ブルージャスミンのレビュー・感想・評価
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切実感が
ウディ・アレンはいろんな作品で。様々な女優を起用している。
前はダイアン・キートン、ミア・ファロー、そして、最近ではマリオン・コティアール、エヴェン・レイチェル・ウッド、ナオミ・ワッツ、そして、今度のケイト・ブランシェット。
みんないい女優だし、僕のファイバリットも多い。
でも、それでも、それが彼女たちのNo1の映画だったか。というのとは違う。ウッデイ・アレンの作品が重厚とか胸に迫る映画というのではなく、どちらかといえばウェットに富んだコメディだからだろうと思う。
シリアスになりすぎないように気を使っているようにも見える。
この「ブルージャスミン」はどうだったか?
ウッディ・アレンにしてはシリアスだという。
主演のケイト・ブランシャットはアカデミー女優賞を獲ったくらいの演技だった。セレブの世界から庶民の世界に落ちてきたひとりの女を演じていたのだが・・・確かにときどき、現実と過去が入り混じって、錯乱したりするのだが・・・
それにしては、僕には現実ってこんなものじゃないだろうって感じてしまった。躁うつ病?・・・特にうつ病とは、こんなにポジティブじゃないんだ。もっとじと~としていることが多いのだ。
ネガティブ・シンキング・グズなんだ。そう、グズグズしているのだ。そんな場面があれば、もっと現実感が出て、僕の思い入れも入ったろうが・・・
やっぱり、ウッデイ・アレン監督とは相性が合わないのだろう。
女性のズルいところ
ケイトブランシェットの美しさは凛としたものがありつつだんだんと精神を病んでいく姿がみえて切ない。
プライドというか、ステータスがハイからローにはなかなか難しいのはわかるけど。
何よりも妹ジンジャーもパーティーで知り合った男性といいかんじになったら彼氏をなんとなくキープしつつ、ダメになったら彼氏に戻る姿。
ジャスミンも結局元旦那などに寄生してたから過去に囚われる姿。
女のズル賢い部分と人の脆さ、自業自得な転落劇。嘘をついていく姿は切なかったけど後味は悪くなかった。
女性に対する遠慮が見える。
一体、ウディ・アレンは女性恐怖症なのでしょうか、それとも、フェミニストなのでしょうか。この人の映画は、毎回、過度に女性を意識し過ぎているようで、それが鼻に着くことがしばしばあります。分野は違いますが、村上春樹同様、女性から嫌われることを極度に恐れているようにも見えます。もしかすると、この人、ある種の精神の病を抱えているのかもしれません。今回はウディ・アレン本人は出演していません。あの貧相で貧乏神のようなアレン、小声で早口でせきこみながら喋り続けるアレン、を見なくて済んだのは良かったのですが、如何せん、ケイト・ブランシェットの壊れ具合が中途半端だったのは、大きな不満でした。人格が崩壊していく過程を見せるなら、もっと徹底的に、しかも残酷に壊れた方が映画的に面白かった筈です。
この映画、ケイト・ブランシェットの演技に期待していたのですが、一言で云えば、やはり、いつものウディ・アレンの映画の域を出ていませんでした。そう、毎度のことながら、ぬるま湯的かつ神経症的な演出に終始していたのです。この監督に過大な期待は禁物なのかもしれません。
クズで潔い
メンヘラのおばさんが最終的に本格的に狂ってしまう残念な話だった。主人公が本当にクズだった。
