「林業関係者も絶賛していた」WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
林業関係者も絶賛していた
ユニークな題材で人気の矢口史靖監督の新作となる本作の題材は、林業。
そう言えば、林業映画なんて見た事ない(かも)。
さらに、三浦しをんの小説を映画化した、初の原作モノ。
矢口監督らしい笑いは健在。ベタであればベタであるほど、それはもう矢口節。
だけど、前作「ロボジー」のようなバカバカしいコメディではない。
へなちょこでへっぽこ、いい加減だった都会っ子が、林業を通して成長していく。
これもベタな展開で分かっているのに、心地良い。
芯がしっかりとした青春映画になっている。
木を切り倒すシーンなど、まるでドキュメンタリーのよう。
基礎から実践…林業のあれこれもすんなり分かり易く、ラストは山の神への祭りで大盛り上がり。最初から最後まで林業体験ムービー。
知らない世界をエンタメ作品に仕上げ、矢口監督のこれまでの作品の中で言うと「ハッピーフライト」の系統に近く、その手腕は故・伊丹十三や周防正行に継ぐ才能だと思う。
林業を始めたのはパンフレットの美女目当て…そんなちゃらんぽらんな今時の若者である主人公・勇気を、若手実力派・染谷将太がさすがの巧さで好演。ちなみに僕の友人でこんなちゃらんぽらんな奴が居るので(笑)、妙に親近感が湧いた。
パンフレットの美女・直紀役の長澤まさみは、化粧っ気無しのド田舎娘を演じてもやっぱり魅力的。
海猿から林猿へ。伊藤英明が林業男をワイルドに快演。最初はおっかないけど、何だかだんだん好きになってくる。
親方役の光石研なんて、こういう人、本当に居そう。祭りで、伊藤英明はいいとして、光石研らおっさんたちのふんどし姿には吹いてしまう(笑)
優香に西田尚美…このド田舎村、やたらと美女率高いぞ!(笑)
農業と違って林業は、植えた木が育って価値が分かるまで見届ける事は出来ない馬鹿みたいな仕事だ…と映画の中で言っていた。
だけれども、日常生活の至る所に木が使われている。
映画を見て確信した。自分にはとてもじゃないけどこの仕事は出来ないが、彼らの汗と努力で生活の一部が成り立っているんだなぁ…と。
試写会で鑑賞。
やたらと林業関係者が多く、「あるあるだらけだった」「共感しっ放しだった」との声が聞こえた。
現場の人のお墨付き。