「喪失感と違和感」スター・ウォーズ フォースの覚醒 REXさんの映画レビュー(感想・評価)
喪失感と違和感
これからの2作品に期待したいが不安でしかない。
4をなぞっただけ?
レイの出生や、フィンの半生、キャプテン・ファズマの謎など残された楽しみはあるが、一作品としての満足感は1~6より物足りない。要するに、目的となるテーマが希薄。
ルークが引きこもるはずもないし、ハンソロが今更賞金稼ぎに戻るなんてあり得ないし、共和国があんなに弱体化した理由もよくわからない。
アソーカ・タノなど登場する【クローン・ウォーズ】や他の派生作品の方が格段に面白い。
太陽のエネルギーをスター・キラーが吸収するという場面は、スケールが壮大すぎて、逆に冷める。この感覚、マーベルのアベンジャーズに似ている(アベンジャーズも個々のシリーズの方が面白い)。
そこまでできるなら、簡単に銀河を征服できない?みたいな。
勿論今までも、帝国は惑星オルデラーンをバーン!と破壊していたのですが、レイアの口を割るという目的があったので、気にならなかった。機械的な仕組み云々を描きすぎないことで、等身大の冒険譚になっていたと思う。
ファースト・オーダーを率いるスノークの目的はまだはっきりしてはいないが、銀河系の滅亡など、抽象的でなければいいなと危惧…。
もし【マイティ・ソー ダーク・ワールド】のように、神の様な立場で「闇の世界」とか言われてしまったら、ちょっとねぇ・・・
パルパティーンは政治家だった。ジェダイを出し抜いて自分が征服者になり、意のままに宇宙を支配する。ある意味ジェダイへの復讐劇ともいえ、小賢しい駆け引きで翻弄する姿はとても人間的で面白かった。
ルーカスは冒険活劇にファンタジーと哲学的な要素を味付けするという難しいことを、絶妙なバランスで完成させていたのだなと改めて思う。
あとSTAR WARSの世界の広がりが乏しいと感じた。
レイの住むジャクーはタトゥーインを髣髴とさせて、いかにもスター・ウォーズらしくもあり、マズ・カナタの酒場も様々な異星人がガヤガヤしてはいただが、それでもstarwarsの持つ多様性が足りないと感じた。何だろう、カイロ・レンの登場場面が多すぎ。出てくる星、国、登場人物が少ない。
画面の質感も違和感。撮影技術的なことは知識がないので上手く書けないのですが、 現実感を出したいが為にスター・ウォーズらしさが少し損なわれた気がする。なんというか暖かみと賑々しさがない。他の作品に例えるなら、ハリポタの賢者の石と、アズガバンの囚人との違いに近い。暗く、硬質感が強い。
あとカイロレンに全く魅力がない。それなのに出番が多すぎる。実はダース・ベイダーは時間に換算したらそんなに出演シーンは多くない。彼の登場シーンは本当に効果的だったと思う。
これだけレンにフォーカスしているにも関わらず、ファースト・オーダーの台頭の経緯や規模が漠然としていて腑に落ちない。
あんな巨大なスター・キラーを建造するまで、共和国やレジスタンスは何もできなかったのか? 前サーガの共和国とレジスタンスの成果が白紙に戻っており、「4~6の戦いは何だったんだ」というがっかり感がある。
スター・ウォーズはそもそも説明が成されない映画だった。 4~6でも、「クローン戦争」「ジェダイの滅亡」など、わからない用語が出てきても、一つのテーマに突き進む核があり、次々登場するキャラクターにグイグイ引っ張られて、観た後で謎の部分をアレコレと想像する楽しさがあった。
それなのに「みんなこれが見たかったんでしょ」というような、勿体つけたレイアやR2の登場は、前サーガを愛する人におもねるだけの演出であり、未来の独立したサーガとして完成度が高いとはいえない。
はっきりいって作り直して貰いたい。レイア、ルーク、ハン・ソロをばらばらにして、4をなぞりたかっただけのような気がする。