ブルージャスミンのレビュー・感想・評価
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自分を見るような…
ケイト・ウィンスレットとケイト・ブランシェットを同日に観たのですが、ブランシェットのほうでないと出せないような痛々しいのに美人で、変なオバサンなのに見つめたくなるという興味深いキャラクターですよね。
良く酒のんで鎮静剤が手放せないという間抜けな場面の繰り返しですが、プライドに邪魔されて自爆自沈していくのは、飲み会で悪酔いしてしまった自分を思い出すようで画面が胸に刺さりました。
なんと今度はピーター・サースガードがいつものだめんずではないので、ケイト・ブランシェットのみ全く救いがないように見えます。といっても最近の女性は食いぶちは自分で何とかしてるから、ここまで落ちこぼれはしないんじゃないかな?大体こんなにウブなオバサンも珍しいとも思えます。この辺りがアメリカ演劇というかウディ・アレンの特色ではないかなとも思いました。
わからない
正直に言ってこんなに長く感じた98分は初めてでした…。恥ずかしながらウディ・アレンも初めてだったのですが、ケイトの演技とラストシーン以外何が良いのかさっぱりわかりません。自分がまだ若い男だからでしょうか…そのうちわかるのかな。
タイトルのとおり
ジャスミンのブルーなお話。
ウディ・アレンはなんでこんなに女のことをわかってるんだろう?
女々しくて痛々しくて、ジャスミンを演じるケイト・ブランシェットの狂気にも近い喜劇と悲劇を行き来するお芝居。
ずっしりときました、アレンおじいさん。
ケイトの鬼気迫る芝居。
やっぱりウディ・アレンの映画にハズレなしである。
セレブの転落がテーマのようで、ケイト・ブランシェットが主役ということもあって、かなりシリアスなものを予想していたのだが、仕上がりは人間喜劇と呼べそうな、軽みのあるものであった。
資産を全部取り上げられて、サンフランシスコにいる妹のところへ身を寄せるジャスミン(ケイト・ブランシェット)の様子と、金融界で名を成すハル(アレック・ボールドウィン)との暮らしを交互に描く手法が効いている。
よくよく考えれば、一番適した手法だ。
ジャスミンはけっこう身勝手なのかもしれないが、そうは見えなかった。ケイト・ブランシェットのもつ品の良さが、役のもつゲスい部分を中和していた。
さらには、ジャスミンを応援したくなる、というところまでいっていた。
ウディ・アレンの映画に出ると、役者はみんな輝いて見える。それで得をした人も多数いる。
今回の登場人物はみな愛すべき人々で、観ていて心地よかった。
冒頭の飛行機はCG、か?
そんなものは必要でもないだろうに。
西海岸の爽やかな空気と人間の醜いサガ
人間性の観察と、深く暗い人間の性を鋭く描き出しながらも、ユーモラスな表現がとってもコントラストとパンチの効いた映画で、やはりウッディアレンは天才だなぁと思い知らされました。
ケイト・ブランシェット演じるジャスミンが飛行機で昔を思い出しながら、優雅な暮らしを隣の席の婦人に語るところから始まりますが、もうこの時点でジャスミンの人間性を説明するには十分なほどのオープニングで、しかも飛行機を降りて婦人と分かれるシーンで笑いを誘うとは…
すべてを失ったジャスミンはまったく性格の違う妹を頼りにサンフランシスコへ。優雅なニューヨーカーのたたずまいばっちりのジャスミンと、少しカントリーテイストの強いサンフランシスコの対比がまたすばらしくミスマッチでよかったです。
しかし、ウッディ・アレンってほんとにすごいなーと思ったのは、サンフランシスコの町並みや、ジャスミンが後に婚約をするドワイドのロスって言ってたかな?のオーシャンビューとか、その街を切り取るのがとってもうまい!!この景色だけでもこの映画ってすごいなって思うし、空気が伝わってくる感じがとてもよかったです。
そして、そのシスコの緩やかで暖かでどこか抜けのある空気をベースに物語が進むわけですが、内容的には、過去の栄光と虚栄心と猜疑心の強いジャスミンが「普通」の感覚を持つ人々と軋轢を起こしつつ、必要以上に自分を大きく寛大なものに仕立て上げ、現状認識や今のおかれている状況から逃避をする人間として、おちるところまで落ちていくという映画です。
言い方を変えるとよくある「私やればできるの…できるからやらないけど」っていう人間性を鋭く描き、その人間が落ちるさまを面白おかしく描いたって感じなのでしょうか?
