「*ゆるふわ女子マミちゃん(35歳)*」夢と狂気の王国 eigaegaeigaeigaeiga1988さんの映画レビュー(感想・評価)
*ゆるふわ女子マミちゃん(35歳)*
まず始めに、女は顔です。
秘書の三吉さん、宮崎駿に可愛がられてましたね。監督の砂田麻美さんも可愛がられてましたね。
お二人ともジブリアニメのヒロインのような童顔ですから宮崎駿が気に入るのも納得ですね。
砂田監督は画面には出てきませんが、この二人、顔や雰囲気がどことなく似ています。(砂田監督のご尊顔はググればすぐ出てきます。)
しかも三吉さん、劇中しつこいくらい出てきます。砂田監督が出演できない分、三吉さんと自分を重ねているのでしょうか。顔の似ている女同士が「かわいーかわいー」とじゃれ合う微笑ましい情景が目に浮かんできます。
それにしても三吉さん、宮崎駿を前にして「なんでジジは喋らなくなったんですか」ってまじですか。「宮崎駿に四六時中あんなにべったりくっついてるのに今更その質問て。一度ご自分の少女時代や思春期の頃について深く考えてみてください。もしかして忘れちゃったの…?」とイヤミのひとつも言ってやりたくなりますが、この方頭はいいです。多分、馬鹿なフリして先輩や上司に可愛がられるのが上手なタイプの方でしょう。しかしこのセリフは砂田監督の脚本ではないかと踏んでいます。
手垢にまみれた超ド定番の質問を引っさげ「みんなも気になるでしょ?」という砂田監督の得意気なナレーションが聞こえてきそうです。
さらに、そんな三吉さんにデレデレの宮崎駿。「彼女は映画そのものだ。」…はいはい、もうお腹いっぱいです。じゃあ死ぬ前に三吉さんの映画一本作ってください。見ないけど。
キャッチコピーが「ジブリにしのび込んだマミちゃんの冒険」…35歳でマミちゃんて。失笑。
そのマミちゃんのナレーションの声がこれまた愛らしい。前田敦子さんの声に似ています。若い女性だからあのなよなよとした発声法が許されるのであって「35歳の自称マミちゃん」では神経を逆なでするだけです。
申し訳ありませんが私にはこのお二人が、いい年したおばさんが純朴で垢抜けない少女を演じ、お偉方の懐に入り一番美味しいポジションを見事獲得したあざとい女とそれを撮る同じような女にしか見えません。
ブスの嫉妬と思っていただいても構いません。私はこのお二人より年下なので上司にいたらと考えると正直本当いやだなあ。あ、同僚でもいやだ。
この砂田監督がちょいちょいスタジオに出入りしながら『風立ちぬ』やら『かぐや姫の物語』が作られたのか…。スタッフの方々の心労、お察しします。
でもまあ、宮崎駿もそこまで馬鹿ではなかったようで、彼女らに本音を明かすことなく終始笑顔で質問を躱していました。まあ躱すも何もそもそも核心をついた質問ができていないのですけどね。
だから内容が薄っぺらい。
感想が「煙草」だけなのも頷けます。
それを、アプリで加工すれば誰でも作れるような、森ガールやらカメラ女子やらが好きそうなキラキラした映像で極限まで引き伸ばしています。
上映中、おっさんのでかいいびきが響き渡っていたのも、また別のおっさんが途中席を立ち二度と戻って来なかったのも無理はないでしょう。
ところで「狂気」って何?宮さんがパクさんの賛辞と悪口とを交互に繰り返していたこと?「これは宮崎駿ボケてますねこれは狂気だ」って言いたいの?
