「※動物たちに一切危害は加えられていないそうですが、オリジナルに危害は加えられています」キタキツネ物語 35周年リニューアル版 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
※動物たちに一切危害は加えられていないそうですが、オリジナルに危害は加えられています
1978年に公開されヒットした邦画初の動物ドキュメンタリー映画。
その35周年を記念して2013年にデジタル・リニューアルされたのが本作。
そもそも何で“35年”という中途半端な時に記念リニューアルなのか…?
北海道の大自然で生きるキタキツネの生態。
夫婦ギツネの出会いから始まり、子ギツネの誕生、母ギツネの死、外敵や人間の罠、巣立ち、成長…。
まるで劇映画のようにキタキツネの姿をツボを抑え追い、王道の動物ドキュメンタリーである。
が、このリニューアル版にはどうしても解せない点が。
(明らかに演出が加えられているとか、色々言われている“動物たちには一切危害は加えていません”は偽りだとかは一旦置いといて…)
木が語り部となってナレーションするのはいいとして、キツネたちにタレントの吹替は超要らなかった。
映像と音楽とナレーションだけで充分伝わるというのに、寒いくらいのタレントたちの吹替のせいで茶番のように。
主題歌や吹替者の挿入歌も宣伝のように大量に流される。美しい映像と音楽だけでいいんだ!
デジタル編集で映像がクリアになったのはいい。
が、未公開映像を付け加えながら尺がオリジナルより短くなり(つまりカットされた部分も)、音楽も新録。
オリジナルに色々手が加えられ、別にオリジナルは見た事無いのでここが違うあそこが違うとかは言えないが、オリジナルへのオマージュが感じられなかった。
本当にオリジナルを名作と思うなら、映像をクリアにするだけで良かったのではないか。何故わざわざ手を加えるのか。
どうせならオリジナルが見てみたかった。
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