しかしこのジャスミン…救いようがないの一言です。破産したのにファーストクラスにのってくるわ、大学を中退しているのに、自分は非常に頭がよく、だんなと出会わなかったらものすごい仕事をしてたはずって思い込んでるわ、何のセンスもないのにインテリアコーディネーターが天職と思い込んでるわ…。それだけならまだしも、とにかく他人を下に下にみるわ、自分のことしか考えていないわ、都合の悪いことは目を瞑るは、何かがあれば人のせいにするわ…。唯一の才能は人を虜にする美貌…と。映画の中でも元旦那を除いても3人の男が言い寄ってくるわけですが、本当によくもまぁ…。
旦那が詐欺まがいの投資ビジネスをして巨万の富を得て、ジャスミンは何不自由ない生活をしているわけですが、旦那様もナイスガイなのですね、周りに女性が事欠かない。見てみぬふりをしてきたジャスミンがようやく旦那に浮気を問い詰めると、旦那は「今度のは本気だから、別れてくれ」と。今思えばこの旦那様もジャスミンの美貌にほだされて付き合ったものの、中身のなさに気づいたのでしょうね。
妹とのコントラストもジャスミンを際立たせる大きな存在です。妹は本当にかわいいのにどこか垢抜けず、お金もちではないけど、明るく元気な子供と、支えてくれる男性に恵まれて、いわゆる「小さな幸せ」を糧に日々を送る女性。ジャスミンにいろいろいわれた事もあり、男性を乗り換えてステップアップを図るものの、結局はだまされていたことも発覚してしまうほど、垢抜けなさにもほどがある。そして、ジャスミンにどんないやなことを言われても、義姉として立てる姿も、妹を見下しているジャスミンとは対照的で非常に強いコントラストになっています。
物語はシスコで再起を図るジャスミンに、ドワイドというお金持ちが現れ、ついにセレブの世界にカムバックか?と思いきや…
いやー、そりゃそうでしょう。ざまーみろですよ…という展開なのですが、ラストの救いようのないシーンがとても切なくなりました…。
ということで、頭のおかしい女性が落ちるところまで落ちるという救いようのない話なのですが、これがさまざまなものとの対比で非常に鮮烈に描かれた秀作です。話の中身としてはとても救いようがないし、面白くないものかもしれませんが、さまざまに用意された対比的な表現だったり、シスコの空気感だったり、笑いどころ満載なところも含めて、とても楽しめる映画でした。
残念な人々
面白かった。そして、上手かった!
