賞後にすごく残った。なかなか面白くていい作品だけど、★5はないなと感覚的に思うのはこれが原因かと。
それと、ここ10年くらいの映画は画像加工技術が発達してすごいよね。フォレスト・ウィテカーがそこそこ若い時代から老時代まで演じているが無理が全然ない。
ウィテカーの年齢不詳感が後押ししているのもあるだろうけどね。
公民権作品
ホワイトハウスと大統領寄りの内容かと思いきや、公民権運動にかなり重点が置かれているようで、そこは期待と異なります。
真面目で淡々とした佳作であることは疑いありませんが、今一つパンチが足りないような。
偶然
テレビで見た。
アメリカの負の歴史の面(黒人差別)が描かれているから、フォレストガンプの対の映画と言われている。
KKKがめちゃくちゃ怖かった。歴代の大統領についた執事が主人公だから歴史の勉強にもなりそう。
父と息子の想い
戦後の歴代アメリカ大統領に仕えた黒人執事が主人公。彼の半生を通して、人種差別問題を軸に、アメリカ近代史、彼の家族の愛と葛藤を描いている。
当時のニュース映像を効果的に使い、波乱のアメリカ近代史を敢えて淡々と描くことで、人種差別問題の根深さを浮き彫りにしている。
そんな時代に翻弄されながらも、異なる方法で人種差別と闘い対立していた主人公と息子が互いの誤解に気付き和解する展開は感動的。
ラストでオバマ大統領が登場するが、アメリカ社会における黒人大統領誕生の意義深さが実感できる作品だった。
前半の駆け上っていく感じがよかった
差別の歴史と大統領の歴史がフィクションを交えてとはいえ 知ることができてよかった。差別について 酷い時代だな と涙することはあったけど、余韻としては感動はなかった。まあ良かった。
大統領の執事の目から見たアメリカの黒人差別とホワイトハウス。 様々...
大統領の執事の目から見たアメリカの黒人差別とホワイトハウス。
様々な大統領の目から見た黒人差別、そして苦悩。
人権が回復をした今でもその差別が残っているとニュースでも見聞きするけれど、とても難しく根深いものなんだと思う。
ホワイトハウスの執事として保守的だった主人公もだんだんと様々な気持ちが芽生え、家族と向き合い、ラストに向けて歩み寄っていく場面はよかった。
むう、
当時の過酷な状況の子供の主人公、その主人公の男の子が、序盤トントン拍子に環境が変わり、時間が流れて一気に大人になり、結婚までして子供いて家庭をもつ展開。
そこに「へ?あの男の子が、この男性に?」、「それだけ時間が一気に流れたの?」、って混乱もした。
序盤の経緯の流れが省略しすぎだろ、と。
そこからはもう大統領絡みの職に就く話になり早々に「メイン」の話になる。
それからもおもしろくもあったけど、差別に苦労する息子や、その息子との「父子の関係」の要素も多かったりで、個人的にはもうちょっとテーマというか主旨を絞った方がいいようにも思えた。
それでも、オバマが大統領になったことはやはり大きいことだったんだな、と。
ビリー・ホリデイの後に見るべきだ。
公民権運動では、アンクルトムは否定的に見られている。その点をかなり突っ込んで描いているので、映画の結末とか、歴代の大統領に対する忖度感には不満が残るが、評価したい。この映画が、ビリー・ホリデイに繋がるのだと思う。
理解しあうということが難しいことだと感じました。
執事として使えること、人権活動をすること。
やりたいことを親に認めてもらうこと。
心の奥底が見えないほうがいいこともある。
人権を獲得することの大切さがわかりました。
理解しあうということが難しいことだと感じました。
題名から想像していたのと違った…邦題が悪すぎる。
アメリカでの人種差別がまだまだ根強い時代から、初の黒人大統領の誕までを一人の黒人執事の目線で描ききっている。
アメリカ国民又はアメリカの歴史に精通していれば唸る場面が多々あるんだろうなぁと思う。
キング牧師やマルコムX、キューバ機危機にベトナム戦争。歴史的な重要事項と家族愛を2時間の映画に盛り込んだので、全体的に薄くなった気がする。
ただ、キャストは主役の二人に加えて、ロビン・ウィリアムス、ジョン・キューザック(これはミスキャストな気がする)、ジェーン・フォンダ、テレンス・ハワードと豪華だったな。
ただ、いつものことだけど邦題が悪すぎる。執事の涙なんて、この映画で描きたい事ではないと思う^_^;
【黒人米大統領執事は自らの感情を表に出さず、7人の大統領に仕えた・・。2時間でアメリカの正当な近代史を学べます。】
セシル・ゲインズ(フォレスト・ウィテカー)が仕えた7人の大統領。
1.ドワイト・アイゼンハワー(ロビン・ウィリアムズ)
2.ジョン・F・ケネディ(ジェームズ・マースデン)
3.リンドン・B・ジョンソン(リーヴ・シュレイバー)
4.リチャード・ニクソン(ジョン・キューザック)
5.ジェラルド・R・フォード(・・・)
6.ジミー・カーター(・・・)
7.ロナルド・レーガン(アラン・リックマン)
ナンシー・レーガン(ジェーン・フォンダ)
と、劇中では各年代の重大な出来事 ”キューバ危機” ”ケネディ暗殺” ”ベトナム戦争” 及び数々の ”黒人問題” が描かれる。
激動の時代でも、セシルは黙々と執事を務める。
”世の中を良くするために、父さんは白人に仕えている・・” という彼の言葉に息子ルイス(デヴィッド・オイェロウォ)は反発する・・。
<近代、アメリカ史を黒人の視点から描いた作品。親子の物語でもある。
ラストは涙が溢れます。>
<2014年2月15日 劇場にて鑑賞>
静かに胸にせまる歴史絵巻
尤も、本当に理解するには、USAの文化面も含んだ知識が必要。
「俺は絶対やめないぞ」だけで表されるウォーターゲート事件。
突然画面に現れる兵士の映像。ベトナム戦争。
そして、差し込まれる当時のバラエティ番組。
ひょっとしたら、バックミュージックも、当時を知る人ならその意味合いも一緒に感じ取れるのか?
