「時間、未来、継続する旅」インターステラー ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
時間、未来、継続する旅
この「インターステラー」が、二つの観測者の間で、一方の時間がゆっくり流れる(=時間が遅れる)理由を、強大な重力に求めた最初の作品のように思う。
つまり、ブラックホールの付近では、他の人と比べて時間の流れがゆっくりになるのだ。
ただ、この作品を、他のSF作品と一味違うものとして際立たせているのは、映像は言うまでもなく、その物語の構成要素のバランスの良さだと思う。
宇宙物理学の科学的な視点、
荒唐無稽なSF的要素、
人間のエゴ・愚かさ、
宇宙で起こるスペクタクルなイベント、
親子の愛、
自己犠牲、
哲学的な含みと、
そして、観る人それぞれに届くメッセージだ。
これらが、時には融合、時には対比され、時には対立し、宇宙空間のさまざまな困難を乗り越えながら、壮大な物語が綴られていく。
人は愚かだ。
決して神などにはなれない。
だが、人は賢い。
間違いを認め、軌道を修正し、より良い道を見つけることは可能だ。
人間は神の如く振る舞うことはできなくても、お互い助け合ったり、励まし合うことで、不可能を可能にすることは可能かもしれないのだ。
マーフにモールス信号を送るテラサクトは、過去、現在、未来の繋がった空間だ。
映画「メッセージ(原作は、あなたの人生の物語)」の、表義文字ヘプタポットを思い出す。
しかし、クーパーは過去を変えるのではなく、変えるべきは未来なのだと気づく。
信号は過去の自分やマーフではなく、今のマーフに向けられたのだ。
人は、過去を鑑み、より良い未来を獲得するために、現在の行動を変えることが出来るのだ。
これは、映画「メッセージ」にも込められたメッセージだ。
また、過去に戻っても、身近にある危機にさえ目を向けられない「12モンキーズ」に描かれる人間とは対立する描写だ。
そして、マーフは、重力方程式の問題を解決する。
スペース・コロニーでの再開。
マーフはなぜクーパーにアメリアを探索するように促したのか。
クーパーがアメリアを助けに向かうエンディングの場面。
僕は、犠牲者を出してはならないというメッセージも感じるが、仮に壮大な目標を達成できたとしても、身の回りの細かなところにも目配せしないと重要な何かを見落としてしまうかもしれないということを示唆しているようにも思える。
そして、より良い未来を獲得できたとしても、それはゴールではなくて、更により良い未来であるために、人は改善を継続しなくてはならないし、旅は続くのだというメッセージのようにも感じる。
「環境」という観点から見た僕達の地球は良い方向にあるようには思えない。
SNSの一方的な発信。
テラサクトを通じて、クーパーとマーフは、お互い伝えよう、理解しようとしたではないか。
僕達は行動様式を変えることが出来るのではないのか。
僕は、そんなことを感じるのだ。
「猿の惑星」は、光に近い速度で移動して、猿に支配された「未来」の地球にたどり着くという物語だったが、絶望や、その後も続く争いが描かれていた。
僕は「インターステラー」の方が好みだ。
外に出れない辛さ・・・俺にはそんなつらくないんです。何か月も休んでいたこともあるし、言ってみれば得意技です!(笑)
オススメ作品とかって、あんまり考えてないんです。
ケーブルTVを契約してるし、wowowもスターチャンネルもあるし、VODのように「これを見るんだ!」という主体性が全くありません(汗)
やっぱりこの時期はタルコフスキーを鑑賞するとかの姿勢を糺して観る作品よりも、気軽なヒット作を見る方が気分的に楽!ということは言えるかと思います。
なるほど。重力に絡めているのは最初だったかもしれませんね。
アニゴジも20年の放浪が2万年進んでたことになってましたが、重力がギドラにしか絡んでなかったような・・・まとめるのは難しいですね~