白ゆき姫殺人事件のレビュー・感想・評価
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想像以上に俗物的で悪意に満ち溢れた作品でした。
良かった。
話の構成自体は「複数の信頼できない語り手」。
赤星Dが関係者の証言を集めて、『事件』を、『城野美姫』を作り上げる。
積み重ねられた情報を基に事実を明らかにしているのか。
それとも赤星が、世間が求める結末に対して望ましい情報を集めているのか。
まず作りの丁寧さに好感を持ちました。
複数関係者の証言を登場させる中で細かな矛盾点が出てきますが結論に対する明確な答えや目配せは出さない。
そのため最後まで展開の選択肢が複数残り、終盤の種明かしが楽しめました。
また細かな矛盾や認識違いが登場人物の性格を表現している点も良かったです。
自分を良くみせようとする小さな嘘から、事実を歪曲しようとする大きな嘘まで。
その人となりが回想映像を通して見えてくる。
画面の細かい部分まで確認しようとして話にグッと惹き込まれました。
登場人物を演じる俳優陣も良かったです。
全員、何処か含みがある感じが出ており手放しで信用できる人物がいない。
話の邪魔になるような人物がいなかった点、好感が持てました。
惜しむらくはマスメディアやネットの影響が見え難かった点。
過熱報道、ネット炎上等を描く意図はあったようですが
証言者の記憶や証言内容に直接影響を与えていたようには見えませんでした。
そのためマスメディアやネットによる印象操作等の恐怖はイマイチ伝わらず。
どちらかというと好き勝手に物を言うガヤ的な存在にしか見えず。
途中で証言を一転させる人物や警察捜査に直接影響を与えているような描写があっても良かったように思います。
また染谷将太の使い方も勿体ない気がしました。
見落としただけかもしれませんがTwitterの一人として関連している…等のちょっとした裏繋がりでも見せてくれれば更に良かったのではと。
とはいえ作りの丁寧さ故に話を最後まで楽しめる本作。
蓋を開けてみると想像以上に俗物的で悪意に満ち溢れた展開。
色々な情報が入ってきてしまう前に劇場で観た方が楽しめると思います。
オススメです。
女心の複雑怪奇、本当なんてわからない
現代社会を感じるような映画
白雪姫殺人事件という映画のタイトルと予告にひかれて、観ました。何だか、実際にいそうなヒロイン。地味なのに名前は派手というか、美人なんじゃないかという感じがする。OL の殺人事件で、こういう事件って、今の社会じゃありそうです。上司の前や男性社員の前と女性社員の前だと違う先輩美人女性社員。地味ながらも頑張っている先輩女性社員。比較されてしまう。それだけでも話になりそうなのに、テレビ局が関わり、Twitterが関わり話が展開する。現在社会の怖さを描写するような内容です。何だか、軽はずみな噂話がこわく感じました。嘘が本当になってしまう、周りから犯罪者にされてしまうかもしれないという恐ろしさを感じました。
最後のワンシーンが心に残った
アヒルと鴨のコインロッカーの中村監督なので期待して見たが、期待通り面白かった。ストーリー展開は速すぎず遅すぎず、2時間飽きることはなかった。
ワイドショーのシーンがあるが、映画やドラマでありがちなわざとらしさやぎこちなさ、やり過ぎ感がなくて心地よい。また、エキストラ含め演技がとても上手いと感じた。インタビューのシーンが多々あるが、こちらもわざとらしくなくよかった。
唯一違和感を感じたのがツイートからタイトルを作る演出。ツイートが不自然すぎる。
ネットの世界でありがちなことをリアルに描いているのである種エンターテイメントとして楽しめるが、個人的には最後のシーンが一番心に残った。この作品が言わんとしていることかどうかはわからないが、人は利害や楽しみ、好奇心で見えない他人の人生を狂わす。でも人はやさしい。そのやさしさに改めて触れることができたとき、行動の愚かさにはじめて気づく。
コワイ無責任発言…((;゜Д゜))
何気ない一言の重みを思い知る
ネットやマスコミによって個人の人生が
歪められていく……というテーマは
今や珍しくないテーマではあるけれど、
ツイッター等のソーシャルメディアを通して
それが語られる所が本作の新味。
色んな人物の視点から事件が語られる形式や、
犯人探し調サスペンスの面白さもあり、
エンタメサスペンスとしても風刺モノとしても
しっかり楽しむことができた。
* * *
「顔を見せずに発言できる」というだけで
人間これだけ無責任になれるものか……と
愕然としてしまうと同時に、
ツイッター等の登場によってその無責任さや
“人格破壊”のスピードがますます増して
しまっている点にも戦慄させられる。
まあ現実のネット発言の方がこの映画より
ムゴい事が書かれていると思うが、
エンタメとして表現をマイルドにするなら
これくらいが妥当なのかしら。
(その辺の辛辣さがやや足りない気もする)
* * *
井上真央は演技が上手いのか下手なのか
僕はイマイチ計り兼ねているのだが、
この“フツウ”な雰囲気は役にドンピシャ。
綾野剛も、吹いたら飛んでいきそうな
くらいに薄っぺらい思考のADを好(?)演。
この役演るの、イヤだったんじゃないかなあ(笑)。
まあそれを言ったら菜々緒演じるOLなんて
容姿も含めて役にハマり過ぎてたから
もっとイヤだったかもしれない(笑)。
皆さん、リスキーな役、お疲れ様でした。
* * *
さて、
あの軽薄ADみたいなラーメン批評を書く