”ニガー”と呼ばれた方々が経験してきた話を、政策とともに描く。
端的に要点だけを映像化して、全体の流れを見せてくれる手腕は見事。
でも、自分の勉強不足もあって、置いていかれている感が半端ない。
見ているだけでも心が凍り付いたKKKの襲撃、
実際の当時の映像も混ぜて描かれる斬撃等
激しい差別が行われている一方で、
ホワイトハウスで、要人の生活を支える役職に就く黒人たち。
芸能分野で、時代を作り、世界を魅了している黒人たち。
それでもの、制度としての差別を表現したいのか。
”あの”時代、否、USAの現実を肌で知らないことを思い知らされ、映画の中に入り込めない。壁一つ隔たれたところから絵巻を見せられているようで、もどかしい。
知識不足を感じたのは、時代観・生活感だけではない。
ホワイトハウス内でのセシルの位置にピンとこないのだ。
”執事”。
日本では、室町時代では、将軍を補佐する最高職のことである。
また、映画や漫画・アニメ、小説でのイメージだと、その家の家事や使用人を束ねる役目。使用人の中では、ハウス・スチュワードに次いでNo.2と認識していた。
だから、映画の中で「黒人は出世できない」と言われてもピンとこない。「黒人は白人の給料の4割」とか言われても、JFKに挨拶していた職員は皆黒人で、出てきた白人職員は人事部長のような人だけだったし。
上流・下流、勝ち組・負け組という言葉はピンと来ても、欧米での支配者層と被支配者層と、日本での感覚が違うからか、今ひとつピンとこない。
と、もどかしさがこみあげてくる。
それでも、短いエピソードの中にも、各大統領の人となりを描き出していて興味深い。
自分の打ち出した政策がなかなか浸透しないことにいら立つアイゼンハワーをロビン・ウィリアムズ氏が端的に表現する。こんな表情のロビン氏は初めて見たような気がする。
理想主義のお坊ちゃんを演じさせたら右に出るものがいないマースデン氏はJFK。ジャッキーの慟哭に胸が引き裂かれる。
ジョンソンとニクソンは狂言回しか。
セシルを重用したとされるレーガンとレーガン夫人の、一見相手を大切にしているように見せつつ、人を利用してはばからない様子に唖然とする。そりゃ、レーガンの時代に辞めたくなるよ。
ただ、セシルと彼らの心の交流が台詞だけで語られるので、今一つ腑に落ちない。
「君は国のために尽くしてくれた」レーガンが言う。寿命が縮むと言われる激務をこなす大統領が、その人なりの明晰な頭脳と心で、決断できるように、生活を整える。彼らがいたがからこそなしえられることであろうということはわかるが、そのなかでもセシルが特別なのはどういう点でなのか?
もどかしい。
ルイスを狂言回しとして、ホワイトハウスの外で起こっていることを並走して描き出すのだが、これもまた、上記のことも絡んで、記録映画のようになってしまった。
そんな絵巻の中で、翻弄される一つの典型として描かれる家族。
”あいつらの国”に間借りして、”あいつら”を恐れ、期待した父、
”あいつらの国”に自分たちの居場所を作ろうとした息子たち。
権利を主張し行使する長男。
”あいつらの国”のやり方に組する(”あいつら”が始めた戦争に参加する)次男。
その間に挟まれた母。
そしていつしか…。
そんなセシルを演じたウィテカー氏。セシルが一歩踏み出す様と『ケープタウン』を思い重ねると、感慨深い。
そして次男を演じたケリー氏。『ヘアスプレー』を思い出す。
グッディング・Jr.氏は、この重苦しい物語の中で、『ザ・エージェント』で見せた軽いノリと落ち着きとを見せて、おかしみと安定を与えてくれる。
ハワード氏は『クラッシュ』で見せたインテリとは真逆の役。幅広い役者だ。
レッドグレーヴさんは、『MI』や『ジュリエットからの手紙』とは全く違う、田舎の女地主主人を見せてくれる。
駆け足で巡る絵巻。
走馬灯のよう。
映画館で観た方が映画に集中できたのかもしれない。
家で見ると、ググりながら見たくなってしまう。
そんな風に、その奥に隠れている本当に大切なものを共有しきれないもどかしさが尾を引く。
浅学な私が悪いんだけどさ。
歴史授業で見せたい映画
歴史の授業にピッタリ
映画の総括としては、普通かなと思った
映画館で見ても、損はない映画だと思うけど
「映画」として見たときに物足りなさを感じる
しかし、歴史コンテンツとして見たときにとても分かりやすく
まとめられていて、いいと思う
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