劇場公開日 2013年11月1日

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「ソダーバーグの直球ラブストーリー」恋するリベラーチェ arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ソダーバーグの直球ラブストーリー

2013年11月12日
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鑑賞方法:映画館

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引退宣言をしたスティーブン・ソダーバーグの最後の作品になるかもしれない今作はテレビ映画として製作されたが、劇場公開作として遜色ない出来になっている。

派手な衣装と軽妙なおしゃべりで世界的に人気を博したリベラーチェの伝記的映画。
しかし、今作はリベラーチェの秘密の恋人だったスコット・ソーソンの手記を元にしていることもあって、リベラーチェとスコットの出会いから泥沼の別れ、リベラーチェの死までを描いている。リベラーチェの人生を描こうとしたら、もっと散漫な作品になってしまったかもしれないが、二人の関係にフォーカスしたことで、思いのほかストレートなラブストーリーになっている。

見所は、やはりリベラーチェを演じたマイケル・ダグラスとスコットを演じたマット・デイモンの演技合戦だろう。
マイケル・ダグラスは外見もリベラーチェ本人に似せていたが、スターの傲慢さと孤独(これは自身のそれと響き合うのかもしれない)を併せ持つ複雑なリベラーチェという人を体現している。
マット・デイモンを今まで二枚目だと思ったことはないのだが、リベラーチェと出会った時のスコットはまだ20代のカワイコちゃんにしか見えないし、リベラーチェと別れた後の彼はすっかり憑き物が落ちたようにごく普通の男に見える。これを多少のメイクと髪型、体重の増減で演じ分けている。

年上の方は、いつか若い恋人に捨てられる不安に怯えている。と考えがちだが、若い恋人も、自分の若さが失われた時には捨てられるんじゃないかという不安に怯えている。
出会いの高揚、蜜月、倦怠、衝突、そして別れ。
男女の間だろうが同性の間だろうが、恋愛の辿る道は変わらないのだ。

甘く苦いラブストーリーに『恋するリベラーチェ』というタイトルはちょっと軽かったかも。

arakazu