「驚愕!」鑑定士と顔のない依頼人 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
驚愕!
オークションでは流暢で気持ち良いくらいしゃべりまくるオールドマン。参加者も安心して値を上げていくことができるのだ。しかし、彼は相棒のビリー(ドナルド・サザーランド)を使い、贋作ではなく本物の、又贋作であっても巧妙にそれを理由で安く落札させ、女性の肖像画ばかりを個人的趣味でコレクションしていたのだった・・・
クレアと名乗る女性はすべて電話で交渉し、親から譲り受けたという大邸宅にもオールドマンが勝手に出入りできるようになった。彼女は極端な広場恐怖症で外には10年間出たことがないという27歳の天涯孤独美女。広間の片側にある隠し部屋に隠れて、オールドマンに直接会うこともなく交渉を始めたのだ。しかも、精神を患ってるように見せるため、かんしゃくを起こしたり何度も断ったり再開したり・・・それでも、地下室で奇妙なぜんまい仕掛けの器械を見つけたこともあり、依頼を引き受けずにはいられなくなるのだった。
何度も屋敷に通ううち、どうしてもクレアの姿を見たくなったオールドマン。覗き見することによって成功するが、徐々に彼女自身に心を奪われるようになったのだ。結婚どころか女性と付き合ったこともない彼は、何でも直してしまう若い男ロバートにも助言を求めたりする。そして鑑定士としてより医者のようなオールドマンに心を預けるまでにいたり、やがて二人は一緒に暮らすことになるのだが・・・
ハッピーエンディング?と思わせておいて、終盤には愕然!クレアは彼のコレクションすべてを持ち逃げしてしまったのだ。あっという間に老けてしまい、老人ホームでリハビリを受けている姿が映し出され、そこから逃げられてから老け込むまでのエピソードを描いている。「贋作の中にも本物がある」などと意味深な言葉を何度も言ってるあたり、騙されてしまっても一時であれ女性を愛することができたことは彼の人生を豊かにしてくれたのか・・・
最も印象的なのは屋敷近くのカフェかもしれない。そこには記憶力だけは抜群の小人女性がいつもいて、数字を独り言のように羅列していたのだが、クレアがいなくなってからそこを訪れると、屋敷への訪問回数を言い当てたりする。そしてクレア自身も外へ出たことがないと言ってたのは大嘘で、頻繁に出入りしていた事実を知る。そしてその女性の名前が“クレア”!!!
ロボット以上に不気味で驚愕だった。