そりゃ、アカデミー賞取るわと納得した。
どちらの立場になるかは別としても、人はなかなか変われなないことを、皮肉たっぷりで描くところがウッディ・アレン監督の真骨頂という感じで、その無情感が面白かった。
エコノミーセレブ。
K・ブランシェットがめでたくアカデミー主演女優賞を獲得した作品。
「欲望という名の電車」や「サンセット大通り」、酒に溺れるといえば
「ヴァージニアウルフなんか~」に通じるコワイ演技をしているのか
と思っていたんだけど、観てみたらいつも通りの達者な演技だった。
鬼気迫るというよりは、よくいる哀れな中年女、といった感じで、
まだ親近感を抱きやすい。ゴシップ記事などにも似たのがいそう。
彼女の精神面は、傍にいる人間がしっかり説明してくれている。
「機内で逢った人よ。自分の話をずっとしてるの。聞いていないのに」
「悪いのはハルよ。姉は可哀想なの。金銭感覚が弱い人だから」
このジャスミン、確かに精神的におかしいんだけど、
彼女が辿ってきた過去を見せられると、ありゃ~これじゃあな、と思う。
セレブ生活から一転、一文無しになって、夫は逮捕→自殺、そして…
後半で明かされるもう一つの事実が彼女を奈落の底へ突き落とす。
あれだけの生活をしていれば人間、誰だって簡単に元へは戻れない。
「どうしてファーストクラスなの?お金がないならエコノミーでしょ?」
ダメなんですよ…このおねいさんは。何も捨てられないし諦められない。
プライドを捨てるくらいなら死んだ方がマシ。っていうタイプだもん。
どうして姉妹でこんなに性格が違うの?と思ったら、お互いに孤児で、
同じ里親に育てられたというだけ。仲よさそうに見えたんですけどねぇ。
オトコを見る目がない(爆)ってのはある意味、共通しているのだけど、
どちらにしてもオトコがどうのというより、幸せの中身を把握できてない
ところが共通している。姉は臭い事実に蓋をして取り繕ってただけだし、
セレブな姉に負けじと違う世界に手を伸ばしては簡単に失敗する妹。
情けない男ナンバーワンに匹敵しそうな元夫のオーギーや今彼のアルが
姉に対して向ける視線はほぼ同じで、アンタ何様のつもりだ!が必至。
肉欲感が強く脂ギッシュなところは、ご本家の若きM・ブランドに匹敵
しそうなんだけど、人格破綻していたブランチと今回のジャスミンでは
言葉以外に絡みようがない感じ^^;なので、怖いイメージはどこにもない。
一番恐ろしかったのは後半、富豪P・サースガードと喧嘩別れする原因と
なった、オーギーのあの一言。そもそも逮捕の原因を作ったのが誰で、
転落人生を歩むことになった自業自得と、親族からの冷酷なメッセージ。
どんなにバカでも、どんなに貧乏でも、きちんと家族を愛する人間ならば、
ああいう過ちは犯さない。そもそも結婚して家族を作るのは虚飾じゃない。
責任を果たさない人間に課せられた罪が彼女の哀れを一層際立たせる。
(しかし人生まだまだ。まずは酒も見栄も男も断ち切って自立しましょう)
非常に痛々しい
ウディ・アレンには珍しくアメリカの中でも西海岸のカリフォルニアが舞台。
今までウディが撮ってきた情緒不安定男の女バージョンのようなジャスミン。ウディの描いてきた情緒不安定男は滑稽で痛々しいながらも面白さがあったが、ジャスミンはもちろんユーモアはあるが痛々しさが強烈。
名前もジャネットからジャスミンに変え、みた目をブランド品で飾り立て、上品に気丈に振舞っているからこそ余計にその落差が激しくみえる。しかし、落ちぶれた原因といえばどれも自業自得な気がして...。でもこういう人いるよなあ...。同情もしづらいけど。痛々しさの中にちょいちょいコミカルなシーン挟んでくるのでそこが救いだった。特にスーパーのシーンとファミレスで甥っ子に語るシーンは好き(笑)
あの美しいケイト・ブランシェットの落ちていく様は本当に病んでるようで...マスカラは落ちてパンダ目だし、ラストにはブランドの服は汗がしみていて上品のかけらもない。まるで何かにとりつかれたようでちょっと怖い。
こんな風にならないように飾らず素直に生きるのが一番!と思わされた。
ウディ・アレンには珍しくアメリカの中でも西海岸のカリフォルニアが舞台。