里子を愛人にしてしまうようなおじいさんが作っているだけあって、親子の情のようなものは、すごくあっさりと何の興味もなさそうに描かれていた。全部の登場人物が自己中心的な欲望に忠実な人間であり、感性の若々しさや瑞々しさが感じられた。しかし、その自己中心性のいきつく果てが発狂であるので、客観性はあるのかなと思った。
ウッディ・アレンは自分以外の他者を、自分以上に大切に思うことは一生ないのだろう。彼にとっての恋愛は、自分の幸福の追求以外なにもないところに一貫しており、徹底していて潔い。
アンドリュー・ダイス・クレイを久しぶりに見れた。そんな役なんだけど、すっかり冴えない中年になっていた。ケイト・ブランシェットは鬼気迫る感じがした。
クズが主人公の映画は大好きなんだけど、女のクズは痛々し過ぎて見ていられない。男の立場でそれを描くのは、いかがなものかなと思う。
張り子のトラ
ジャスミンは「オサレで充実したワタシ像」を激しく愛している。
それが例え「張り子のトラ」だったとしても。
彼女の上昇志向・虚栄心・自己愛。
私は、セレブっぽい上昇志向とは縁遠いものの、別ベクトルの虚栄心はあるなあと自覚している。なので、この映画を観て「身につまされる」部分もあった。
(「身につまされる」というよりも、「ここまでヒドくない」という安心感か…。他人と比べ安心するというのは虚栄心の最たるものだなあ…。)
本作に、「張り子のトラ」の行き着く先を見せてもらった気がする。
あんな終点は辛い。
彼女の行く末を観るのは、どこかに自分の片鱗があり、痛く怖くもあるのだけれど、自分自身を嗤う快感も同時に湧いてくる。
私の「張り子のトラ」捨てなきゃなあ。本作観た後、見栄張って肩肘張ってた部分がほんの少し軽くなったような気がした。
—
本作は、ウッディ・アレン版『欲望という名の電車』だという人がいて、なるほどなあと思った。(確かに設定等かなり重なっている。)
ただし、
『欲望〜』の方は、壊れかけた女をとことん追いつめる男が居て、それによって女は更に壊れていく。
本作には、そこまで追いつめる男は出てこない。ただひたすら本人の自爆で壊れていくばかりである。「誰のせいでもない」という突き放した感じが、現代風でありアレン風なのかなとも思う。
『欲望〜』のエリア・カザンは、女の愚かさを「悲劇」として描いたが、本作のアレンは「悲劇」にすらしない手厳しさがあるなあと思った。(悲劇だと同情できるけど、本作は同情とかそういうのを突き放している。)
愚者を、手厳しく突き放し、笑い皮肉りつつ、その一方で彼らの五分の魂を描いてみせる。
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『欲望〜』のビビアン・リーは、悲劇ドップリに主人公を演じた。
本作の主役ケイト・ブランシェットは悲劇を避けて演じてみせた。
私は、『何がジェーンに起ったか?』(姉妹のうち片方が壊れてしまう物語)のベティ・デイビスを、連想してしまった。
ベティ・デイビスは狂気を、ホントに怖く演じた訳だが、そのやり切った様から「達成感」のような清々しさも感じてしまう。そしてまた本作のブランシェットも、やり切っていてどこか清々しい。
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追記:個人的にだが、アレック・ボールドウィンも良かった。虚栄の恋物語を無駄にカッコ良く演じている。
自分自身には何があったのか。
結婚した当初の若さが失われて、自分が失った若さをもっているパリの小娘に取られてどんな気持ち?ねえ、どんな気持ち?
