フルートベール駅でのレビュー・感想・評価
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二度と起きてほしくない事件
冒頭から実際に携帯などで撮られた事件の一部始終が流れ、余りに衝撃的過ぎてそのままあっという間に映像に引き込まれてしまいました。
家族のある一人の黒人男性の1日を映像化した作品で、85分という尺ながら彼の人となりがしっかりと伝わってくる内容になっており、冒頭で「死」という結末をすでに示されているだけに何とも居たたまれない感情で見続けることになります。
そしてラストもこの事件後の記録映像を流し、しっかりとメッセージとして締めくくっており、アメリカの抱える銃や人種差別などの社会問題を考えさせられ、見終えた後にずっしりと重たさが残る作品でした。
映画としてもキレイにまとまっていますが、やはり記憶に留めておくべき内容なのでいろんな人の目に触れるといいと思います。
何と言ってよいか
悲しみと怒りと虚無感
射殺する事にそこに何の理由もないという悔しさ。電車を勧めたお母さんの後悔。
隣で仲間が殺された友達の悲しみ。何も出来ない妻の辛さ。父親の帰りを待つ娘。が胸を締め付けた。
怒りと悲しみもそうだが、は?何で?という虚無感でいっぱいだった。
監督もの撮り方も上手いと思った。
オスカーをコイツ俺たちと同じでその日暮らしで明日も分からない生活を送ってるんだな「俺も一緒だよな」と思わせる作りだったし、
仕事に関しては不器用でダメなやつだけど、母親や娘への愛情は本物で愛すべき隣人であったし、ホームで仲間とハグするシーンなんか、自分もこの仲間の一員に思えたから、余計その後起こる出来事が分かって辛かった。
警察がいくら言い逃れをして罪が軽くなったとしても、一人の人生を終わらせ娘から父親を奪った事実からは逃れられない。
死よりも辛い人生を歩むんだと、言い聞かせた。言い聞かせないとやってられない。
母無念
不条理な世界・・・
割と近年に起きた事件の映画化だったんですね。
もしこれが携帯の無い時代に起きた事件だったなら、全て警察の言い分のみしか報道されなかったと思うと、物凄くゾッとします。
とは言え、エンドロールの字幕を見ると、結局は・・・。
何故主人公のオスカー青年が殺されなければならなかったのか、本当に黒人だったからと言う理由しかないのが悲しいし、許せない!
もし白人だったなら、一体どうだったのか、いいとこ職質ぐらいなものなんでしょう。
この辺は日本人には分かり難い感覚ではありますが、とにかく悲しいとしか言いようがありませんね。
確かにオスカーは元犯罪者、気性も荒いし、仕事は遅刻でクビになって無職だったし、褒められた人間ではなかったけど、家族や仲間や野良犬にも優しい根はとてもいいやつでしたから、それだけにまるで虫けらのように無抵抗で警官に殺された事実が、とても悲しくて仕方がありませんでした。
お母さんや、娘さんの悲しむ姿を見ていると、心が痛い。
せめてこの事件が教訓となってくれれば良いのですが、そうもいかないのかなぁ・・・。
まあとにかく一度は見ておいて損の無い映画でしたね。
マイケル・B・ジョーダンの演技も心に残りました。
終わらない悲劇
この映画は、2009年の元日、カリフォルニア州フルートベール駅のホームで実際に撮影された映像で始まる。
喧嘩騒ぎで停車中の電車から黒人青年のグループが降ろされ、警官に拘束されたのだ。
武器を持たない丸腰の青年オスカーがうつ伏せに組み伏せられた上、警官に撃たれ、命を落とした。
ストーリーはそこから前日の2008年大晦日の朝に遡る。
オスカーの新年の誓いは「売人をやめること」。オスカーには服役した経験もあり、遅刻癖がたたりスーパーの仕事もクビになっていた。
彼が問題を抱えていたことは確かだ。
しかし、彼は幼い娘タチアナと母親である恋人、母親、家族のために真っ当に生きようとしていた。
彼は、娘を愛し、母親の誕生日を忘れない、だれとでも直ぐに打ち解ける人懐っこい青年で、理由もなく人に暴力を振るうような人間ではなかった。
そんな彼の本質を警官は見抜くことは出来なかった。
大晦日の深夜、治安の悪い地域のあちこちで騒ぎが起きていただろうことは想像に難くない。警官たちもいつもより殺気立っていただろう。
黒人青年に対する偏見がその目を曇らせたことも確かだろう。
確かなことは、彼が殺される理由などなかったこと。
そして、この後も同じような事件が後を絶たないことが何よりもやりきれない。
悲しい
悲しみがこみ上げてくる映画だった(;_;)悲しすぎて久しぶりに映画で泣いた(u_u)
最近も似たような事件があって、いつになればこんな事件がなくなるのか…
黒人さんって見た目怖いけど、優しいし、差別されても、それを許し前向きに生きてる。犯罪率が高いと言われたりイメージされてしまうのは今だに平等にならない社会的環境のせいで、それしか生きていく道がないのでわ。
そして主演のマイケル B ジョーダン!クロニクルでいいなーと思ってたけど、今回の役は素晴らしかった!!愛する人たちと自分のためにやり直したいと思っててもうまくいかない複雑な感情と、母親、娘への深い愛情を演じきっていて、彼が主演だったからこんなに感情的に見れたのかも。
死によって際立つ生
電車で行けば?