今までウディが撮ってきた情緒不安定男の女バージョンのようなジャスミン。ウディの描いてきた情緒不安定男は滑稽で痛々しいながらも面白さがあったが、ジャスミンはもちろんユーモアはあるが痛々しさが強烈。
名前もジャネットからジャスミンに変え、みた目をブランド品で飾り立て、上品に気丈に振舞っているからこそ余計にその落差が激しくみえる。しかし、落ちぶれた原因といえばどれも自業自得な気がして...。でもこういう人いるよなあ...。同情もしづらいけど。痛々しさの中にちょいちょいコミカルなシーン挟んでくるのでそこが救いだった。特にスーパーのシーンとファミレスで甥っ子に語るシーンは好き(笑)
あの美しいケイト・ブランシェットの落ちていく様は本当に病んでるようで...マスカラは落ちてパンダ目だし、ラストにはブランドの服は汗がしみていて上品のかけらもない。まるで何かにとりつかれたようでちょっと怖い。
こんな風にならないように飾らず素直に生きるのが一番!と思わされた。
コメディではあるけど近年の彼の作品ではぐっとシリアスな作品になっている。ウディの私映画としての側面も
これってウディとしてはどこまでが狙いだったのか。ケイト・ブランシェットの演技は笑えるところで笑わせないリアリティがあり、その迫力が本のおかしみを食っているような印象。良いか悪いかではなく、この作品は基本的にケイトの作品となってしまった。それが出来るってのが凄いんだけどね。アンドリュー・ダイス・クレイやサリー・ホーキンス も良かったけど、彼女のあの演技を受けることで引き出されたものがあったのではないか。こういう作品を時々やっちゃうからダイアン・キートンからも擁護されるんでしょう。
さて、ジャスミンとジンジャーは2人とも里子として同じ里親に育てられた義理の姉妹という設定。血は繋がっていない2人だからこそのアングルがストーリーに深みをもたらしているのだけど、これってウディ自身のプライベートを考えるとザラツく設定だと思うし、またジャスミンの前夫ハルとの間にもやはり血の繋がらない息子がいるというのもそう。ジャスミンは血縁者のいない孤独な存在なのだ。それも彼女の人物造形の一つの要素だろう。そしてその息子に「あなたが必要なの」と訴えた返答が「二度と現れないでくれ」という拒絶だったのもウディの作品と考えるとザラツくわけ。誹謗中傷されているというわけではないけれど。
そしてとうとう明かされた、ジャスミンが全てを失った理由。それは夫の浮気がきっかけとなったのだが、その浮気相手は19歳ということでしかも「浮気ではなく本気」だと告げられて我を失い夫の悪事を通報‥‥というくだり。これもザラツきますね。
コメディだけどシニカルでせつないし怖くもある。ここにブラックさが加わるとコーエン作品になるんだろうが、やはりウディは重い方にはなかなか行こうとはしない。コーエンが重いかっていうとそうではないけれど。しかし年齢のこととか考えると凄い作家だなとあらためて思わせる今作でしたね。
ケイトの脇汗とか衝撃映像だよな‥
象徴的な最後の一言
笑えそうで笑えない。ついつい自分で隠している部分が…。
身の回りを少しオーバーにして映画にするとこんな感じになるんだろうか。
とにかくケイトブランシェットがすごい。
ってか、今まで見たことのない怖さというかなんとも言いにくい独特さがあって、見終わった後の居心地の悪い感じは類をみない。
ところが、好き。
現実見てない人
優雅でセレブな人生から転落、一文無しになり妹の家に居候させてもらう身だというのにかつてのセレブな私自慢ばかりするジャスミンをこれでもか、というくらいイターい女として描いてますね。
気になったのはジャスミンは夫のハルのことを本当に愛していたのか彼の財産を愛していただけなのか…。
いや、どっちも愛してないか。
何より大事なのは自分のプライド。関心があるのは自分のことだけ。
だから息子に縁切りされるようなことを平気でやってのけたのだな。
最後までイタい女を演じきったケイト・ブランシェットはさすがでした。
帰って来たウディ・アレン やはり彼の作品ではヒロインが輝いてこそ素晴らしい!
この映画を観終わって直ぐに感想を一事で述べよと聞かれたなら、「久し振りに、帰って来たウディ・アレン」と言うのがぴったりハマる気がしたのだが、みなさんはどんな感想をお持ちになったのだろうか?