宮崎駿はただ躁鬱が激しいだけです。それに長年共にいれば良くも悪くも言いたくなるでしょう。狂気でもなんでもありません。宮崎駿、通常運転です。
砂田監督は題名を簡単に無視してジブリの「狂気」に迫るよりその場の人間を描き出そうとしていましたが、それにしても登場人物の偏りが酷くてどの人間からも肝心の「狂気」は感じられません。砂田監督の趣味でしょうか。比較的、顔のいい方ばかりです。あくまで「比較的」ですが。残念ながら砂田監督の好みから外れてしまった顔立ちのスタッフの皆様は背景扱いです。
アニメーターのインタビューはほとんど、胸元がゆる~い服を着たすっぴん美人のアンニュイなお姉さんお一人です。言っていることも「天才・宮崎駿の下で働くには技術だけではダメ。宮崎駿の横暴に耐えられる人でなければやっていけない」という、「それってこの前『リーガルハイ2』の題材にもなったような定番エピソードだけどなぜ今更ドヤ顔で語る?」と思わずツッコミたくなるような何の目新しさもない内容を、無駄に時間をかけて、しかもご丁寧にカットを数回にまで分けてゆっくりと喋らせています。
女は顔と書きましたが男も顔です。これまた砂田監督のお気に入りでしょうか。西村義明さん、若くてイケメンでしたね。『かぐや姫の物語』についての映像ほとんどが高畑勲ではなく西村さんに割かれています。話している内容は「かぐや姫まじ時間かかりすぎだわー俺その間に結婚して子供二人できたわーまじ仕事辛すぎて高畑勲が毎晩夢に出るわー」以外特にないです。
なんで高畑勲出てこないの?嫌われたの?
ポスターの写真、高畑勲をはずして、宮崎駿・鈴木敏夫・三吉・西村義明の四人に変えた方がしっくりくるのではないでしょうか。
ということで、残念ながら高畑勲はほぼ出番なし。
三吉さんより保田道世さんの話を聞きたいのに、『笑ってコラえて』の二番煎じだから出さなかったとしても不自然なほど出番なし。
まあもともとアニメーションの世界に進む方で出たがりな人は稀でしょうが、上記の方以外にも興味深い話を聞き出せそうなスタッフの方々はたくさんいるはずなのに出番なし。
出番なしの方々は顔の造形が砂田監督のお眼鏡にかなわなかったのか、それとも彼らの方から砂田監督を拒絶したのか。
嫌われまくってたから撮るものが他に猫と建物しかなかったんじゃないでしょうか。その猫にも背を向けられていましたね。
「顔顔言って他に言うことないんかい」と責められそうなので(誰も読んでないか…)、他のことも少し。
音楽は初っ端からうるさいです。キンキンします。耳障りですね。人が喋ってんだから観客に話を聞かせろ音楽止めてくれと言いたくなります。
所詮フェイクドキュメンタリーでしょう。
これまでのジブリ作品を連想させるようなことを羅列した台詞だったり、なぜか今まで画面に出てこなかった高畑勲が屋上で待ってたりと、サムい演出は数限りなく散りばめられています。探してみてください。
まとめると、
自称ゆるふわ系女子のぶりっ子おばさん(35歳)が
「あの憧れのスタジオジブリに潜入☆さっそくあの巨匠・宮崎駿さんに気に入られちゃったみたい♪アタシってすごくない?!
可愛い女の子のサンチキちゃんとイケメン男子の西村くんと、偉くて渋~いおじさま達の意外でキュートな一面をたくさん撮ったよ☆ぶっちゃけ下っ端の不細工は無視無視。(笑)
ジブリと言ったらやっぱり子供たちだよね☆あー子供超かわいー!歩きタバコの渋~い宮崎駿監督の背景に子供たち置いて、ハイチーズ☆マジ絵になる~素敵!
それにしても、アニメって奥が深いよね~うんうん。ちょっと難しいお話も聞けちゃったし、マミちゃん超感動!
てか建物の中も超キレイ!猫もかわい〜!!
テンション上がる~!↑↑
たくさん動画撮ってFacebookにのっけていっぱい『いいね!』もらっちゃお☆」
と息巻いている作品です。
ジブリの根底にあるものは登場人物が美男美女じゃないと物語が進まない
(サツキがブスだったらトトロは手を貸さないし
サンがブスだったらアシタカは生きろとは言わないし
雫がブスだったら聖司はストーカーしないんです。)
という清々しいまでの顔面至上主義ですが、この方も負けてはいないです。そういう意味ではジブリのドキュメンタリーを撮るのにぴったりな人選だったのでしょう。
それにしても『夢と狂気の王国』ってタイトルの付け方とか『かぐや姫の物語』の「姫の犯した罪と罰」ってキャッチコピーとかうまいよね。その代わり中身空っぽですが。素晴らしい謳い文句をつけるならその責任はしっかり果たしていただきたいものです。
でもやっぱり「ジブリにしのびこんだマミちゃんの冒険」はいただけない。(笑)
最後に、宮崎吾朗の撮り方が酷い。
以前テレビでやっていたドキュメンタリー番組『ふたり』の方が、『コクリコ坂から』本編より、また言うまでもなくこの作品より、クオリティが高かった。