「業の技。」恋の渦 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
業の技。
名画座で大根仁特集上映があり、その一本が今作だった。
劇場ではそのゲスな面白さに最後まで皆さん真剣鑑賞!(爆)
今の若者の生態をそのまんま描写しているような、
これ役者なの?本人なの?と見紛うほどの物凄い臨場感。
元々は劇団ポツドールの三浦大輔による戯曲なのだそうだ。
映画監督が受講生と新作を撮るワークショップ
「シネマ☆インパクト」の一企画として制作されたものらしい。
性欲をテーマに、合コンで知り合った男女9人の本音とエゴが
次々と露呈される様子に、バカか?こいつら^^;と思いながら、
その後の展開から目が離せない。
昔、NHKで「ビバリーヒルズ高校白書~青春白書」というドラマ
があったが、それとやってることはほぼ同じ(爆)
仲間内でぐるぐると回るように繋がっていく愛欲と性欲。
この演出が大いに下品だと思う人の方が、そういう下心には
詳しいといえるのかもしれない^^;
それにしても、キャスト演じるキャラクターが巧すぎる。
全員が其々のもつ性癖や欲求をストレートに出している半面、
色恋沙汰も友情も信頼も嘘だらけ。相手を騙すことで自己を
確立し、協調性を保つことで社会には背いてないような顔を
する。あっち向いてもこっち向いてもおバカがいっぱい(爆)
男の生態も女の生態も、確実に根幹を捉えているのが見事。
観終えて、せめて誰がマシだったか考えてみた^^;
金髪で喧しいタカシは、カオリを追って騙される男だったが、
この中では一番マシな行動をとっていた気がする。
カオリを追い回すのは、カオリにそそのかされていたからで、
そのことで迷惑をかけたコウジとトモコには頭を下げている。
さらに同居人のユウタに対して、出ていく際にきちんと生活費
を払って頭を下げ、夜行で倒れた母親の元へと帰って行く。
ブスの代名詞役・ユウコも、同じくイケてないオサムに仕えて
よく我慢していたと思う。泣いて懇願してくるワガママな男を
支えられるのは、ぐずる赤ん坊を宥める母親にこそ為せる業。
なぜかケータイの留守電シーンには涙が出た(T_T)
純真を纏う人間の中にあるゲスな本性を発見できる愛渦映画。
(上映時間の長さが気にならないのも凄い。この内容でこの長尺)