そういえば、あなた自身も大学3年の小娘の時に結婚してましたけど、あなたには何がありましたか。あなたには何が残りましたか。
あなたが何かを成し遂げて得たものはありましたか。ありませんよね。あなたは消費するばかりでしたよね。
そして、自分の手でそれを捨ててしまったのですよね。
あなた自身は何者でもなかったのですよ。
役者がいいので、そういう生々しい体験が出来ます。
笑って観られればあなたは幸せもの。
他の方のレビューを見ていると……笑える、かぁ。私の場合はそういうお気楽な態度で鑑賞できなかったなぁ。皆さん自分のことを棚にあげるのがうまいのか、私が感傷的すぎるガキなのか……。
この作品はある意味で試練金であり、観て笑い飛ばせれば「あなたは幸せもの」です。
苦ーい作品
笑えないけど笑えるし、笑えるけど笑えない、そんな作品。
金と酒と宝石にまみれたセレブ生活から一変、借金生活で、それでもマティーニと精神安定剤は欠かせない生活。
しかしこの映画は「悲喜劇」という感じはしない。確かに最後の最後まで痛々しいんだけれど、悲しいほど純粋なジャスミンが垣間見える。
なんといっても、ケイト・ブランシェットの迫真の演技が素晴らしかった。
“見栄”が招く最悪の結末。自業自得の教訓的映画。
【賛否両論チェック】
賛:「こうなっちゃいけないよ」という反面教師として観るのに最適。ともすれば重いテーマを、軽妙な展開で見事に表現。
否:時間軸が行ったり来たりするので、ちょっと分かりにくいかも。ラブシーンも割とある方。
物語は、現在の没落したジャスミンと、幸せの絶頂にいるセレブ時代のジャスミンが、交互に描かれていきます。時間軸が行ったり来たりするので、最初はちょっと戸惑うかもしれません。自分を良く見せたいがためについた嘘の数々が、やがて自分の首を絞めるきっかけになっていく様子が、とってもコミカルに描かれていきます。
題材としては好みが分かれそうなところではありますが、非常に教訓になる映画ですので、謙虚な気持ちでご覧になってみて下さい(笑)。
ブルー(どころの転落人生じゃない)ジャスミン
ケイト・ブランシェット劇場。
完全なる彼女の独壇場ですよね、この映画。
ウディ・アレンお得意な周囲の人間模様描写もキッチリ描いてるし、主人公ジャスミンとその妹ジンジャーの恋愛を対比してストーリーが進行したりするんで、出演は彼女だけ!って勿論そんな訳ないんですけども、まあね、それよりもケイト・ブランシェットのこの異質っぷりというか突出感ね。そりゃあどんな演者も霞むでしょうよ。
ジャスミンが劇中でずっと空回ってる感じがこの映画の肝ですからね。バイタリティ溢れてるけど常に空回りしちゃうというか。その空回りを観やがれ!て映画ですから。
セレブから庶民に転落して、プライドだけはやたらに高いし棄てられない。下々の仕事なんかしてられない。習い事教室だって通っちゃいらんない。下賤な人間とは付き合えない。無一文で妹の部屋に上がり込んではいるけど、正直、妹も見下してる。じゃあどうするか!?となると、そりゃ再起を賭けた玉の輿でしょう!ということでイイ男を早々ゲット。培ったセレブ感覚は健在だから、経歴ガシガシ嘘付くし何故か自信たっぷり。そしてそしてどうなるか…どうなるか。
笑えないのに笑えてくるし、感情移入できないほどにジャスミンがクズいから、観客も傍観して行方を見守るだけという。可哀想とは思わないけど、でもハラハラする。身から出た錆で勝手に不幸になって行くんだけど、憐れで痛々しい。
おまけに彼女、終盤に脇汗なんかも掻いちゃったりして。
そんで、あの終わり方。
キッツイ。
キッツイです。
こりゃケイト・ブランシェット、こんな演技やっちゃったらオスカーも獲りますわな。納得です。
ウッディアレンの映画はあわないなが。
ウッディの映画は海外色が強すぎてあわないなが、ケイトブランシェットの演技はすごすぎる。気品のある役を壊れながら演技する姿は脱帽どころか、本当にいると勘違いさせる。あいかわらず掛け合いと皮肉、町の情景が多い映画
シニカルな。 作品より演技を楽しむもの?