私は、「アニーホール」の魅力に魅せられて以来、ウディ・アレンの大ファンになり彼の作品を見守っているファンの一人なのだけれども、私が思うにアレンの作品はやはり女性の魅力が最大限に引き出される作品が一番面白いと思う。
しかも、どこか一癖も二癖もあるような女、云ってみれば普通ではない人物をあたかもあなたの隣に住んでいる普通の友達の様に描き出してしまうところの素晴らしさが、正にウディ・アレンのマジックであるように思うのだ。
彼の描いている人物像はやはり何処にでもいそうでいて、だが実際には、あそこまでは個性的?な人物は現実的には存在しないだろうと言うギリギリの一線を本当に隣に存在しているかのように描き出すマジックがあるのだと思う。
芝居の絶妙の面白さとは、やはりヒロインの演じる人物像が、リアルな香りを色濃く残しつつも、やはり演出された人物で、本当には存在しないアクの強いキャラクターをあたかも好感の持てる人物として、面白おかしく描き出す事で、そのヒロインの持つキャラクターの一部分は、映画のヒロイン程強烈では無いとしても、極普通の一般人の中も潜在的に、ヒロインと同じ性質を持っているのですよと言う部分をさらっと、巧く流していくところの妙を、私達観客自身も、自分達の生活の中にしっかりと投影させてみて、「なる程、なる程、ああ言う嫌な奴確かに存在するな~」とくすりと笑いたくなる、その気持ちを上手に突いて来てくれる作品に快感が観ていて持てるからこそ、彼の作品は楽しいのだ。
だって実際問題、もしも家族や友人や、恋人がジャスミンそっくりのキャラクターだったらこんなに笑って観ていられないし、友達として長―く付き合いたいとは思わないし、絶縁したくなるのが普通だ。
そんな個性的で魅力溢れるヒロインを今回見事に演じきったケイト・ブランシェッドは凄い女優ですね。
やはり日本には、残念だけれどもここまで個性的で癖の有る人物を好感が持てるヒロインとして見られるような、余韻を漂わせるように演じられる女優さんはいないと思う。
映画の登場人物に巧く感情移入出来るように、演出する事が出来るのは、やはり心理学をしっかり応用して、人物のキャラを練り上げて描く脚本と演出プランを持っているウディ・アレン監督ならではの、これぞ、「帰って来たウディ・アレン映画」と言うに相応しい
本当に腹の底から笑える、大爆笑の映画であり、ほろっとさせられる最高コメディですよ!
Cate Blanchett 恐るべしっっ!!!!
Woody Allen監督の存在すら思わず霞んでしまう(!!)Cate Blanchett の圧倒的な存在感。
そして思い返せば要所要所に現れる多数の登場人物達の個性の ふりかけが改めて
流石 Woody Allen監督♪、となる。
自分をダメにしてるのがプライドだってコトをプライドが邪魔をする(C:六車)なんて名文も然る事ながら、かつて手に入れた富と、酒と薬(クスリぢゃないよ)に寄っ掛かり溺れて行く様は、共感に値する。
自らの pride の高さが みるみる崩壊へと進んで行く有り様は美しくもあり儚くもあり、そして醜くもある。ソシテ ソコガ イイ♪
ケイト・ブランシェットの鬼気迫る表情は圧巻。
非常に良かった。
特筆すべきはジャスミンを演じるケイト・ブランシェット。
アカデミー賞主演女優賞も納得の“顔力”。
裕福で幸せな生活の際に浮かべる柔和、だけど何処か冷めた顔。
全てを失い土俵際で正気と狂気が入り混じる顔。
そして完全に土俵を割ってしまった時の顔。
これらを演じ分けている表情の幅に脱帽です。
特に狂気が大半を占めた際の鬼気迫る表情は般若そのもの。
その圧倒的な表情の前に息を呑むと同時に、その必死さに何処か苦笑が。
また表情に合わせて声のトーンとテンポを変えていた点も、事態と共に脇汗が染み出ていた点も良かったです。
また作品の構成も良かった。
“或る時点”を起点/終点と位置付けて。
彼女の幸せの絶頂期から“或る時点”へ向けた下り坂。
