劇場公開日 2014年1月31日

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「祭りは、終わるべくして終わる」ウルフ・オブ・ウォールストリート arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5祭りは、終わるべくして終わる

2014年2月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

撮影前から休養を決めていたかのような、レオナルド・ディカプリオ全力疾走の演技とダレないテレンス・ウィンター(「ザ・ソプラノズ」「ボードウォーク・エンパイア」)とマーティン・スコセッシのテンポのいい演出で三時間という長尺をそれと感じさせない力技は見事。
とてもまともな神経では見ちゃいられない乱痴気騒ぎなんて笑い飛ばせばいいのかもしれない。
しかし、どうも気持ちよく笑えないのは、こんな乱痴気騒ぎは長くは続かない、まして永遠になんて続くわけがないということを渦中の彼等も観客も分かっているからだ。
ジョーダンをはじめ彼等が四六時中シラフでいられないのは、祭りはいずれ終わる、パーティーはお開きになる、犯した過ちにはいつかきっと報いがある、それが分かっていながら、気付かないフリをしたいからだ。
何のコネもないジョーダンがのし上がって行く様は痛快に見えても、それは終わりの始まり。皮肉なことにドラマは転落が始まりと共俄然面白くなる。

ジョーダン・ベルフォートという人。
たしかにセールスとアジテーターとしては天才。しかし、売るもの、売る方法を間違え、仲間を間違った方向に導き、犯罪者として報いを受けることになった。
「この映画は警告」とスコセッシは語ったらしいが、これを警告と受け取るか、それとも、それでも派手な花火を打ち上げたいと思うかは観る人間次第。

arakazu