「ダニエルボンド、最終章」007 スペクター ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
ダニエルボンド、最終章
いやあ~!マジすか~!という、終わり方。終幕。ほんっとマジすか!という。
『カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』『スカイフォール』の前三作の総括的な位置づけです。言ってしまえばダニエル・クレイグのジェームズ・ボンド最終章と銘打たれてもなんらおかしくない。これで全部終わり!と言われても納得!ああ、そっかあ、となってしまう。そんな内容でございました。
前作『スカイフォール』で見事に原点回帰を果たし、007お馴染みの男版М、Q、マネーペニーというオリジナルメンバー揃い踏みでの本作『スペクター』。王道である銃口オープニングも復活。じゃあ宿敵も登場させなきゃ!とばかりに件の犯罪テロ組織と首領ブロフェルドの登場!と、ファンも待望していた夢のカードでございます。
やああ、今作。兎に角、全てがスケールアップ!やたらと仰々しい!無茶なアクションが続く続く!銃撃戦当たり前!カーアクション当たり前!ヘリコプター内でも命知らず!向こう見ずな鉄砲玉野郎と化したジェームズ・ボンドがノープランに敵陣に突っ込んでいく!という。
前三作がサスペンスフルで骨太で地に足のついたアクションだったとすれば、今回はスラップスティックの薫り漂う荒唐無稽なアクションへとすっかり様相を変えておりまして。それもどこか初期の007、ショーン・コネリー、ジョージ・レーゼンビー時代の雰囲気を纏ってて(つかそこ完全に意識してますね)、全ての要素に過去作品へのオマージュを散りばめているんだなあ、と。
多分ね、ここが評価の分かれるとこだと思うんです。
ダニエル・クレイグの007はリアル路線が売りだった訳で。なのに突然冗談みたいなアクションに取って代わっちゃって。こんなの求めてねえよ!みたいな人の気持ちもまあ分からなくはないです。
正直、自分もね、ちょっと戸惑ってるんですよ。このやりすぎ感に。確かに悪くない出来ですよ。出来ですが、しかしダニエルボンド最高傑作!というには程遠く。『カジノ・ロワイヤル』の偉大さを改めて認識してしまう。その次に『スカイフォール』という感じで(※個人の意見です)。
だけども前三作との物語的な繋がりをしっかりと提示してくれたし、ジェームズ・ボンドの戦闘スキルが上がったが為の荒唐無稽さ無鉄砲さと考えれば、まあこれでもイイのかな?という。
そして、きっちり物語を四部作として纏めていたので、これはこれで良し、かなあと。
あああ、しかし寂しいなあ。本音を言えばあと一本。せめてあと一本、ダニエル・クレイグで観たかった。「James Bond Will Return」とは言いますけども、それがダニエル・クレイグの姿を借りて戻ってくるのかは、誰にも分らない訳で。
様子を見ましょう。