劇場公開日 2014年1月31日

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「日本でも作られる題材。」ウルフ・オブ・ウォールストリート bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0日本でも作られる題材。

2014年2月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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興奮

 カネに目がくらみ、女色に溺れ、クスリをやめられない、もう、どうしようもない品性下劣な人間の成功と転落を描いた映画です。途中までは主人公のベルフォートの生き方に、胸糞が悪くなります。映像も汚なければ、科白も汚い。(ひとつの科白の中に、必ず、ファッキングという形容詞が複数回、出てきます)しかし、FBIの二人の捜査官が出てくるところから、話の風向きが変わって来ます。ヨットの上でベルフォートが捜査官と話をするのですが、あるところで、捜査官が「さっき、買収を持ちかけなかったか」と云うのです。ペラペラと喋っていたベルフォートの顔色が変わります。まさに語るに落ちる、といった具合です。ベルフォートの転落の予兆がします・・・。
 映画を観終わって感じたことですが、この手の映画は、日本でも作ることができる筈です。人材には事欠きません。例えば、ホリエモンことライブドアの堀江貴文、ティッシュ王子こと大王製紙の井川意高、また、分野は違いますが、音楽プロデューサーの小室哲哉、など、多士済々です。誰か志のある映画製作者はいないのでしょうか。
 この映画はスコセッシとディカプリオが組んだ作品の中で、最良のものだと思います。「ディパーテッド」も良かったのですが、如何せん、あの作品は香港映画のリメイクでした。オリジナリティに欠けるようでは映画の価値も下がるというものです。それにしても、この映画にディカプリオが注いだエネルギーは想像を絶します。冒頭から、ボルテージは最高潮。アクセルを踏みっぱなしなのです。この演技をもってしても、オスカーを逃すのであれば、アカデミーの会員はディカプリオに対して、何らかの他意を持っている、と断じざるをえません。
 ひとつ不明な箇所がありました。最後の場面がよく判らなかったのです。あれは、ニュージーランドに渡ったディカプリオがニュージーランドの人間に、懲りることなく、株投資の指南をしているという解釈でいいのでしょうか。ニュージーランドは先進国です。アメリカと大差ない筈です。株に関心がある人で、ベルフォートなるいかがわしい人間から教えを請う人間は、あまりいないと思うのですが・・・。

bashiba