映画「フルートベール駅で」
(ライアン・クーグラー監督)から。
一般市民の黒人青年が警官に銃殺された実在の事件をもとに、
映画化された作品として、多くの話題を呼んだ。
「フィクション」と「ノンフィクション」なのか、
物語だけではわからなかったけれど、キーになる台詞は、
新年のお祝いを車で行くと言った息子に対して、
母親が気をきかして「電車で行けば?」と促したこと。
「みんなも飲めるし、ゆったり楽しめるわよ」と付け加えて。
さらに「電車を待ってるのはかったるいよ」と反発する息子に、
「(車は)渋滞してて、行きも帰りも、大変だわ」と諭す。
これが事実ならば、悔やんでも悔やみきれない会話となって、
母親が、自分を一生責め続けることになるだろう。
妻も「私が、トイレを行きたいなんて言わなければ・・」
電車の中で「オスカー」と声を掛けた女性だってやりきれない。
全てのシチュエーションが「運命」で片付けたくないが、
こういった悲しい事件が起きると「たられば」が口を付く。
「あの時、~しなかったら」「私が、~してれば」は、
言ってはいけないことなのだが・・やはり残酷だ。
本当に偶然なのか、本当は必然なのか、神のみぞ知る。
観るべき映画というのは納得
差別と後悔。
その最期を知りながら観る作品ほど辛いものはない。
全米で大問題になった事件の映画化で、動画映像は
日本のニュースでも流された。なぜ彼は無抵抗のまま
警官に射殺されてしまったのか。憤りの謎を解く前に、
儚く散った22歳黒人青年の最期の一日を描写していく。
青年とはいえ妻も子もいるオスカーにとって、再出発
をかけた一日であり、母親の誕生日でもあった大晦日。
家族団欒を楽しみ、仲間と花火を見て電車に乗るが、
それが思わぬ乱闘事件の引き金となる。
冒頭で流される実写映像から見ても完全に警官の失態
(故意かは分からない)であるのは明白で、
貧困が差別を生む背景のおぞましさに背筋が寒くなる。
これが白人相手なら口頭注意で終わったんじゃないか。
オスカー女優O・スペンサー演じる母の哀しみが胸を突く。
(車よりも安全だからと案じて)
「私が、電車で行ったら?って言ったのよ…」
愛息子を失った母親に一生のしかかる後悔となった。
やりきれない。
人一人死ぬとは…
2009年元旦、一人の黒人青年が無抵抗のまま白人警官に射殺された。
この痛ましい事件を映画化。
映画は青年オスカーの最後の一日を綴る。
クライマックスまでは淡々と描かれ退屈に感じるかもしれないが、オスカーの人柄を知る上で重要パート。
ヤクの売人で逮捕された前科者ではあるが、轢き殺された犬を助けようとする心優しい青年なのだ。
恋人が居る。娘が居る。家族が居る。友人が居る。
刑務所を出所したばかりで、愛する者たちの為に心機一転、人生をやり直そうとした矢先…。
境遇は違えど、アナタの隣人、傍に居る人と変わりはしない。
何の邪念を払って見ても、オスカーに否は無い。
これは一方的な偏見と暴行。いや、殺人だ。
もし、オスカーが白人だったら、結果は違ったのだろうか。
些細な偶然と擦れ違いが生じて事件は起きた。
新年の祝いに電車で行った方がいいと言った母。
電車の中で偶然出くわした、顔見知りの女性。
電車の中で偶然出くわした、刑務所時代に因縁つけてきた男。
人一人の人生で、劇的な出来事はそう起こるもんじゃない。
が、人一人死ぬ。それはどれだけ大きく悲しい出来事だろうか。
先日もアメリカで、無抵抗の黒人青年が白人警官に射殺された事件が起きたのは記憶に新しい。
何十年も前ならまだしも、ごく最近だ。
確かにアメリカの人種偏見はかつてと比べると、良くはなってきた。
しかし、社会の片隅、奥底では、まだ根強く残っている。
こびりついた汚れはそう簡単に拭いきれない。
胸に刺さる、正々堂々のど直球。
悪というレッテル
悪と言うレッテルを背負って生きて行く上で常にリスクを伴うのは社会には認めてもらえない。ということだ。ブラザーや連れと仲良く楽しく自分たちのアイデンティティをキープし主張して生きて行こうとすれば、社会からは除け者扱いをされる。本当に改心して過去の自分との決別をするには生活スタイルから好みのファッション、髪型まで、社会に認められるように演技でもいいから、変えなければ普通の社会には入り込むことは出来ない。所詮、半端物のレッテルを貼られ、高い評価を受けることも少ない。特に刑務所や、売人を経験したとなれば社会復帰は本当に難しい。オスカーも気持ち的には真面目になって「T」や彼女を幸せにしたい。ママを喜ばせたいと本気で思ってはいたのだろう。だが、悪の群れから逃れるためには全ての悪(友人も含め)を敵にしなくてはならない。そうすることで善は味方となるのではないだろうか。しかし、22歳というのは若すぎる。本当に悲しい出来事だし、この事件によって暴動を起こすアメリカという国が俺は好きだし。憧れる。
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