劇場公開日 2013年9月28日

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「新しい家族像はわかったよ。 でもこの映画のどこにタンゴがある?」タンゴ・リブレ 君を想う きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0新しい家族像はわかったよ。 でもこの映画のどこにタンゴがある?

2025年4月16日
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鑑賞方法:DVD/BD

「ラスト・タンゴ」 (2015)
「タンゴレッスン」 (1997)
と2本の名作を観てきたので、今回は少々拍子抜け。
「セント・オブ・ウーマン」にもアル・パチーノの素晴らしいタンゴシーンがあるのだが。

本作、せっかくのプロのダンサーを配役に混ぜてあるにも関わらず、どっこにもまともなダンスシーンが無い。だからガッカリなのだ。

刑務所内での、あの逆光で撮られたまるで”力勝負のような”演舞。
そして粋を極めたあの熱きタンゴ論。
そこまではその後のストーリーの盛り上がりへの想像がふくらんで、期待が否が応でも奮まった。

つまりは
囚人たちのタンゴがどんどんと洗練され、人を動かし、評判になって、ついには法務大臣や観客を呼べるようになる・・てな展開や、みんなでブロードウェイツアーにでも行くのかと思ったが
結局ぜんぶがどっちつかずで物語につながらない。尻切れトンボ感が否めないのだ。

アリス役は素敵な女優さんではあるが、町の老人のダンスサークルで下手くそなオジンを相手にしてモタモタ練習するだけで、踊り自体に魅力なし。シンママをやりながら「健康のためにダンスは良い」と曰うのだからつまらない。

看守?その例にもれず彼は仕事も恋も、そしてダンスも鈍くさい。金魚も男も死んでいる。
最後のあれは一体なんなの?人助け?

親友にして愛人関係のあの囚人二人も、血の滲むような練習もせずに、言い訳ばかりの 逃げの人生ではないか。

「ああいうラスト」をどうせ噛ましてくるんであれば、あのアルゼンチンのダンサーもボルボに乗せて一緒に脱獄でも良かったのではないだろうか(笑)
5Pから6Pにね。
それで皆さまお揃いで脱獄ならば、ギャグに振れて、破綻した今作も もう少しは腑に落ちて観れたかも知れない。

僕としては、プロの舞踊家=アルゼンチン男マリアーノ・チチョと紅一点のアリスの壮絶なダンスを見たかった。
あるいはゲイの2人の息を飲むような灼熱のタンゴを、長回しで、火花を散らして、スクリーンに炸裂させてもらいたかった。
看守にも奮起してもらいたかった。

タンゴをかじった事のある僕としては、いろいろが残念で、
ちゃぶ台ひっくり返したかった。

☆2つ

きりん
とみいじょんさんのコメント
2025年4月26日

コメントをありがとうございました。

お連れ合い様が不登校生徒に関わっていらしたのですね。
不登校になる理由はいろいろですが、
人が花開く瞬間。すべての苦労が浄化していきます。
私も不登校を始めとするいろいろな課題を抱える方に関わっているので、すてきな体験を聞くとうれしいです。教えていただけてありがとうございました。

とみいじょん
talismanさんのコメント
2025年4月26日

思い出した!Xenia(クセーニア)です、ドイツ人友達の姪の名前!

talisman
talismanさんのコメント
2025年4月26日

フランチェスコ教皇の影響でなく、タンゴは私はコンチネンタルは今更出来ないし大変そうなので、アルゼンチンタンゴを習えたらいいかな、とちょっと夢みてます💕

talisman
talismanさんのコメント
2025年4月26日

ドイツ人友達の甥の名前がXaverです(クサーヴァーみたいな発音)!ザビエルなんですね、考えたことなかった!で、その姉(か妹)がやっぱりXではじまる名前でXaniaだったか・・・忘れてしまった。

talisman
talismanさんのコメント
2025年4月26日

きりんさん、コメントありがとうございます!

