劇場版 SPEC 結(クローズ) 爻(コウ)ノ篇 インタビュー: 戸田恵梨香&加瀬亮が自力で切り開いた「SPEC」という大きな壁

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劇場版 SPEC 結(クローズ) 爻(コウ)ノ篇

劇場公開日 2013年11月29日
2013年11月19日更新
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戸田恵梨香&加瀬亮が自力で切り開いた「SPEC」という大きな壁

最後のカットを撮り終えて「クランクアップ」が宣言されると、戸田恵梨香の目からは涙があふれた。「そうなるだろうとは思っていたんですが…」と照れくさそうに振り返る。ただ寂しさが胸を貫いた。「このチームとも会えなくなる。当麻と瀬文とも会えなくなる。自分の人生の大切な一部がなくなって、ぽっかりと穴が開いたようでした」。ひと足早く撮影を終えていた加瀬亮も惜別の念を胸に、撮影現場の傍らでその様子を見守っていた。(取材・文・写真/黒豆直樹)

連続ドラマから始まり、スペシャルドラマ、劇場版と3年にわたってシリーズを重ねてきた「SPEC」が、11月に立て続けに公開となる「劇場版 SPEC 結(クローズ) 漸(ゼン)ノ篇」「劇場版 SPEC 結(クローズ) 爻(コウ)ノ篇」の2作をもって完結する。この作品との出合いによって俳優としての“転機”を得た戸田と加瀬が、改めて本作への特別な思いを明かした。

まずは3年前、本作との出合いについて。堤幸彦監督×西荻弓絵脚本の「ケイゾク」のファンだったという戸田は、「私も『ケイゾク』と同じ世界に入りたい!」という思いで出演を即決した。何より、大きく心をつかんだのは天才的な頭脳を持ちながらもガサツで、餃子臭い主人公・当麻紗綾のキャラクター。それまでに演じたことのないタイプの役どころは、当時「イメージを打破したい!」という思いを抱えていた戸田の目に新鮮で魅力的に映った。

「自分のイメージを壊したかったんです。どうしても白いワンピースを着せられることが多くて(苦笑)。でも、それだけじゃ役者として面白くないなと思っていて、『抜け出したい』という思いがありました。だからこそ、この作品で自分はこんな役もできるというのを結果で残して示さなければという思いで臨みました」。

加瀬はデビュー以来、映画を中心に活動してきたが、この前年に「ありふれた奇跡」(フジテレビ)で連続ドラマに初めて主演し、映画とは違った「先の見えない楽しさ、じっくりといろんなことを描ける面白さを感じた」という。とはいえ、「SPEC」は山田太一の脚本とは「全く畑違いの作品(笑)」であり、瀬文焚流という役は戸田同様、過去に演じてきた役どころからは想像もできないような熱くキレやすい肉体派の刑事。迷いはなかったのだろうか。

「最初に堤監督とプロデューサーにお会いしたとき、『自分でいいんですか?』と聞いたら、『いいんです』と言ってくださって、熱意が伝わってきた。『何か事前にした方がいいことはありますか?』と聞いたら『坊主に黒スーツを考えています』と。それだけでしたね。僕は『ケイゾク』が好きだったので、その意味で安心感がありました。それから、戸田さんに関して当時、“問題児”と聞いていたので(笑)、それもとても面白そうだと思って『やりたい』と伝えました」。

「先の見えない楽しさ」に関して、本作以上のものはなかなかない。続編を重ねるにつれて謎は深まるばかり。戸田は「進むにつれて、不安しかなかったです(笑)。これだけの謎をどうやって解き明かし、まとめていくのか」とこの3年の偽らざる心情を明かす。当然だが、続編の合間には「SPEC」以外の作品にも参加しており、撮影のたびに当麻に“戻る”という作業が繰り返された。ちなみに今回、戸田はあえてこれまでの作品を見返すことなく現場に入ったという。

「SPドラマの『~翔~』に入るとき、徹底的に連ドラを見直して入ったんですが、結局、私自身が当麻のモノマネをしているような芝居になってしまったんです。撮影初日は全く当麻になりきれずに気持ち悪くて後悔して、それで頭で考えるのをやめて、感覚でやった瞬間にやっと当麻に戻れたんです。それがあったので、今回は絶対に見返さないで、感覚を信じて臨みました」。

「感覚を信じて」。それを実行してしまえるところが戸田のハートの強さだが、そもそも主演2人がこれまでのイメージと全く異なる役どころで刑事もののコンビを組むということ自体、安住を求めず常に新たな挑戦を求めるスタンスを物語っている。そして、2人は負ければ酷評と戦犯扱いが待っているその賭けにきっちりと勝ち切った。だからこそ手にしたものも大きい。戸田は言う。

「この役に臨むにあたって、役者としての“自由”を手に入れられるんじゃないかと思って入ったんです。それは感覚的なもので、ハッキリと言葉で言い表せるものではないんですが。でも、終わった後でその自由を手に入れられたなと思います」。

加瀬は「自分自身の中で、演じながら決して“これまでにない役柄への挑戦”という意識が強かったわけではない」と言うが、結果として加瀬、そして観客にとっても特別な作品となった。例えば人々に「俳優・加瀬亮」について尋ねれば「静かで落ち着いた、優しい青年のイメージ」という答えが返ってくる一方で、「代表作」を聞くと「SPEC」が答えの多くを占める――そんな矛盾が起こりそうなくらい、本作は強いインパクトを残した。

「自分にとっても中心を占める作品に『SPEC』が“勝手に”成長していったという言い方が一番合っている気がします。堤監督がそういう自分を引き出してくれたのだと思いますし、目の前で戸田さんがあんなにぶっ飛んでいますからね(笑)。そこに影響されて、これまでの自分ではできなかったいろんなことが開いていったという感じです」。

この3年の中で様々な敵と戦い、会話を交わしてきたが、振り返ってみて最も印象的なシーンややりとりを聞くと、ともに所属する「未詳(=警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係)」の部屋を挙げる。加瀬は「当麻とのやり取り、野々村係長(竜雷太)とのやり取りは本当にいくつもあって、いつも同じパターンなんですが(笑)、だからこそ強く心に残っています」と語る。

戸田は連ドラ第1話、未詳での当麻と瀬文の初対面シーン、そして現在も編集作業が続く「爻ノ篇」のラストシーンの奇妙なつながりに触れ、こんな言葉を残した。「私にとっては最初と最後が一番印象に残ってます。『爻ノ篇』を見れば感じていただけると思いますが、ドラマの第1話での2人の出会いが奇跡のような運命のような宿命のような――そんなことを感じさせてくれるんです。うまく言葉では言えませんが、特別です」。

いくばくかの寂寥、そして清々しさを胸に、2人は新たな道を歩み始める。

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