「庵野さん、面白い。」夢と狂気の王国 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
庵野さん、面白い。
ジブリは嫌いじゃないけど、別段詳しいわけでもない。
一時代を築いた!といえば、もろリアル世代だったハイジや、
火垂るの墓など、子供時代~未だに鮮明に覚えてはいる。
この二人(高畑勲と宮崎駿)がいなかったら、日本のアニメは
これほど大評判になって、世界的に評価されただろうか…?と
思うと確かにすごい功績なんだけど、おそらく御両人はただ
いいアニメを作りたくて、切磋琢磨していただけだろうと思う。
いかにも(今でも)職人気質の宮崎駿の話は、とてもシンプル。
この人の言っていることには、私的になんの違和感もない。
描けなくなったら、この仕事は終わりなんです。その通りー。
愛するモノを何十年も描き続けてきた巨匠が、その引き際を
自分で見極めたのだ、どこが悪い!と思ってしまう。
本当はもっと早く(前から言ってたもんね)止めたかっただろう
けど、長編アニメ製作を止めることと、創造や自作意欲を失う
ことには、また隔たりがあるもんだなと、これも同時に思った。
しかし、これだけの時代を(作品を)描いてきたのだから、
(いいとも終了のタモリじゃないけど)好きな方面でゆっくりと
自分のやりたいようにやっていって欲しいなぁと思ったりする。
ビジネス面で頭を痛める鈴木プロデューサーには、おそらく
またこれからも大変な日々は続きそうだけど。
もう一方の高畑勲はほとんど出てこない。過去の映像にチラリと
出てはくるが、後半でやっとコメントと後ろ姿が映るくらい…。
この人と宮崎の間にはかなりの愛憎が渦巻いているようだけど、
どちらも一流クリエイターに違いはなく、いい人であるかどうか、
人間としてはどうか、という愚問は側近の意見にお任せする他ない。
とりあえず、やっと完成にこぎ着けたかぐや姫、よかったですねぇ。
宮崎駿は終始タバコを吸い続けるか、くわえているかの場面が多く、
嫌煙家の人には(見てるだけで)嫌なシーンになるだろうと思うが、
あの歳で漫画家だったら(あるいは編集者などで)タバコを吸わない
人の方が珍しくないか?と私なんかは思ってしまう。健康のために
しっかり禁煙をした人もいるだろうが、彼にその兆候は見られない。
結局問題になるのは、喫煙マナーの方だろう。
とてもフラットな作品。あと庵野さん、ナイスキャラ!
(イライラやストレスが減ると、止められる可能性ありますけどね)