ローマの教室で 我らの佳き日々のレビュー・感想・評価
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原題 赤と青の意味?多分あれ。
子供を更生させるのではなく、先生が変わるってのがいいなぁ。駄目な子を良くするのではなく、子供から教わる。
原題が赤と青 もう一回見ようと思う。思い当たるのは、あれだけ。しかし、そっちが題名になるようなエピソードなのかなぁ。そうだとすると、やっぱりシャレているし、邦題は興ざめする。
高尚な授業と普遍的課題
イタリアのありふれた公立高校、癖の強い先生と問題児のエピソードを散りばめて生々しい教育現場の実情をドキュメンタリーのように綴っていく。
何より面食らったのは授業内容の高尚さ、金八先生の授業なら分かり易いのだがイタリアの国語の授業や美術の講義は難しい。芸術の国イタリアらしいと言えばそうなのだろうが詩の引用や哲学的な芸術論ばかりなので私にはチンプンカンプン。最初は無関心の生徒たちが立派に進級、熱血先生の要求に応えていたのには感心する。
問題児には家庭の事情が色濃く映る、生徒たちは体格は立派だがおつむはまだ子供、大人への入り口に戸惑う難しい年頃、親のいい加減さもありそうな話。
熱血教師の馴れの果てのような老教師と新米教師、官僚的な女校長も母性本能は忘れていなかったようだ。否応なく生徒の人生に関わる教師という職業の特殊性、高潔さに今更ながら敬服した。教育は国の大事です、答えはありませんが映画として客観的に見ることで親や子供、教師たちにもあらためて問題意識をもってもらえるとしたら、と考えてピッチョーニ監督は本作を撮ったのでしょう。
学校の描き方(Il rosso e il blu)
『ローマの教室で 我らの佳き日々』という邦題も、失敗の部類だろう。どうも日本の学園ドラマのように、この題名によって安っぽ苦なってしまう。
そもそも現代はIl rosso e il bluなのだから、素直に訳せばいいのだ。その方が、このドラマの展開からしてかなっている。
ローマの高校で教職に就く国語の臨時教師、美術史の老教師、そして校長らが、自分の「教え子」とともに歩む生活が「綴られて」いるのだ。
だれもが内に潜む両極の性、それをゆっくりと静かに描いてみせる。
けっして熱く語るだけではない、
けっしてすべてにわたってアイロニカルでもない、
けっして杓子定規で片付くわけでもない、
三様の教師の「日常」がそこにある。
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