「やられた!」劇場版 SPEC 結(クローズ) 爻(コウ)ノ篇 基本ジョジョ立ちさんの映画レビュー(感想・評価)
やられた!
タイトルの意味ですが、ネガティヴな意味でのやられた!です。
私はTVシリーズのSPECをたまたま見たきっかけでドはまりした訳ですが、監督の歴代作品である「ケイゾク」であったり「トリック」が好きなんですけど、これが堤監督の作品と知らずに、見てる途中で「あれ?これ堤の作品か」と気付きました。
その上で、自分でかなりこの完結をうたった劇場版の一連のシリーズに対して期待のハードルを上げすぎてたのかもしれません。
その結果、視聴後の感想は「なんだこれ」と言う、非常に期待外れだったガッカリ感でいっぱいになりました。
ファンの多い堤作品ですから、もちろんこれを感動したとか面白かったという方も多いでしょう。私がシニカルになりすぎている帰来もあるでしょうし。
けれども何というか、壮大なテーマに多数の伏線。そしてミスリード。それら期待感を膨らませる数々のギミックがちりばめられた割に、色々とチープなんですよね。
ネタバレは控えたいので細かくは書けませんが、唯一良かったと思うのは、瀬文と当麻の関係性を最後まで貫いたとこです。
安易に恋愛色を入れず、二人だからこその強い絆。これだけが一番の見どころかもしれません。
後は超展開につぐ超展開に、動かない場面に豪華(笑)俳優たちの下手くそな茶番。北大路欣也のセリフの間はさすがだなとは思いましたけれど。大島優子は唐十郎の下で10年ほど下積みしてこいって感じですね。まあ栗山千明はキャラ設定としてアレだったのでしょうけど。
あと何か知らんけど向井理出しとけばいいって風潮でもあるのかしら。本当こいつ下手くそだと思った。
まあこの八つ当たり的な話も、映画が酷かった裏返しなんですけどね。
一番気に入らなかったのは、オマージュ遊びが空気読めなさすぎで、本来であればカタルシスを得られるシーンの印象をぶち壊していると感じました。
トリックなどで、所々にメタ的なスタッフの遊びが入ってたりと、そういうレベルであれば文句は無いのですが、完結編をうたったこの劇場版だと、高い金だして見に来ている観客にはすこし失礼なんじゃないの監督って感じですね。
視聴者をいい意味で裏切るという手法は評価されてしかるべきでしょうが、これはさすがに空気読めてないかなと。
本来コメディとシリアスは水と油だと私は思います。適当に撹拌したらすぐに分離してしまう。
しかししっかりと念入りに撹拌したなら、マヨネーズのように上手く溶け合う。
それは非常にテクニックの必要な事であると思いますが、うん、この映画でやることじゃなかったですね。
以下、ネタバレします。我慢できなかったので。
ガイア理論。平行世界。数ある結末の様々な帰結。
ファティマにガフの部屋に八咫烏。
卑弥呼が出てきてこんにちは。
何というか混ぜすぎ危険。
うん、来世で待ってろだけは評価できます。
後はご自由にご覧になってくださいな。