極道恐怖大劇場 牛頭のレビュー・感想・評価
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すごかった
その昔、佐藤佐吉監督がにいがた映画塾にゲスト講師としていらした際に課題映画として見たのが最初でそれ以来だ。初見時もすごかった印象が残っており、そうした場合、再建すると意外とそうでもないケースが多い。しかし今回また改めて圧倒された。
若手ヤクザが『不思議の国のアリス』のように異界に迷い込む。その異界が名古屋でとんでもない旅館であり、喫茶店であり、ヤードだ。
哀川翔演じ吉野公佳として現れる。口調など哀川翔に寄せるとか、声を哀川翔にするとかやりようがありそうなものだが、素の吉野公佳のままで押し通す。そのまま組長である石橋蓮司にやられそうになる。吉野公佳もまんざらでなさそうで、変だ。石橋蓮司が死ぬ場面がとんでもなくて面白い。
吉野公佳から哀川翔が生まれてそのまま二人とも存在する。めちゃくちゃだ。
一生、脳裏にやきつくだろう映画だった
・怖い映画なのか笑える映画なのか、個人的には笑える映画だった。
・何より驚いたのは哀川翔がほとんど出なかった。哀川翔を探す話とは。
・今更だけど、何で牛頭だったんだろう。ググって辞書で調べたら地獄の番人のような存在らしいけど、単体の妖怪みたいに見えた。隠された階段を上った二階の和室に現れるっていうのも改めて考えると何で?って思えてきたけど、あの旅館は地獄の入口とかだったんだろうか。女将が牛乳瓶に自分の乳を入れていたのがとっても気持ち悪かった。それを包装してたり南の泊まった部屋から滴ってたのもきっと、あれだったんだと思うと気持ち悪かった。
・牛頭からベロが顔を舐めるシーンがとても生々しかった。
・ヤクザけんとヤクザカーのワードセンスが面白かった。それらを哀川翔が真面目に言ってるのがとても笑えた。
・東京?から何で名古屋なんだろうと思ったら出資してくれてるところの関係らしくロケ地ってそういうので決まるのか、と納得した。
・南が喫茶 想い で茶碗蒸しを食べたら吐いていたけど、何でだったんだろう。そういえばコーヒーに茶碗蒸しが定番なのかな。
・旅館の建物の古さが映画の雰囲気に合ってて良かった。風呂も変な大きさで怖いし、南の話を全然聞いてくれない女将とか怖いけど、笑ってしまう。
・ヤクザ処分場が廃車工場みたいだったのと皮を剥いでハンガー?にかけてるのがめっちゃ悪趣味だなぁと思ったのと、つぶした遺体の感じが気持ち悪かった。
・兄貴がヤクザ処分場で女になったっていうのがかなり意味不明だった。けど、記憶があればその人って思うかもなぁって確かになぁって納得した。
・親分がけつにお玉をさしてたのも、これがないと起たないんだって理由があった事が面白かった。
・やっぱり一番は哀川翔が生まれたシーンがすさまじかった。哀川翔もよく引き受けたなと思った。あそこから腕が伸びるのは一生、脳裏にやきついたと思う。女が干からびて死んだなと思ったら、お湯に入れたらあっさり戻ったっていうのも凄かった。ラスト、三人で楽しく暮らしていますっていう感じも全編の流れから驚きのラストだった。
・劇場公開は初で35mmフィルムでの上映との事を観終えた後に知った。大変貴重な機会に恵まれた事を幸運に思った。
ヤクザ映画+ホラー映画×三池崇史
すっさまじい映画を観た気分(笑)
衝撃でした(笑)
あまり、いい意味じゃなく(笑)
『MANRIKI』が可愛く思える(笑)
ヤクザが主役のホラーで、不穏な空気のなかコメディ要素が随所に入ってて、
立ち寄った喫茶店で、マスターが坊主頭でブラジャーが透け透けのシャツを着ていたり、超カオス(笑)
(このマスター役の方は『キル・ビル』の青葉屋でチャーリーを演じた、佐藤佐吉さん)
他にも、もっとスゴい悪ふざけが多いんだけど、ネタバレるんで秘密にしときます(笑)
不穏な空気の中に正反対の笑いが入ってるから、不条理な感じになってるし、
2003年の映画って事で、デヴィッド・リンチに影響を受けてるのかな?
あと、つげ義春っぽさも感じる。
超B級な内容なのにキャストが豪華で、
哀川翔さん、吉野きみ佳さん、小沢仁志さん、小沢和義さん、遠藤憲一さん、石橋蓮司さん、火野正平さん、丹波哲郎さん、間寛平さん、などなど…
哀川翔さんや石橋蓮司さんは黒歴史になってるんじゃないだろうかと思うぐらいの、この映画でしか観れない、すさまじいシーンがあります(笑)
あんな終盤の展開、誰が予想できようか(笑)
とにかく、観たあとの余韻がスゴくて、しばらく頭から離れなかった…(笑)
チャンスがあったら、1度観てみて下さい(笑)
くだらないB級映画と切り捨てられない魅力を持つ怪作だと思います。
ちなみに、コメディじゃなくホラーです(笑)
お洒落ロードムービー
公開当時はドメスティックな作品と思っていたが(ヤクザとか名古屋とかのワードがそうさせたんだと思う)、今見たらめちゃお洒落な映画である。ジム・ジャームッシュとかデヴィッド・リンチとかウォン・カーウァイみたいである。(と思ったら、デヴィッド・リンチが任侠映画を撮ったら、というコンセプトだったらしい。)アヴァンタイトルからめちゃかっこよく、すっかり鷲掴みにされる。/ストーリーはA24の馬鹿らしい版みたいな感じ(製作の順番は逆だが『MEN 同じ顔の男たち』を思い出す。)。ローカルホラーかつ、ヤクザ的ブラザーフッドを馬鹿にする。/三池崇史、感電死と女性がお風呂に浸かりながら歯磨きするのが好きなんだな。まるで私の大好きな『岸和田少年愚連隊 血煙純情編』みたいではないか。
三池崇史がとんがっていた時代の映画
初期の三池監督作品『DEAD OR ALIVE 犯罪者』は、ラスト5分でそれまでの世界観がぶっ飛ぶ怪作(ほめてます)だけど、この作品は初めからメーター振り切りのハチャメチャ振りで、『何じゃ、こりゃ?』ムービーと言うジャンルがあれば、殿堂入り間違いなしです。(それでもほめてます)お話しは、若いチンピラが、頭がおかしくなった兄貴分を名古屋のヤクザ処分場へ連れていく一種のロードムービーで、行く先々で不可解かつ不愉快さらに不条理な目にあっていきます。元々Vシネマ作品なんで、低予算かつエロ・グロ・下ネタと三池監督のやりたい放題が目一杯と言う感じで、変わった見せ物を観せられた気分です。(くどいですが、ほめてるんです)メジャー作品やコミックの映画化が多くなってから感じらなくなった、『ひっくり返したおもちゃ箱を片付けられない』三池カラーを久しぶりに堪能しました。
なんだこりゃ笑
生まれて来ちゃってごめんなさい
丑年にふさわしいミルクホラームービー
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