「お父さんたち」オー!ファーザー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
お父さんたち
4人の男性と同居してる一人の男子高校生。
なかなかにシュールな絵面だが、実はこれ、4人の父親と息子。
母親が妊娠中4股しており、誰が本当の父親か分からず。
4人共母親にゾッコンで、別れるくらいなら皆で一緒に暮らそう!…って事で、こんな奇妙な家族に。
4人共、性格も考え方もバラバラ。
真面目で頭のいい大学教授の悟。
チャラいギャンブラーの鷹。
熱血体育教師の勲。
主夫担当の元ホストの葵。
言ってみれば、4人共、恋敵。なのに、異様に仲がいい。
そんな4人の父親とそれなりに楽しくやってるが、時々煩わしく感じる由紀夫。
彼女が出来たと知ると(実際は違うんだけど)、4人で一斉に干渉してくる。
また、誰が本当の父親かとか、由紀夫の母親の事となると負けんばかりにムキになるし。
単なる風変わりなホーム・コメディじゃなく、サスペンスを加味。
“紅白”県知事戦。
不登校のクラスメイト。
振り込め詐欺に遭った町の黒幕。
その黒幕の仕事でヘマをしたトラベルメーカーの友人。
心中事件。
一見何の繋がりも無いように見えて、巧みに交わる話の面白さは伊坂幸太郎原作。
クイズ番組、手旗信号、“ランナウェイ・プリズナー”…これらの伏線も巧く効いている。
今更岡田将生の高校生役は置いといて(好演してるけど)、四人四様の父親たち。
佐野史郎、河原雅彦、宮川大輔、村上淳。
どの父親が一番好き?…なんて愚問。
それぞれの父親から教わった事が要所要所で活かされる。
終盤、由紀夫が事件に巻き込まれ、4人の父親は力を合わせて…。
伊達に4人も父親が居る訳じゃない。
息子の危機をすぐに察知、困った時必ず助けてくれる愛情深い父親が4人も。
何と頼もしい!
風変わりなホーム・コメディとサスペンスを通じて描かれる親子の絆に、思いの外温かく感動させられた。
尚、母親は一切顔を見せない。
由紀夫に言わせれば40過ぎのオバサンだが、4人の父親に言わせれば今も魅力的。
誰か演じてツッコまれるより、顔を見せない方がどんだけの美魔女か想像膨らむ。
それから由紀夫、可愛い自称彼女・忽那汐里から一方的に好かれてるのにその気が無いとは、何て不逞野郎だ!(笑)