「プロの世界は厳しい。」舞妓はレディ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
プロの世界は厳しい。
名作「マイ・フェア・レディ」を捩ったタイトルが面白い。
内容も舞台を変えただけでほぼ同じである。
田舎娘がふと出逢った言語学者の先生によって、訛りを
改化させ、貴婦人へと成長していくお話。
主人公を演じたオードリー(舞台版はJ・アンドリュース)
の愛らしさが、今作では上白石萌音に乗り移った感じ。
歌も踊りも大したもので、訛りもよく勉強した感がある。
ただあちらは名作ブロードウェイミュージカルの映画化で
オードリー以外舞台を務めた俳優がほぼ占めていたのに
対し、こちらはミュージカル俳優を揃えた訳ではないため、
全編ほぼミュージカル構成にしたところで、若干の不和。
歌はやはり聴かせるもので、そこそこの上手さを持った
演じ手に歌わせないと、せっかくのお話がそこで途切れる。
決して下手ではないのに吹替えられてしまったオードリー
宜しく、プロの世界は(舞妓と同じで)厳しいものだと感じる。
まぁそんな、いちいち細かいことまで言いなさんなよ!と
言われそうなほど、十分に楽しめる作りになっている。
舞妓・芸妓の世界を勉強できるし、花街の厳しい現実など
昔と今の享楽の違いもいろいろ学べる。なぜ一見さんは
お断りなのか、などの理由も理解納得、花街で商売して
きた人々の苦労がよく伝わる。
歌はともかく、役者はベスト!に近いほど豪華なので、
富司純子や中村久美の巧さは完璧、岸部一徳はどうして
こんなに馴染むんだろうなと関心することしきり。その他
常連メンバーも楽しく演じているので違和感はほぼない。
田畑智子の京都弁がやけに上手いと思ったら、やっぱり
京都府出身か。彼女がブログを書いてて良かったねぇ。
135分の長丁場、若干中だるみはあるも、ソツなく纏まった
コメディだと思う。最近、社会派芸術系に傾倒していた感の
ある周防監督の十八番はやっぱりこういうの!と大満足。
(ま~いこ~はれでぃ~♪って、アナ雪に対抗できるかしら?)