人間が世の中にどれくらいいるかは知らないが、
例えば「まずい.ダシがなってない.☆一つ」
だなんて、一生懸命ラーメン作った本人の
目の前で同じこと言えんのかよと思う。
常々思うが、人や人の手掛けたものへの
評価を軽はずみに口にするべきじゃない。
ましてやネット上の発言なんて、
よほどの覚悟を持って書くべきだ。
自分の言葉が誰かを傷付けているかも、
誰かの人生を破壊しているかもと
常に疑いながら書くべきだ。
そうエラそうに語る自分自身、
こうしてレビューを投稿している以上は
同じ穴のムジナな訳で、一方的な思い込みで
非道い事を書いてしまったレビューもある。
だいたいペンネームでこのレビュー書いてる
時点で無責任さは似たようなもので、鑑賞中に
何度も身につまされる思いを味わった。
* * *
人が何かの意見を世に発信する時、
そこにはその人の心情や生き様が
どうしても滲み出てくるものなんだろう。
テレビや映画のようにドラマチック
かつシンプルに物事を捉えがちだし、
「自分を良く見せたい」「自分の身を
守りたい」という気持ちもどこかにある。
今までの人生で植え付けられた
価値観や先入観だってあるし、
付け加えるなら、初めから人を貶める
つもりで発言する最悪な輩もいる。
だから結局、「客観的なコメント」なんて
世の中には存在しないんだろうし、見る側も
それを常に踏まえて考えるべきなんだろね。
映画を観た後、ワイドショーのニュースや
街頭インタビューを、以前より醒めた目で
見ている自分に気付いた。
* * *
終盤付近の、
「いいことありますよ、きっと」という言葉。
「俺はお前の味方だぞ」という言葉。
言葉というのは本人が自覚するより
ずっと重いもの。たったの一言で、
相手の人生をどん底に突き落とす事も出来れば、
相手をそこから救い上げる事も出来るのだから。
後者になることはそうそうかなわないけど、
前者になることだけは避けたいと考えた鑑賞後。
<2014.03.29鑑賞>
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余談:
それにしても、生瀬さん演じるワイドショーの
司会者の感じがリアルすぎて(笑)。
進行役を忘れて自分の意見を視聴者に
押し付ける司会者って結構おるよね。
真相が明らかになった後の無責任さも含めて。
まあこれもワイドショーに若干偏見を
持ってる人間の意見な訳だけれど。
姫と奴隷
人の思い込みって怖い。。
「物語が分かりやすくて、すぐに入り込める」。そんな映画でした。
ネットによって事件の容疑者に仕立て上げられてしまう城野美姫。どんどんおい込められていく場面が素晴らしかったです。「人の思い込みって怖い」。そう思った作品でした。
井上真央さんはこんなに素敵な女優だと知りませんでした。反省!
なるほど
人間は自分の記憶を捏造する
いやあぁ。これ、まるで他人事じゃない話ですよね。
ネットやってると、SNSやってると、ツイッターやってると、タンブラーやってると、フェイスブックやってると、LINEやってると、身につまされる人、結構多いんじゃないですか。
殺人事件に巻き込まれるなんてこた、まあ中々ないでしょうから、そっちはアレだとしても、こう、あの感覚ね。バーッと拡散して収拾つかなくなっちゃう、あの感じ。実名が割れたら、写真やら卒業文集やらプロフィールやら交友関係なんかがズラーっとネットに公表されてしまう、あの怖さ。情報を受け取る側の人間もね、無意識に共犯関係結んでっちゃうでしょ。無責任にネットで有識者ぶって発言したり、ソース広めちゃったりね。
これね、僕らも知らず知らずで普通にやってるんですよ。やっちゃうんですよ。だからゾッとするんですよね。実体は明かされずにただただ虚構だけが独り歩きをしていく怖さ。片棒担いでるんですよ、僕ら。
気を付けましょうね。
それと、今回特筆すべきはやはり井上真央でしょう。この子、自分は今迄殆ど意識したことないんだけど、凄い女優さんだったんですね。決してブスではないし本人は寧ろ可愛い部類なのに、あの無個性というか控えめというかおとなしめというか、それを貫ける演技力に、もう感心しました。この映画、彼女が主演で正解だったと思います。
あと、無関係なのにただ引っ掻き廻す役の、綾野剛ね。あのスマホいじって年中ツイッターやってる若者。ああいうの居ますもんね普通に。彼も中々な演技でした。
う~ん、めちゃめちゃ楽しかったなぁ。久々に邦画でゾクゾクさせられました。
CMから仕掛けられているのでは(笑)
レビューを見ていると、どうも勘違いしている方々が、いらっしゃると思った点があります。
それは、「ミステリー」として観に行った人が多いのかなと言うことです。
映画のCMとしては「ゴシップエンターテイメント」として謳ってますよね?
「ミステリー」とは言ってませんし、第一皆さんがおっしゃている通り、ネットやマスコミの信憑性と浸透性について描き出していると思います。ちなみに原作のジャンルは「サスペンス」みたいですね(笑)
僕は原作読んでから観に行きましたが、終始笑いを抑えられませんでした、犯人知った上で見に行くとコメディに変わるとは(笑)
最後になりますが既にミステリーと思わせるCMになってると思いました。とするとCMやどこからか情報を得た大半の方は、この映画で言いたかったこと完璧に翻弄されたということなのでは?
なのでCM含みよく構成されていると思い星5です!
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