観終わって一番に出てきた感想は
ジャスミンが可哀想というか、
痛たたたというか(自業自得みたいな?)、
ひゃー怖い…というか、
そりゃもう色々な感情が出てまいりました。
ブランシェットはそういう意味では
演技がハマり過ぎてて役にまったく違和感がありませんでした。
こんな人と付き合うと大変だなー…というヒステリックさが、よく滲み出ております。
ストーリー自体はライトなタッチで
時折音楽を混ぜていくあたり、
最近でいえば「LIFE!」に近いのですが
いかんせん、その本筋が
「ひゃー、キツいなコレは…」
↓
「あ、やっちまったな…」(ジャスミンが嘘付いて誤魔化すところ)
↓
「あー、まぁ仕方ないわな…」(嘘がバレて自暴自棄になるところ)
大きくまとめるとこんな感じで
たとえ、落ちぶれようとも
虚像の花で美しく着飾りたい
そんな生き方がまったく共感できないので。
いやはや、この作品の場合逆にそれを狙ってやっているから凄いのか。
しかし、民放のワイドショーだと
「元セレブの痛すぎる生活実態!」
みたいな感じでサラリと流されそうだなー。
それを作品として創り上げた所が凄いんですかね。
ケイト ブランシェット
彼女の演技は元々好きでしたが
今回は特に素晴らしい出来でした
内容は『欲望という名の電車』を彷彿とさせます
ウッディ アレンと喧嘩になりながら
撮り進んだと聞いたけど 確かにずっと
妄想と現実の中を行ったり来たりしながら
話し続ける演技はなかなか大変だっただろうと想像出来ます
そして ウッディ アレンならではの重くなりすぎないコメディの要素も散らばめてある
過去の華やかさと凋落する表現力はさすがオスカーに相応しいと思う
転落しても離さないシャネルやバーキン
ケイトが美しいだけに滑稽で最悪に哀しい
ウディ・アレンだったのか!?
ケイトブランシェットは好きです。でも、セレブと、どん底の見た目の差が物足りない。どん底でも彼女は素敵(笑)
薬・心の病は日本人にはピント来ない。
ダメならダメ。のしあがるならのしあがる。
何時も、シャネルのスーツにエルメスのバーキンが物悲しい。
それに、誰も触れないのがかえって哀れ。
でも、ケイト・ブランシェットの声は素敵。トーンも好き。
2人の甥達に自分の身の上を話すシーンが良い。ちょっと笑える。
笑うところ少ない映画だし。
初アレン。
今まで見たことなかったんですよね〜。
ウッディアレンの映画。
アカデミー賞受賞のケイトの演技はさずがですね。酒とクスリづけで空を見つめて独り言のシーンの連続は見応えばっちり。とっても危ない状態だと思うんだけど微妙にコメディバランス取れててすごいなって思います。
しかし、こんな堕ちたセレブけっこういそう。周りの人達をどんどん巻き込んでいるのに本人はびた一文罪悪感なし。こうなるとウソの上塗りが巻き起こす結果なんて全然見えないんだろうな。
最初から最後まで会話がタップリ楽しめる映画でした。
痛すぎる女
終始一貫、眉間にシワを寄せて観てた。
周囲の観客もため息の連続。
ウディ・アレンは、痛すぎる女を痛すぎのまま表現することで何を伝えたかったのだろう?
唯一はっきりしてることは笑えなかったということだが。
とても良かったです!!
はっきりいってウッディアレンは、自分大好きっていう感じで好きじゃないんですが、この作品は「俺をみて!」的な作風は影を潜めて、監督に徹しています。
精神的に問題を抱えつつも生きようと四苦八苦するケイト・ブランシェットの演技がリアルすぎです。ほんの一瞬ですが結構努力して底辺から地道に這い上がろうとする姿には心を打たれましたが、結局はメッキがはがれて他力本願と厚みのない人格が露出、その後もう一度奈落の底へ。振り出しにもどるどころか、スタート地点よりだいぶ下のほうまで転がり落ちてしまう有様。そんな様子を見て同情よりもむしろ笑いがこみ上げてきてしまうように映画を仕立て上げた監督は、なかなかハイセンスだと思います。
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