「宇宙SF娯楽映画の王道」インターステラー タランティン・クエンティーノさんの映画レビュー(感想・評価)
宇宙SF娯楽映画の王道
魅力的なガジェット、耳をくすぐる難解そうな専門的用語、そして宇宙ならではの壮大なスケールのストーリー…これはまさに宇宙を舞台にしたSF娯楽映画の王道と言える一本でしょう。
自分が最初にこの映画の予告を見た時、ある程度のストーリーの予測はしていました。
ワームホールを使った旅行、そして重力が関係しているらしいということから、おそらく地球の家族と探検クルーたちは異なるスピードで生きることになるだろう…
そしておそらく、家族ともし再会するならばその時は家族はそれなりの年齡、場合によっては自分よりも老いた姿になっているだろう…
そんな予測をしました。
予測は確かにそれなりに当たっていました。ただ、そこに至るまでのプロセスという部分では、自分の予測を遥かに上回っていました。やはりノーランという男は只者ではないと打ちのめされてしまいました。
しかし、難解すぎるということは決してありませんでした。むしろノーランの過去作からすれば、伏線の回収のくだりはかなり親切な設計だと思いました。伏線となった場面をしっかりリフレインして見せてくれますし。メメントみたいに最低2回はみないと絶対わからないというタイプのものではなかったと思います。
ノーランといえば、社会的テーマを裏テーマとして上手に織り込むことのできる監督でもあります。「ダークナイト」で、テロとの闘いに疲弊し自信を喪失したアメリカの姿を暗に描いたのがその代表だと思いますが、今作にそのようなテーマがあったかどうか?
残念ながら、今のところ自分にはまだ理解できていません。「もしかしたら、今の映画産業の状況を嘆いているのかな?」と思わせるような部分はありましたが、確信はありません。
ただ今回は、そういった裏テーマを探すより、素直に娯楽作品として楽しむのが吉なような気がします。
本作で少し残念だと思ったのは、個人的にはそれほど感動はなかったという点です。
ストーリーがストーリーなので、どうしてもボリューミーになってしまい、全体的に足早に話を進めないとただでさえ長い上映時間が更に長くなってしまうので仕方ないと思うのですが、
やはり人物の描き方というのはまだまだドライで、十分感情移入させるものではなかったかなあと思いました。
やはり「長くても3時間以内」という枠にこれほどのものを詰め込むのは限界があったかなと思います。3時間越えるとそれはそれで観るほうがキツくなりますし、監督してはかなり配分に悩んだことと思います。
あとはストーリーの都合上、どうしても説明くさいセリフやシーンが多くなってしまうのはしょうがないですかね。「ワームホールってこんなものなんだよ~」とご丁寧にイラストまで描いてくれたり。
まあでも昔のSF娯楽映画ってそのあたり割と正々堂々と"説明"してたしそれもいいかなーとも思います。そこに時間かけすぎてもしょうがないし。
何はともあれ、満足度の高い1本でした。
自分はIMAXで見たのですが、映像面はもちろんのこと、音響面でも抜群にすばらしかったです。是非IMAXでの鑑賞をおすすめしたいと思います。