「随所のオマージュがたまらない。」007 スペクター ア~チを~描け~♪さんの映画レビュー(感想・評価)
随所のオマージュがたまらない。
特別先行上映初日に初回上映の2D版と、その上映終了後5分後に上映されたIMAX版の2回を観てきました☆
以下、個人的に決めつけた超ネタバレも書いているのでご注意を。
最高に面白い!
007シリーズのファンにとってはたまらない、前評判の宣伝どおりのシリーズ最高傑作ではないだろうか?
まず全編にわたって過去の作品のオマージュが散りばめられているのがファンにはこたえられない。
また特にクレイグボンド作品からの伏線を随所で刈り取っている。
わかりやすい所では「フクツ」氏に気がついたファンも多いのではないだろうか?
とにかく007シリーズ作品の面白さ、ボンドの魅力の「全部乗せ」作品。
100点満点中196点!
本当は期待をはるかに上回った出来に200点をつけたいところだけれども、
あえて残念だったことの一つは、予告編にあった台詞が一つ本編では無かったこと(「組織とつながっているのは? - ME!」)。予告編と本編で邦訳が異なる台詞も一部あった。これは戸田奈津子氏翻訳によるせいか。
また「ナインズ・アイ・システム」の稼働カウントダウン阻止の瞬間があまりにあっさりと。。。
これは次の元MI6本部爆破のカウントダウンをクライマックスとして重要視した兼ね合いで、あえて二重クライマックスになるもたれ感を防いだと理解はできるが。
次にボンドとマドレーヌが情熱的に恋に落ちる場面はその過程が少し唐突・安直すぎたかもしれない。いくら命の危険を共に乗り切ったからと言って突然盛り上がっちゃったのはどうか・・・(笑)
どうしてもボンドとヴェスパが恋に落ちた瞬間のシャワールームの場面と比べてしまう。まぁ本作の二人が恋に落ちる瞬間も、場面的に「ロシアより愛をこめて」のオマージュだったとも言えるとも思うが。
そして最後に、エンドロールでは主題歌の「Wrighting's On The Wall」をインストゥルメンタルでも良かったからもう一度聴きたかった。007シリーズの主題歌の伝統を引き継ぐ名曲だと思っただけに最後の余韻として残念だった。
以上4点だけがあえてあえて言えば残念だったけれども、それらを補って余りあるほどの魅力、満足感が本作にはある。
ダイナミックでテンポがよく、これでもか、これでもかと観る者を先に先に引っ張っていく力強いストーリー。
随所でクレイグらしい身体を張った壮絶なアクション。
今作で本格的に稼働した「チームM」の面々のキャラ立ちもお見事。レイフ・ファインズのMは「M」としての初動作品としては、期待以上に馴染み、かつ今までのMにないフットワークの魅力も見せてくれた。
そしてやっぱり改めてもう一度。
とにかくシリーズ各作品のオマージュが随所かつ大小様々にマニアックに散りばめられているのがファンにはたまらない。
特に僕的には「二度死ぬ」でのブロフェルドの眼の傷(引きつれ)は、実はボンドがつけたものだったとは!! 参りました。
シリーズのオマージュを散りばめるなら必要不可欠な「ドクターノオ」のオマージュのシーンがちょっと思いつかなかったのだけれど、ひょっとしてアストン・マーチンDB10の後部から火炎放射を行った場面が、「ドクターノオ」の火を噴く機械のドラゴンのオマージュだったのだろうか?
個人的な感想としてボンドらしからぬハッピーエンドのラストシーンは「女王陛下」でトレーシーとハネムーンに出発するシーン(当然トレーシーが殺される前の幸せな瞬間)のオマージュだったと思う。
話としては、場合によってはこの作品でシリーズを終えることもできるストーリーとなっているが、当然エンドロールの最後にはお決まりの「BOND WILL RETURN」のクレジットが流されるが、その伏線はちゃんと張ってある。
第一にブロフェルドが生存し、スペクターの組織そのものが壊滅していないこと。
第二に本作の最強のボンドの敵役(レッド・グラントであり、ジョーズであり、ザオのオマージュだと思う)ヒンクスの死体が描かれていないこと。ジョーズだったらあの最期のシーンからは間違いなく復活してくるだろう(笑)
長文ですみません。最後の最後に、もしも次回作が本作の設定・伏線をきちんと引き継ごうとした場合、クレイグが続投し、マドレーヌを引き続きレア・セドゥが演じてくれるかどうかが心配なことと、
本作のラストシーンどおりなら本当にエージェントを辞めた妻帯者のボンドが、再び諜報の世界に戻ってくるために、まさかひょっとして次回作の冒頭でいきなりマドレーヌを殺してその復讐にボンドが立ち上がる・・・なんて「ボーン・スプレマシー」を真似するようなことだけは、どうかやめて欲しい(;^_^A