「期待し過ぎたのか。」渇き。 えのきちさんの映画レビュー(感想・評価)
期待し過ぎたのか。
『渇き。』を鑑賞。
「告白」の中島哲也監督の最新作。
元刑事の藤島(役所広司)に元妻から高校生の娘加奈子(小松菜奈)が失踪したとの連絡があり探し始めるが、調査すればするほど娘の正体が明らかになってゆく。
「告白」で魅せた残酷な描写さえも独特の色彩センスとリズム感を発揮した鮮やかな映像美を期待しての鑑賞であったが残念ながら期待外れとなってしまったようだ。
登場人物はほぼ全員狂っているので、行動原理が理解不能。観客全員が完全に置き去りとなってしまう。スクリーンでは何が起こっているのかさえ理解できず、ただただ目の前で行われる暴力を観続ける事が要求される。
この作品を共感しながら楽しめる方は一度カウンセリングを受ける事をオススメする。
物語はそんな感じであるが映像においても所々中島監督らしさが見られるものの、余計な演出のお遊び程度に感じてしまう事と、劇中の役所広司の絵面が汚な過ぎる為、全体を通して血生臭く暗く汚ない印象。期待した色彩センスは全く発揮されていなかった。
宣伝はそこそこ大々的に行われているが決して万人向けの作品ではない。うっかり観に行くと大怪我をしかねないので要注意だ。
年頃の娘さんが居られる親御さんにはとても辛い内容であることもあらかじめ伝えておこう。
そんなわけで、個人的には期待外れと言わざるを得ない残念な作品であった。
昔、サッポロ黒ラベルの焼肉CMや卓球CMで魅せたセンスを今一度発揮して頂きたいと願うばかりである。
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