劇場公開日 2014年5月10日

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「「自分がやった仕事の結果を次代に託す」」WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「自分がやった仕事の結果を次代に託す」

2014年6月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

相変わらず矢口監督の着眼点が面白い。
ハチャメチャながらも、人と人が手を合わせてひとつのことをやり通す爽快感も期待を裏切らない。コメディに人情ドラマを絡めた作品はいくらでもあるが、矢口作品には想像を超えるアッと驚くラストが必ず仕組まれていて、それが毎回のお楽しみだ。

染谷将太の今風の落ち着きのない若者ぶりもいいが、豪快な伊藤英明が力強く作品の手綱を取っている。チェーンソーの扱いも堂に入ったものだ。山の男としては厳しく妥協がないが、女にはだらしない。そのギャップを妻役の優香がコント風に面白くしてみせる。
長澤まさみの立ち位置もいい。シャカリキの主役より、今回のように控えめな準主役が合って見える。

光石研がふんする親方の「自分がやった仕事の結果を次代に託す」という言葉が胸に残る。
通常、仕事では結果が求められるし、その結果の是非を評価される。林業は一生懸命手をかけた木がどう育つのか自分の目で見ることはできない。その代わり、先祖が植え、育てた木が大きくなった姿を見ることができる。伐採した木が良木であることを感謝しつつ、後世のために木を大事に育てる。
性急に結果を求める現代社会から離れた生き方をする山村の人々が羨ましく思えてくる。
山の仕事の厳しさに音を上げながらも逞しくなっていく平野勇気の変化ぶりに泣ける。人間ドラマとしてだけでなく、山の暮らしと厳しさを面白おかしく超娯楽作品に仕上げるあたりは、さすが矢口監督。ビスタサイズながら視野が広く感じるカメラワークも見どころ。

マスター@だんだん