劇場公開日 2013年10月19日

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「現実の狐は無視で、人間の作った物語に合わせた映像と声を組み合わせただけ」キタキツネ物語 35周年リニューアル版 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0現実の狐は無視で、人間の作った物語に合わせた映像と声を組み合わせただけ

2015年8月15日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

難しい

総合:20点 ( ストーリー:30点|キャスト:50点|演出:20点|ビジュアル:75点|音楽:50点 )

 昔に観た原版ではあやふやだけどたしか人間が狐の声を担当していなかったようにも記憶しているが、それが正しいかどうかはとにかく、今回は狐一匹ずつに人間が声を担当している。しかしこれがどうにも野生の狐らしくなく、擬人化されて人間社会に生きる人間そのもののように喋るのがどうにもいただけない。夕陽を見て母親が不吉な予感を感じたり、子狐が笑い声を上げたり歌を歌ったりで、狐がそんなことを思ったり喋ったりするわけないじゃないの。この演出にはかなりがっかりしたし、原版ではこのような失望はなかったように思う。物語もそのような人間が望む物語をしているかのようにするために狐の映像を無理やりのっけて、人間同様に会話をさせたり行動をさせているのにも苛立つ。
 これでは苦労して撮影したであろう狐の記録映像が、まるで嘘で塗り固められた安い子供向けの童話になってしまった。変な脚本も脚色も要らない。本来は西田敏行に現実の狐の行動の解説だけさせれば十分だった。

 最後に「この映画製作に於いて全ての動物に危害は加えられていません」という表記があるけれど、これはどうなんだろう。今作品ではそのような場面はなくてごまかされていたけれど、確か原版のほうでは、狐の子が猟師に撃ち殺されていたように記憶しているけれど。これって昔のフィルムの再編集なんじゃないのかな。それならば撃ち殺されていたんじゃないのかな。罠にかかった母狐の件もあるし、この表記は素直に受け入れられません。

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Cape God