「そこはかとなく残る「コレジャナイ」感。」007 スペクター 好きこそモノのヘタレなれさんの映画レビュー(感想・評価)
そこはかとなく残る「コレジャナイ」感。
「悪役も魅力の一部です」
2016/1/1 TOHO浜松にて2度目。
色々書いて上げようとしたらすべて消えたのでもう一言で。
「悪役が中学生レベルの嫌がらせしかしない」
それこそ拷問シーンにしても「お前!パンツ脱げ!」レベル。
クレイグ=ボンドシリーズの悪役すべてを裏で糸を引いていた親玉がやることが。
クライマックッス突入からも「ボス、あんたどれだけコツコツ夜なべしたのよ?むしろボンド大好きなんじゃないのか?」と思わずにいられない可愛らしさ。
そしてそのすべての原動力が…
「逆恨み」
娯楽作としては重ねて言うが十分面白い。
しかしクレイグ=ボンドシリーズとしてはどうなんですか!?と問いたい作品。
しかもその悪ボスを演るのが名優クリストフ・ヴァルツなんだもんんな…
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観終えた後に、何か違和感の残る一本。
アクション映画としても、「007」映画としても大成功の面白さなんだけれど…
「クレイグ=ボンドにはそんなことをしてほしくない」
と思ってしまった自分の負けなのだろうか。
たしかに数々のガジェットも笑いも、長い歴史の「007」シリーズの大事な要素のひとつではあるのだけれども。
シリアス・ボンドを打ち、最もコメディに向かない男で始めた路線で。
再び「やっぱり『007』の看板って凄い!」と見直した身としては。
今作を観終えて思うのはあのリアルな重々しさは何処へ…であった。
(まぁ本当にリアルなスパイものだったら「裏切りのサーカス」や「誰よりも狙われた男」などル・カレ原作ものを観るのだが)
娯楽に振り切った「Mi」シリーズとは、やはり一線を画していてほしかった、と言ったら良いだろうか。
確かに凄い、確かに楽しい、だけど複雑、そんな作品。
そういえば新SWも似たような了後感だったな…
今の時代に即すると、仕方のないことなのだろうか。