「ハント。ジェームス・ハント。」ラッシュ プライドと友情 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
ハント。ジェームス・ハント。
試写会が当たって鑑賞後、感想を書かないうちに先行上映。
F1好きの友人に誘われてニ回観ることになってしまったけれど、
却って深く観ることができたので良かったかもしれない。
車にもF1にも詳しくない私は、二人のことを全く知らなかった。
ただラウダの事故に関しては、ニュースで何度か観たので分かる。
1分間も炎に包まれてよく生還した!もうそれこそが衝撃である。
大事故に巻き込まれながら命が助かる人というのは、なにかしら
その後の人生に意味があって生かされた人なのだ、と思うのだが、
ラウダはその典型なのかもしれない。
己のプライドと闘争心が、彼を事故から42日間でレースへと戻す。
映画では、徹底的に闘うライバルとしてのみ描かれているが、
F3時代から何かと付き合いが長かったので、親交はあったようだ。
さらには資産家&実業家の両親を持ち、二人が裕福な家系出身で
あったことも言うまでもない。その後の人生が、まるで映画俳優の
ように煌びやかな結婚・離婚を繰り返したことでも一致している^^;
今作ではレース以外の双方の心理面の掘り下げが深い(さすがロン)
当時の奥さん方はかなり苦しんだだろう(女性の立場からすると)
しかし、ハントの嫁が、あのバートン&リズの離婚原因を担っていた
スージーだったとは!ビックリした。意外な繋がりがあったのねー。
驚くべきは二人同様、奥さんの方も顔がソックリ(爆)
コイツにだけは負けたくない!と思うのは普通にあることだけど、
確かにそれがあるから成長できる部分というのがある(特に仕事面で)
タイプも性格も対極にあり悉く反発し合う二人なのだが、狙う目標は
同じところにあるのが面白い。もうそれだけでかなり通じ合っている。
ラウダの事故は痛々しいものだが、あれとてハントが煽った?にせよ、
状況も判断ミスも関係しており、普段のラウダならすでに止めていた。
最終決戦の富士で、ラウダがとった選択こそ従来の彼らしいと思うが、
そういった一瞬の判断を惑わせてしまうほど、相手に勝ちたかったという
負けず嫌いにも程がある原動力が働いていた、というのが興奮材料。
命を張ったレースでのケガは途轍もないが、そこに惹かれて見ている
ファンからすれば、総てを含めて致し方ないといったところなのか。
ハント役のクリスは色男に扮し、5000人を相手にした?と噂される
プレイボーイぶりを如何なく発揮、魅力的な人物像を作りだしている。
本人は45歳で急逝したが、死の数時間前に3回目のプロポーズに成功、
喜びの最中で心筋梗塞で倒れたそうだ。実に彼らしい!何という人生。
そしてラウダ役のダニエルは監督たっての希望もあり、もう文句なし!
ラウダ本人から2週間特訓?された独特のアクセントも素晴らしかった。
(だから絶対に字幕版をお薦めします)
奥さん二人、周囲のキャストにも申し分なし。
過酷な世界で闘う二人の男のドラマというだけでなく、それを支える
メンバーがどれほど大変か(私は絶対レーサーの妻にはなりたくない)、
かのゴクミを尊敬申し上げたくなる、女性陣にも必修となるドラマ。
(ハント。ジェームス・ハント。ってのがいい。アンタはボンドかい?^^;)