talisman
talismanさんのコメント
2025年4月22日

きりんさん、フランェチェスコ亡くなった。私はカトリック信者ではありませんが、フランェチェスコには親愛の思いを持っていました。色んな経緯で、前教皇生前のうちに教皇になったということ、迷惑だったろうなあ、大変な重荷を受け継いでと思ってました。 軽快でカジュアルなフランェチェスコ教皇、好きでした

talisman
とみいじょんさんのコメント
2025年4月19日

コメントをありがとうございました。

やはり、映画に対する解釈が、きりんさんと私では違うようです。

JCがタンゴを習い始めたのは、マリアーノ・チチョ・フルンポリ氏達二人のタンゴを見る以前です。彼らのタンゴを見たからJC達に変化が起こったわけではないと思っています。
 タンゴを習うことで、仕事場と家の往復だけで、何の変化もない毎日だったJCが、アリスとその家族に感化されて(巻き込まれて)、変化していったというのが主筋だと思っています。
「タンゴの起源は女を手に入れる為に踊った」
 「タンゴは魂の踊りだ。誘惑と衝動。自分の本性が表れる」
ただ、アリスの色香に迷ったのではなく、ベースに、タンゴを習うことで、タンゴは下手だけれど、タンゴの精神に感化され、行動したのだと。

フルンポリ氏のタンゴのシーンは、映画の筋から言ったら、本当はなくても良かったのかな?
 もしくは、フェルナンとドミニクがタンゴが何たるかを知るためのステップなのかなとも思いますが、
 どちらかと言うと、この映画で振り付けしてくれたフルンボリ氏へのご褒美シーンのような気がしています。かの有名なフルンボリ氏に、振り付けだけ頼むというのもというような大人の事情。
 それでも、私的には眼福なので嬉しいですが。

アリスがいなければ、何も始まらない、何も起こらない映画です。
そして、タンゴを習っておらずに、別の形でJCとアリスが出会っても、JCは、アリスを手に入れようとは思わなかったかもしれないし、手に入れたいと思い、息子のことをどうにかしなければと思っても、JC自身が作った自分の枠からはみ出なかった。タンゴを習って、感化されていたからこそ、誘惑にのり、衝動的に行動した。心の奥底に隠してしまっていた自分の本性が表れた映画だと思っています。

とみいじょん
とみいじょんさんのコメント
2025年4月18日

共感とコメントをありがとうございました。

思っていらしたのと違ったようですね。
 レビューに挙っていた映画はいずれも観ていないので、コメントはできないです。
 刑務所に収監されている人によるダンス・パフォーマンス。フィリピンのものが有名ですね。それならドキュメンタリーでいいかな。
 予告観ても、解説読んでもそういう映画だとは思わないんじゃないかと思うのですが。題名だけで、レビューのようなイメージをされたのでしょうか?

予告に取り上げられている映画の中の台詞。
 「タンゴの起源は女を手に入れる為に踊った」
 「タンゴは魂の踊りだ。誘惑と衝動。自分の本性が表れる」
この通りの映画だと思います。
 まあ、JCが「あらくれもの」とは言えませんが。
 でも、マリアーノ・チョチョ・フルンボリが演じられた囚人達の踊りは、下手したら男性による男性へのレイプを誘発しかねない、そんなのを跳ね返す真剣勝負っぽさに魅かれてしまいます。最初嘲笑っていた面々が、歓声を挙げる。その迫力。決して、美しいだけではない。
 タンゴの精神そのものだと思います。

元々、アルゼンチンタンゴは、酒場で、いろいろなものをよけながら、女を取られないように体を密着させて踊ったのが起源と聞いています。
 決して、ショーでも競技でもない。コンチネンタルタンゴはタンゴではないとしている解説も読みました。

「ちゃぶ台返し」という言葉で、私のレビューに共感をいただいたようですが、「ちゃぶ台返し」の視点が違うかな。
 子どもも入れると四つ巴の関係性がどうなっていくのか。緊迫した展開になっていくのかと思ったら、あれれ…で、ちゃぶ台返しです。

 こてこての固定観念に凝り固まっていたところ、あれれ…自分の情熱(上の言葉ならタンゴ=誘惑と衝動)に任せてリブレ=フリー=自由になる。
 意外に、私はこの映画気に入ってます。
 なので、共感をいただいたので、本当は共感を返さなければいけないのですが、このレビューに共感できないので、コメントのみ送らせていただきます。申し訳ありません。

とみいじょん
きりんさんのコメント
2025年4月16日

マリアーノ・チチョの踊りはYouTubeにいくつかあります。せわしいアルゼンチンタンゴはあんまりだな。「ため」のあるコンチネンタルのほうが好みです。
チチョは踊りよりも顔がイイね。

きりん