親密さ

劇場公開日:

解説

映画や演劇、俳優養成の専門学校「ENBUゼミナール」の演技コース修了作品としてスタートした企画から生まれた、およそ4時間におよぶ長編作品。「親密さ」という演劇を作り上げていく過程を描いた劇映画の前半部分と、実際の舞台の上演を記録した後半部分の2部構成で、それぞれの中に虚構と現実が交錯する。新作舞台の上演を間近に控えた演出家の令子と良平は、コンビで演出を手がけているが、そのやり方に次第に限界が見え始めて……。

2012年製作/255分/日本
劇場公開日:2013年5月25日

スタッフ・キャスト

監督
脚本
濱口竜介
撮影
北川喜雄
編集
鈴木宏
整音
黄永昌
助監督
佐々木亮介
劇中歌
岡本英之
舞台演出
平野鈴
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映画レビュー

5.0演じているのか、本音をさらけ出しているのか

2022年2月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

4時間の長編だが、前半はとある演劇制作の過程を追いかけたドラマで、後半はその演劇をまるごと見せるという構成になっている。前半で、プライベートをさらしていて役者たちが、後半では役者として役を生きている。役者たちの人生の在り方を前半で見せられた観客は、後半の舞台劇で、素直に役を演じる俳優たちを「キャラクター」とは見なせなくなる。役者本人たちがダブって見えるようになる。このセリフは台本のセリフを読んでいるのか、それとも演じている本人の言葉なのか、その言動は役者本人のパーソナリティを反映したものなのか、それとも台本にあることを演じているだけなのか、わからなくなる。
主人公の男性を演じているのが、台本を書いた張本人だというのも上手い。自分で演じることをしぶっていたが、とある事情で演じざるを得なかった彼のぐだぐだを前半で見ている分、彼本人の特性と役柄の区別がつきにくい。劇終了後の電車のシーンはすごい。劇よりも劇的な現実(という虚構)。

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杉本穂高

4.0芝居と演技と時々ドキュメンタリー風

2024年12月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

2013年公開の映画。
「親密」とは互いの交際の深いこと。きわめて仲のよいこと。また、そのさま。
俳優養成の専門学校の演技コース修了作品としてスタートした企画から生まれた255分の長編作品。新作舞台「親密さ」を共同演出する男女の関係性を描いた劇映画の前半部分と、実際の舞台上演を記録した後半部分の2部構成。ドキュメンタリーのようでそうではない。最後しっかりオチもある。
4時間余りの疲れを吹き飛ばすアオハルっぽい終わりかた。なかなかどうして参りました。
前半の劇映画の芝居と、後半の狭い空間で繰り広げられる舞台演劇のリアルな空気感のギャップに、観る側のメンタル調整に戸惑わされる。
何を本心として受け止めればよいのか?いやそもそも全部演技なのは分かってはいるけれど。

「ハッピーアワー」「ドライブ・マイ・カー」「偶然と想像」と一連の濱口竜介監督の作品を思い返すと「コミニュケーション能力」って一体なんなんだろう…って嫌でも考えてしまう。社会でも会社でも学校でも家の中でもコミニュケーション能力が常に試されているような現実社会で、何か問題が起こればコミニュケーション能力が適切ではなかったと結論付けられる。意思疎通を上手に図るためには、話をよく聞き相手の立場になって否定せずに自分の意見も押し付けない。冷静に言葉を選んで論理的思考で経緯とその場の空気を汲み取って感情を取り乱さず問題があれば解決策を模索しながら会話を進めて行く。常にそんなことを心がけて言葉にしないといけない。決して大声で怒鳴ってはいけない。どんな状況でも冷静に感情を出さずに適切な言葉で相手の心理を確認し合うのである。それはまるで「Ai人間になれ」とでも言っているかのようだ。

私たちは人間。相手の心に届いて響いてそしてもちろん愛もあるはず。心の奥底から湧き出るエネルギーが本心となって言葉になるんだ。なのに伝えたい感情をうかつに言えない。相手が誰であれ言葉を選んで感情を抑えて冷静を保つなんてみんな出来ないくせに平静を保とうとするから、みんな知らないうちにストレスを溜め込んでしまうからだから顔に出てしまう。言葉の節々にも出てしまう。あなたが気づいてないだけ。ちゃんと見られてるよ…って。

ふとした言動で相手を疑ったり不信に感じたり。端的に質問したいのに遠回しに確認したり。問い詰めたいけど明るく振る舞ったり。誰にでも経験のある日常の小さなしこりの積み重ね。できるなら滞りなく平穏にお互いの関係性を保ちたい。ほんと生きることは疲れる。でも本心をなんでも言い合える、いや言わせられる関係の存在は必要なんだなぁ・・・って、いないけど。

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puccino

4.0濱口ワールド

2024年12月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

難しい

濱口作品は長いものが多いけど
これは時間的にも内容的にも2本分
息もつかせぬ会話劇で前半の舞台稽古から
始まるが本当に完成するのかという感じ
後半は舞台を1本分丸々鑑賞
とても内容の濃い男と女の話
最後の電車のシーンがとても良かったですね
あれ一発で撮れたのかなぁ
本格デビュー前の作品ですが完成度は高い

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かちかち

4.0リアルとアンリアル

2024年7月25日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

知的

難しい

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こべっこ