「なるほどこうきたか、と監督の力量を思い知らされた」アメイジング・スパイダーマン2 willstrongさんの映画レビュー(感想・評価)
なるほどこうきたか、と監督の力量を思い知らされた
この監督の才能のポテンシャルと、前作からの進化が素晴らしい。
それは冒頭の愛に溢れる家族のシーンから、スパイダーマンと自覚し、気持ちよくビル街を飛び回っているシーンから伝わってきた。
感情的な表現もアクションも両方いけるぞ、という気迫さえ。
よくありがちなスーパーヒーローアクション映画のような怒涛のバトルラッシュに、ベタな裏切り展開や黒幕の登場といった、月並な代物とはわけが違う。
元々人間の感情表現を得意とする監督なだけあって、人間味溢れるピーターパーカーの苦悩や、グウェンとのラブストーリーは非常に上手く描かれている。
また非常に効果的にその才能を発揮しているのが、音楽である。
至る所でBGMを活用している作品だが、バトルシーンでは更なる興奮を誘い、青春の胸踊るような恋愛や、家族への思い、秘密を背負う葛藤の気持ちを非常にうまく演出している。
ここでその音を使うか、と感服する場面もあった。
人間模様を色濃く描く反面坦々とした展開になりがちだが、前シリーズや前作を遥かに凌ぐアクションやバトルにメリハリははっきりしている。
この監督が作る作品として一番驚いたのは、一つの作品としての構成力だった。というのもシリーズものだと1作目は、ヒーロー誕生や世界観の説明に時間を割かれるのが当たり前で、自己紹介作品となるが、2作目はシリーズ最強の強敵も出ないし、スッキリ終わらせることも出来ず、3作目の伏線もあり、結構モヤモヤする場合が多い。
この作品もその点に関しては例外ではないが、そろそろじゃないか?とか、こう来るはずだろう!という最近のヒーロー作品の常識を覆す展開で、見終わった後になるほどこうきたか!と納得させられた。
この監督が元々もっていた力量なのか、この構成力とセンスは大抜擢されたのもうなずける。
ただ若干長めの上映時間と今後への期待、
あとどうしても言いたいのがCMや予告編で本編の大事なシーン使うな!!という気持ちで、マイナス0.5
配給の垣根を越えた、アベンジャーズとのマーベルヒーロークロスオーバーが実現するか、と淡い期待を抱いていた矢先、先日プロデューサーから完全否定されたのを受け、改めてこの作品を見ると、アベンジャーズでも崩壊されたNYのしかもタイムズスクウェアで、盛大に戦闘を繰り広げたわけだから、同じ世界で同時期というシナリオを今更結びつけるのは無理かと納得した。