「アクションは期待通りだけど、お話と尺が」007 スペクター Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)
アクションは期待通りだけど、お話と尺が
ジェー ムズ・ボンド好きなら、
タイトルで期待が膨らんじゃう。
1971年の「007 ダイヤモンドは永遠に」
以来権利関係で使えなかった、
悪の国際的犯罪組織「スペクター」が
タイトルなんだからね。
なぜ片目の猫好き親玉「ブロフェルド」 は、
ボンドを執拗に狙っているのか?
そんな戦いに、どう落とし前をつけるのか?
最近のシニカルなダニエルクレイグの
世界観では無理もあるけど、
スタイリッ シュに解決してくれるんだろうな。
とりあえず最近の3作品「スカイフォール」はもちろん「
カジノロワイヤル」「慰めの報 酬」は予習しておきましょう。
観ていないと、ちょっと難しいです。
そもそも4部作の集大成で、
カタルシスを得る今作の位置付けだと思います。
前出の「スペ クター」や「ブロフェルド」まで
知識を持っておくなら、
ショーンコネリー時代の「ロシアより愛をこめて」や
「女王陛下の007」も観ておくと、
オマージュ も満載で楽しいですね。
で26作目にふさわしく
映画は初っ端から凄いスケール感!
壮大なエキストラを使った、
メキシコシティ「死者の日」の祭典で繰り広げられる、
007では珍しい長回しに釘付けです。
平和な日常からヤバいスパイの世界へ一瞬に導かれる、
コントラスト際立つ壮 絶なアクション。
昨今にはなかった、
丁寧なアバンタイトルで前半から興奮はマックスです!
お約束通りメキシコからローマ〜 オーストリア〜
モロッコ〜ロンドンと世界中を駆け巡って、
各々の町の特色を生かしたバトルアクションが
繰り広げられます。
各国ごとのアクション設定は今までになかった贅沢さで、
実写にこだわるあまり巨額な制作費が溶けていきます(笑)
スパイギミックも満載だし、
アクションだけでも鑑賞の価値あり。
トム フォードのスーツと眼鏡も、かっこよすぎ!
なんだけど、
難点は浅いストーリと長すぎる尺...。
「地獄の黙示録」並みの2 時間28分(笑)
その尺はディテールに注がれているんだけど、
007にどっぷりな人じゃなければ、
かなり辛い時間が押し寄せるかも。
その割にはストーリー が浅いので、
余計長く感じます。
彼氏に連れられ観てた若い女の子は、
すっかり寝てました(笑)
デートムービー向きではないかもね。
これぞご都合主義的すぎる展開も、
ちょっと残念でした。
しっとりとしたアダルトなトーンに反して
コメディ映画を観ているかのような、
とんとん拍子なお話。
あとね、悪役がそんなに怖くなかった。
親玉も小玉も。
歴代はもっと狂ってましたぜ。
だからドキドキしないんだろうなぁ。
リアルに振り切っても、
ミッションインポッシブルの緊張感が出ないのなら、
昔のユーモラスでエロいボンド像のほうが、
僕には魅力的な気がします。
そういう意味では、
ラストシーンは賛否あるでしょうけど、
僕は好きでした。
ボンドオタクな監督のサム・メンデスと、
シニカルなダニエルは今作で引退のようだから、
また新しい監督のボンド像に期待しましょうかね。
まぁそんなことを差しひいても、
上質なスパイファンタジーだし、
007シリーズの真骨頂な気分も満載だし、
超満足な大作ですよ!