「染谷くんかわゆ」WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常 Chisaさんの映画レビュー(感想・評価)
染谷くんかわゆ
まずですね、染谷くんの出演作についてですけど。
2015年9本、2014年9本、2013年11本、2012年12本ときて、2016年は「亀岡拓次」「海賊と呼ばれた男」の2本だけって何ですか。何なんですか。しかも亀岡役でも海賊と呼ばれた男役でもない。脇役で2本だけって!もうね。2017年8000本くらい出るからその充電期間ってことでいいですか。ファン泣かせな男よ。
仕方がないのでちょっと昔の主演映画でも観ますよ!
三浦しをん、「こちらなんとか便利屋」みたいな小説は数年前に読んだけど、まるでハマらなかった。続編は読まず。勿論この原作も読んでない。直線的に延々と続く日常から少ーしだけ逸脱した、和やかな異世界に足を踏み入れ、まったりと感動したり成長したりする主人公。的な。よくあるやつ。
でもよかった。いい映画だった。「さようならーーーーーーーーー!!!!!」のシーンはかなりホロリときた。こんなに単純明快なストーリーなのに、きっとこうなるんだろうなぁっていうこちらの安易な予想を何一つ裏切らないどシンプルな展開なのに、泣けるって何よ。
しかも染谷くんめっっっっっちゃ可愛かった。軽くて、ちゃらんぽらんだけど、素直で、いいやつ。よくいるやつ。笑
まぁでもあれだ。主演が染谷くんじゃなかったら、たぶん誰かに勧められても観なかったな。単品で向き合えばそれなりにいい映画だし、林業という珍しいテーマは面白い。とは言え、「林業」である必要性を感じなかった。海でも山でも、ぶっちゃけ新宿の雑居ビルでも、ちゃらんぽらんな若者がそれまでの常識や価値観から離れた物事や人と触れ合って成長するチャンスはいくらでもある。その中でなぜ敢えて林業にしたのかが私にはあんまりピンと来なかった。
なんでかなぁ、と考えていたら、ふと思ったんだけど、この映画は「人」に重きを置いている気がした。柄本明扮する気難しい会長、伊藤英明扮する気合の入ったニイちゃん、居候先の優しい夫婦、井戸端会議中こお婆ちゃん達。東京とは一味違う人々と触れ合い、彼らの芯やプライドを感じることで、平野勇気は成長する。
わかるんだけど、でもそれってすごいよくある話だと思うの。柄本明や伊藤英明みたいな、一見とっつき難いけど根は良い人間は普通にその辺にいるし、ちゃらんぽらんな若者はどこにいたってそれなりに成長する。平野勇気の元彼女が連れてきた集団だって、いつか「このままじゃいけないな」って思う瞬間が来る。遅かれ早かれ。
そういう意味で、この映画が私の中で「それなり」の域を出なかったのは、林業そのものより、それに携わる人々に焦点を当ててしまった所以だと思う。
逆に、お祭りのエピソードはすごく面白かった。森で一番大きい木を、機械は使わず、斧やノコギリで力を合わせて切る。切った大木は台に乗せ、木で作った線路を滑らせてジェットコースターのよう麓へ届ける。轟音と、麓で待つ女性たちの歓声。なかなかの迫力だった。
あんな祭りがあることを私は勿論知らなかったし、外部の人間を入れることを渋る会長の意地も共感できた。そういうエピソードがもっとあったら、文化的な勉強にもなるし、もっと深みのある、唯一無二な映画になったんじゃないかなぁ。
あと染谷の尻な!尻!派手に拝めるぜ!!