そして“或る時点”から先の奮闘、が交互に描かれる。
両者に緩やかな繋がりを持たせることにより状況の乖離がより大きく見える。
彼女の境遇がより悲惨に見える作り。
非常に意地が悪い作りになっています。
ともすれば胸糞悪くなる可能性もある作りですが、そこはジャスミンのキャラクターでカバー。
並みの人間であれば憐憫の涙が出そうな所ですが序盤から滲み出る彼女の糞女振りがそうはさせません。
前述のケイト・ブランシェットの高い演技力も相まって何処か「ザマミロ」感を醸成させます。
そういう意味では心配なく観ることが出来る作品かと。
兎にも角にもケイト・ブランシェットが演じるジャスミンが光る本作。
特に終盤の畳み掛けは圧倒されました。
また鑑賞後に作品全体を振り返り「何処から予兆が…」という風に観るのも面白いと思います。
個人的には彼女が結婚した切欠から本件の予兆が既にあったのでは、と。
敢えて行動しないことで表面上の平穏を保つという選択肢がある中で。
自分自身は知ること自体を敢えて放棄するのか、知った上で敢えて行動しないのか。
「利口な選択」とは何か、「自身の今を支えている土台」は何か、をも考えさせられる作品でした。
オススメです。
ウディ•アレン スイッチ‼︎
最初ケイト•ブランシェットに見惚れて普通のハリウッド映画だと思って観ていたら、1/3くらいした所で… なんか面白くない⁈ 何だろうこのテンポ?と思った所で‼︎‼︎
監督がウディ•アレンである事を思いだした‼︎(ボケてましたw)そこで頭のスイッチを通常モードからシニカルモードに切り替えた途端面白い!
これがウディ•アレンのウディ•アレンたる所以w
ケイト•ブランシェット演じる主人ジャスミンの病んでいるそのギリギリのラインが可愛くもあり、病的でもあり、笑える絶妙なライン。
そのさじ加減がさすがウディ•アレン。面白かった。
憂鬱なジャスミン
ケイトブランシェットはすごいなぁ…
ジャスミンのいかれっぷり、すごいね。パニクってるときのマスカラの落ちっぷりで、取り乱しぐあいがわかるのよ。そしてザナックスに依存し過ぎ!ウオッカにもご執心のご様子で、生きずらそうで、痛々しいすがた突き放して描いていて、笑った。
お洋服とスタイルはバツグンやった。キャメルのエルメス似合ってた。
妹の庶民感とのギャップ、肩に星のタトゥーに変な髪型と荒っぽい彼氏…上流階級から抜け出せないジャスミンには、耐え難く、みたいなところも、あーそらそうかもと、腑に落ちる感じがした。
ジャスミンをかばいたいわけではないけれど、かわいそうに、と揶揄含みで同情したい気持ちになった。
残念ながら妹とその男達にはジャスミン同様にげっそりした。自分はどちらかといえばジンジャーと同じ階級なのに。
荒っぽい彼氏がどうしても無理なのです。女の職場に来て泣きすがるとか、無理なのです。
ジンジャーとアリの復縁の下りに、ジンジャーへの批判的目線もあるなぁと感じた。
上流階級のいやらしさも庶民階級のいやらしさもどっちも描いていて、興味深くおもった。
歯医者に無駄に気に入られる所
笑ったなー。
ラストのオチがきまってなおよかった…
まじかーまじかー、そら夫の息子に恨まれるわー。ジャスミンたら破壊者ですやん!デストロイヤーですやん!
最後はもうマスカラの滲みでは表現できなんだか、脇汗びっしょりでヘロヘロになってる姿がいたいけで、これまた笑った!ああ、このあとどうなるんだか。
そこの救いも描かずいかれたまま放置ってゆうのがまた、皮肉が効いていて良いんだろうな。タイトルも、よいよね。憂鬱なジャスミンだってさ。
サンフランシスコとニューヨークがいつ切り替わったのか一瞬見失うけれど、きっとジャスミンの混乱の表れかと思います。
万人受けはしないかな。意地悪な人向け。善良がモットーな方には向かないかも。その上わかりやすいのが好きな方には眠たい系です。
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